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「メッツコーラ男子」と「コカコーラ男子」を比較してみた。ーデータから見るペルソナ図鑑(25)ー
»2013年6月18日
消費者理解コトハジメ
「メッツコーラ男子」と「コカコーラ男子」を比較してみた。ーデータから見るペルソナ図鑑(25)ー
株式会社コプロシステム取締役 商品計画研究所所長。携帯電話キャリア、電機・食品・化粧品各メーカー、エンタメ系企業等のブランディング、商品開発に関するプロジェクトを多数手がける。Mac大好き。
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昨年からトクホ(特定保健用食品)のコーラ戦争が勃発してます。昨年の4月にキリンビバレッジが「キリンメッツコーラ」を発売。昨年年間で602万ケースを販売し、大ヒットとなったことが引き金となり、同じく昨年の11月にサントリーが「ペプシスペシャル」を発売。これも同じく2月までに170万ケースを突破するヒットとなっています。
トップブランド、コカコーラがいつ参戦するか、と業界の注目を集めているさなか、4月末に「カナダドライ ジンジャーエール FIBER8000」が発売されました。ところがこれ、非トクホ飲料なのにCMなどで「トクホウ」というキャッチフレーズで大々的にぶち上げたものだから、まぎらわしいということでひんしゅくを買ったのも記憶に新しいところです。うわさによると、コカコーラはトクホのコーラは出さないだろうとのことで、その理由を聞いてみると、「長年秘密にしているコカコーラのレシピを公開しなければならなくなるから」というお話で、妙に納得しました。
という訳で、今回は「メッツコーラ」をよく飲んでいる男性(メッツコーラ男子)と「コカコーラ」をよく飲んでいる男性(コカコーラ男子)を比較してみることにします。
【コーラはやっぱり男性的な飲料だった】
「クラウド型消費者分析ツール『ぺるそね』」では、回答者にどの飲料を好んで飲んでいるかを聞いています。炭酸飲料、ミネラルウォーター、お茶系飲料、コーヒー飲料、機能性飲料、果汁系飲料のそれぞれのカテゴリーについてデータを収集しています。この中でコーラ系とトクホ飲料系について、男女比率、平均年齢でポジショニングしてみました。
これを見ると、コーラ系はほとんどが、男性比率が高く平均年齢の低いエリアにポジションされています。唯一「ダイエットペプシ」だけが女性比率の高いエリアにポジショニングされています。(ダイエットペプシは現在販売終了しています。「ぺるそね」第二期調査時:2012年6月には販売されていました。)
一方、トクホ系の飲料は「ヘルシア緑茶」「ヘルシアウォーター」は年齢層の高いエリアにポジションされ、「ヘルシア緑茶」はやや男性が多くなっています。「黒ウーロン茶」は平均年齢に近くやや女性比率が高くなっており、「ヘルシアスパークリング」は若く女性比率の高いエリアにポジショニングされています。
「メッツコーラ」はこの中でも、最も男性比率が高く、最も若いポジションとなっており、比較対象の「コカコーラ」はもう少し平均年齢が高くなっています。年齢層の比較を見ると、「コカコーラ」の方が50代以上にも飲まれていることから平均年齢が上がっていることがわかります。
【甘いものが好きな人たち】
「メッツコーラ男子」も「コカコーラ男子」もどちらもお菓子の関心度が高くなっています。男性全体の平均ラインと比較し、「メッツコーラ男子」は約2倍の対比倍率、「コカコーラ男子」は約1.4倍の対比倍率となり、お菓子好きな面が見えてきます。スナック菓子やチョコレート菓子をバリバリ食べて、コーラをグビグビ飲む姿が目に浮かんできます。
甘い物が好きな特徴はお酒の嗜好にも現れています。よく飲むお酒を見てみると、「メッツコーラ男子」「コカコーラ男子」ともに「チューハイ」「カクテル」を飲んでいる人たちが多く、どちらかと言うと甘いお酒が好みのようです。
「メッツコーラ男子」はさらに食べることへのこだわりが強い一面もみせています。趣味を見てみると、「グルメ」と答えている人が男性全体と比較し対比倍率が1.9倍。「料理」と答えている人が男性全体と比較し対比倍率が1.8倍。興味関心事では「お菓子・食品」「外食・グルメ」「家事・料理」など飲食に関することが軒並み高く現れています。このあたり、女性的な嗜好が強く出ているといってもいいかも知れません。ちなみに、「健康・医療」と「美容」も男性全体と比較すると1.3〜2倍以上の対比倍率となっています。
【「メッツコーラ男子」は、おしゃれな甘党?】
それぞれの消費傾向を見てみると、「メッツコーラ男子」は「新しく出た商品は実際に買っていろいろ試してみる」人たちで「新商品の情報はまめにチェックしている」傾向が強くなっており、新商品に関する感度の高い人達と言えます。一方の「コカコーラ男子」は「直感的に気に入ったものを衝動買いすることが多く」「次から次へとほしいものが出てきて困る」傾向が強くなっています。どちらもコンビニにはよく行っているので、お菓子を買うシチュエーションが想像できます。
「メッツコーラ男子」が目指すセルフイメージは「頭がよい」「粋な遊び心がある」が特徴的で、「コカコーラ男子」は「かっこいい」「たくましい」などが上がってきています。どちらもカジュアルファッションがお気に入りのようです。
いつものようにペルソナイラストを掲載しますので、ご確認下さい。
【甘い物を食べる罪悪感を和らげる...】
先日、国連食糧農業機関(FAO)が食料摂取に関する報告書を発表しました。全世界で標準体重を超える人口が14億人に上り、そのうち5億人が太りすぎという推計を明らかにしたそうです。また、太りすぎなど「非感染性疾患」による経済損失は年間およそ140兆円と推計しています。経済損失の話になるかは別として、最近肥満は「悪」というイメージが定着して来ています。以前チョコレート菓子のグループインタビューで、若い女性が「甘い物を食べるのは『罪悪感』がある。」という主旨の発言をしていたのを思い出します。
コーラ好きの男性は「お菓子」に対する関心が高く、どちらかと言うと甘党です。「メッツコーラ男子」はさらに「食」に対するこだわりが強いようです。食に関しては、欲望を満たすのは容易ですが、その分「罪悪感」が強いのでしょう。トクホコーラはこの「罪悪感」を和らげてくれる効果があるのかもしれません。
それにしても、コーラというあまり健康イメージの強くない飲料を、トクホの「健康的な飲料」に価値を転換してしまった「メッツコーラ」。常識を逆手にとる商品開発が功を奏したのかも知れません。
*データは「ぺるそね」調べ。2012年6月 n=31,444
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