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雑誌とおこづかいの関係を眺めてみた。-消費者データから見るブランドポジション(11)-

»2013年8月30日
消費者理解コトハジメ

雑誌とおこづかいの関係を眺めてみた。-消費者データから見るブランドポジション(11)-

大久保 惠司

株式会社コプロシステム取締役 商品計画研究所所長。携帯電話キャリア、電機・食品・化粧品各メーカー、エンタメ系企業等のブランディング、商品開発に関するプロジェクトを多数手がける。Mac大好き。

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 アマゾンのkindleが日本に上陸して以降、電子書籍の市場が本格的に立ち上がってきました。特にタブレット利用者の電子書籍利用率が上がっています。インターネット総合研究所によるとタブレット利用者の約半数が電子書籍を利用していると報じられています。ここで言うタブレットは、iPadなどの汎用デバイスとkindleなどの電子書籍端末も含むそうです。

 私も最近の読書はiPhoneやiPadで電子書籍を読むパターンがほとんどになっており、以前よりも読書量が格段に増えました。その流れで雑誌の電子書籍版をiPadで読むようにもなってきているし、一気に本や雑誌も含む電子書籍の消費量が増えてきています。

 先日、コンデナストとアマゾンがパートナーシップを結び、雑誌の定期購読サービスが始まったというニュースが流れてきて、タブレットの普及と共に雑誌の電子書籍化に拍車がかかってきそうだと感じています。

 立ち上がってきた電子書籍に比べ、リアルな雑誌の方は厳しい状況が続いています。(日本の出版業界の雑誌販売の不振については以前このブログでご紹介しました。「女性向けファッション雑誌市場を眺めてみた。」)

 今回は「クラウド型消費者分析ツール『ぺるそね』」のデータから、各カテゴリーの雑誌とおこづかいの関係を見てみたいと思います。


【女性ファッション・ライフスタイル誌】

 今回は平均年齢とおこづかい(可処分所得)の二軸にマインドシェアベスト15の雑誌ブランドをポジショニングしています。平均世帯年収と平均年齢は比較的相関が強い軸ですが、おこづかいと平均年齢はそれほど強くありません。これはライフステージによって可処分所得の増減があるからです。端的に言うと、おこづかいは、子供の養育費のかかりかたにに左右されるということです。

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 女性ファッション・ライフスタイル誌の項目に答えている人は、女性回答者16,175人中5,774人で女性全体の37.5%にあたります。今回アップしたポジションマップは以前このブログで紹介したものと同じものを再掲しています。お小遣いが高いエリアに属しているのは「婦人画報」「Oggi」「家庭画報」「美的」「日経WOMAN」となりました。「婦人画報」「家庭画報」は比較的裕福な年齢の高い主婦の読者がイメージされ、「Oggi」「美的」「日経WOMAN」は働いている女性読者がイメージされます。

 「STORY」「VERY」「LEE」はアラフォーの専業主婦が読者というイメージですね。年齢層はほぼ等しいエリアですが可処分所得に差がありそうです。比較的若い女性達が読んでいるのが「SWEET」「ViVi」「With」「MORE」「an・an」です。お小遣いに大きな差はありません。


【男性ファッション・ライフスタイル誌】

 男性ファッション・ライフスタイル誌を見てみましょう。男性ファッション・ライフスタイル誌について答えている人は男性回答者15,269名中3,675名でした。これは男性全体の24.1%にあたります。ファッション・ライフスタイル誌を積極的に読んでいる男性は4人に1人という状況です。ベスト15位までのブランドを、平均年齢×おこづかいの軸にマッピングしてみました。女性ファッション・ライフスタイル誌ほど散らばりません。

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 年齢的には中心軸に固まっています。若いエリアにあるのは「Men's NON-NO」一誌です。ベスト15位以下には数多くあるのでしょうが、若い男性が読むファッション・ライフスタイル誌は多様化しており、パワーのある雑誌が生まれて来ていないのかも知れません。ランキングで見てみるとトップが「日経トレンディー」で、以下「AERA」「DIME」と続きます。今はトレンド誌が大きなクラスターとなっており、年齢層も幅広いことから中心点近くにポジションされています。

 一方で年齢層の高い方もバリエーションが少なく、最も年齢の高いブランドは「サライ」でした。年齢層がやや高く、おこづかいもやや高いエリアに固まっているのが「AERA」に加え「日経おとなのOFF」「散歩の達人」「おとなの週末」「一個人」などの実用情報誌です。今はこのあたりの雑誌が部数を稼いでいます。文化、うんちくなどをからめた旅行やグルメの話題が満載です。

 おこづかいの高いエリアには「LEON」「BRUTUS」「PEN」がポジションされています。カッコいいアラフォー男性を目指す人たちをリードするハイセンスな雑誌が並びます。


【家事・育児誌】

 家事・育児誌について答えている人は男性959人、女性6,041人です。男性の6.2%、女性の37.3%に当たります。女性はファッション・ライフスタイル誌を読んでいる人の比率とあまり変わりません。多分、男性が含まれるのは育児誌や料理誌などが入っているからだと思います。

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 ランキングを見てみるとトップは「オレンジページ」で次いで「レタスクラブ」となっています。このあたりは年齢層が幅広いのでほぼ中心にポジションされています。年齢層が高くおこづかいも高いエリアには「クロワッサンPremium」「クロワッサン」「今日の料理」がポジションされています。「クロワッサン」は初期の読者がずっと読み続けているイメージですね。当初団塊の世代の女性達に向けた雑誌で「ニューファミリー」などという言葉も流行りました。懐かしいです。

 年齢層が低いエリアには「ひよこクラブ」「たまごクラブ」が並びます。おこづかいが最下層ではないのは、まだ子育てにお金がそれほどかかっていないライフステージの人たちが主な読者だからでしょう。お小遣いが低いエリアには「サンキュ!」「おはよう奥さん」「すてきな奥さん」が並びます。このあたりの読者は子育て真っ最中の若いお母さん達なのでしょう。


*データは「ぺるそね」調べ。2012年6月 n=31,444
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