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マーケティング活動の中で、消費者の何を理解すればよいのか?
»2012年6月25日
消費者理解コトハジメ
マーケティング活動の中で、消費者の何を理解すればよいのか?
株式会社コプロシステム取締役 商品計画研究所所長。携帯電話キャリア、電機・食品・化粧品各メーカー、エンタメ系企業等のブランディング、商品開発に関するプロジェクトを多数手がける。Mac大好き。
当ブログ「消費者理解コトハジメ」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/keijix/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
【あなたにとって「マーケティング」とは何ですか?】
「あなたにとってマーケティングとは何ですか?」こう聞かれて、マーケティングに携わっている人なら何と答えるでしょうか。以前クライアントに唐突に聞かれ、ドキッとした覚えがあります。その場は何とかしのぎましたが、時々思い返して、今度聞かれたときのためにうまい答えを用意しておこう、などと考えています。
ドラッカーは「マネジメント」の中でマーケティングについて、このように言っています。
「...真のマーケティングは顧客からスタートする。すなわち、現実、欲求、価値からスタートする。「我々は何を売りたいか」ではなく「顧客は何を買いたいか」を問う。「われわれの製品やサービスにできることはこれである」ではなく「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである」と言う。」
「真のマーケティングは顧客からスタートする」つまり、マーケティングは顧客(消費者)を理解することから始まります。ところで、我々は消費者の何を理解すればいいのでしょうか?
【BMR(Basic Marketing Relation)】
BMR(Basic Marketing Relation)は、株式会社KSP-SPの代表取締役で、元味の素株式会社、食品開発部専任部長の山中正彦さんが考案した開発系のマーケティング・モデルです。以下、山中さんの共著「シリーズ<マーケティングエンジニアリング>4 新商品開発」より「BMR」について引用します。
「マーケティングにおいて考慮すべき要素は、「消費者」「製品」「競合企業」「流通業者」「市場環境」である。消費者関連では、「誰が」(Who→Target Consumer)「いつ、どこで」(Where When→Occasion)「何を欲しているか」(What→Wants)に着目する必要がある。それに対応する「製品」(Product)は、消費者に「なぜ購入してもらうか」(Why→Benefit)、それをいかに具現化するかが「製品属性」(How→Attribute)であり、それを可能にする「研究開発」テーマ(R&D)を考慮する必要がある。製品を消費者に効率的にわたるようにする「流通チャネル」(Distributor)、競争企業(Conpetitor)、消費者および製品に影響を与える「環境」(Environment)も考慮する必要がある。(中略)これらの考慮すべき事項とそれらの関連を示す示すと下図となり、これを基盤マーケティング・リレーション(Basic Marketing Relation)と呼ぶことにする。」
BMR(Basic Marketing Relation)
山中さんは、マーケティングを以下のように定義しています。
「BMRの視点からマーケティングを定義すると、マーケティングとは、環境(E)を考慮しつつ、消費者のウォンツ(W)と製品・サービスのベネフィット(B)を結びつける創造的かつ総合的活動をいう。」
【マーケティングにおける消費者理解】
「BMR」はとても使いやすいモデルで、山中さんの許可を得て、私たちの商品開発ワークフローでも活用しています。消費者理解について「BMR」に当てはめて考えてみると、環境(E)を考慮しつつ、「誰が(Target Consumer)」「いつ、どこで(Occasion)」「何を欲しているか(Wants)」を理解する、ということになります。ところが、これ、消費者に直接聞いてみても「ホンネ」はなかなか出てきません。だから、ホンネを探ること(インサイト)が必要になってきます。
以前、このブログでP&Gの桐山社長が定義した「インサイト」についてご紹介しました。繰り返しになりますが以下のような内容です。(興味のある方は既出の「戦わないマーケティング」をご参照下さい)
1)データでは見えてこない真実
2)心の奥深くに存在する自覚のない感情やニーズ3)ビジネスを成長させる可能性を秘めるもの
通り一遍の調査では答えを出せそうにありません。仮説を出し、検証することの繰り返しの中から洞察していくしかないのだと思います。
「Target Consumer」が「いつどこで」「何を欲するのか」を深く洞察するために、有効なのは「ペルソナ」づくりです。「ペルソナ」とは「顧客モデル」のことで、実在する人々のデータをもとに作り上げられた架空の人物です。感性嗜好や心理的な情報も含めてモデル化する必要があります。なぜならば、「Target Consumer」を生身の人間として捉えられなければ、その心の奥深くに存在する感情など見えてくるはずもないからです。
【「ペルソナ」をマーケティングに活用する】
ペルソナのマーケティングでの効用についてNHN Japanの田端信太郎さんがご自身のコラム記事の中で以下のようにおっしゃっています。わかりやすいので引用します。
「...性別・年代・所得といった属性情報を超えて、読者をセグメンテーションし、日々の編集判断や広告セールスにおいて、「ブレのない判断軸」を作っていくために、必要になってくるのが、単なる静態的で定量的な属性情報によるセグメンテーションを超えた、キャラ情報としての読者「ペルソナ」です。私が思うにメディア編集者にとっての読者「ペルソナ」設定とは、ユーザーを定量調査に基づいて収集されたデータ数値の集合として把握するのみでなく、あくまで「一人の生活者」として、電車の席でアナタの隣に座るかもしれない生身の人間のようにイメージし、本人すら気づいていないその心の奥底のヒダまで含めた、深層心理への洞察を持って、あたかもイタコのように自分の脳内に擬似人格を「住まわせる」域にまで到達できることが望ましいと思っています。」(→ 読者の「ペルソナ」設定が、メディア作りにおいて重要な理由〜メディア編集者は、対象読者の「イタコ」となれ!〜)
さて、下図は私が消費行動から消費者を捉えることの説明に使っている図です。例えば、性別、年代、職業といった基本属性情報だけでターゲットを捉えているとしたら、左側のシルエットの状態です。ところがこの人が普段何を買っているのか?どんなものを身につけているのかの情報を付け加えるだけで、右側のように具体的な生身の人に見えてきます。(手前味噌ですが「クラウド型消費者分析ツール『ぺるそね』」は、このようなデータを簡単に得られるように開発されました。)言ってみると、「ペルソナ」とは、あなたのターゲット・コンシューマーを、様々なファクト情報をもとに見える化することなのです。
消費行動から消費者を捉える
というわけで、今回は「ペルソナ図鑑」をちょっとお休みして、消費者理解についての記事を書きましたが、この話先が長そうなので次回に続きます。
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