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腐女子が(男×男)を愛でる時
腐女子という市場(マーケット)
腐女子が(男×男)を愛でる時
40代、仕事を持った腐女子。 某ジャンルにハマり09年夏に初めてコミケという場所に赴く。 さらに同人デビューを画策、悪戦苦闘の日々。
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よしながふみと三浦しをんの対談の中に、
「どうにかしたいくらい好きなキャラを、自分じゃどうにもできないから、
私の分身としてふさわしいキャラを攻めに指名する」
という記述が出てくる。
「それだ!」と、膝を打った覚えがある。
友人Aが
「『あしたのジョー』を読んでた頃、ジョーが好きで好きで好きすぎて、
あーも~う、なんつーの?とにかくどうにかしてやりたいっ、と思ったことがある」
と言った時も、私は深く濃く納得してしまったものだ。
女の身体は性的には受動的にできているので、
かなり限定されたシチュエーションでない限りは
実生活では受動的な立場になりがちだ。
BLを読む腐女子たちは、受けキャラのほうに自分を重ね合わせて
エロい妄想に浸っているのだろう、という意見をよく見かけるが、
それならレディコミや少々過激な少女漫画でもいいし、
実生活でも体験することは可能だ。
女性誌のセックス特集などで、
男性タレントのヌードが掲載されるような時代になったものの、
そこに掲載されている男の裸というのは
「この男、セクシーでしょう? 抱かれたいと思うでしょう?」
というコンセプトで撮影された、あくまでも
「抱かれるための、受動的に愛されるための男の裸体」だ。
「抱くための、能動的に愛する対象としての男の裸体」
というのはそうそうお目にかかれない。
お目にかかれたとしても、それは特殊性癖の場合だったりする。
そんなに特殊なシチュエーションではなく、
もうちょっとオトメちっくなシチュエーションで、
男性をもっと能動的に愛でてみたい!
と思った場合に、
BLというのは実に都合がいい。
この「BLというファンタジー」を通すと、
性差を超えて、受動的な立場から自由になれる。
口説く側も口説かれる側も、攻める側も受ける側も、記号としての男性(性別不明もあり)で、
それを読む私、という存在は第三者的な視点で俯瞰しつつ、
そのどちらにでも憑依できるのだ。
性的支配と被支配の両方を脳内でスイッチすることだって可能だ。
第三者的視点を保ったまま、ストーカーのようにねちっこく観察することもできる。
これが男女の組み合わせだったら、役割が決まりすぎていてスイッチしづらいし、
女性同士の組み合わせの場合は、第三者的な視点を保つことは難しい。
このあたりが、
「BL(ボーイズラブ)は女性に都合のいいファンタジー」
と言われるゆえんのひとつだと思う。