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【自分らしく生きる】筋ジストロフィーに立ち向かう山下さん

【自分らしく生きる】筋ジストロフィーに立ち向かう山下さん

伊藤 崇

株式会社リヴァ 代表取締役。うつの方への社会復帰支援サービスを展開中。医療、福祉、産業と色々な業界の機関とつながりをつくり、一人でも多くの方が自分らしくハッピーな人生を歩めるような支援を目指している。

当ブログ「うつ病からの社会復帰 自分らしい人生を!」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/liva/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


こんにちは、リヴァの伊藤です。

今回は、障害にも負けず自分らしく生きている方の事例をご紹介したいと思います。
ご本人にも許可を頂き掲載しております。


みなさんは、筋ジストロフィーというのは聞いたことがありますでしょうか?


筋肉の委縮と筋力低下が主な症状で、進行すると人工呼吸が必要となってきます。
遺伝子の異常が原因で起き、現時点では対症療法しかなく、最も多いデュシェンヌ型の患者の平均寿命は、30歳前後といわれる病気です。今回ご紹介する山下さんもこのデュシェンヌ型になります。
山下さんは、現在38歳。平均寿命を大きく上回って今も元気に働いております。

 

それは何故なのか?

強い意志を持ち、自分らしく生きてきたからではないかと思うのです。


■山下さんとの出会い
前職の時に大手IT企業への就労をお手伝いさせて頂いた時に出会いました。山下さんに出会うまでは恥ずかしながら筋ジストロフィーというものを知らず、厳しい状況の中でも素晴らしい志を持っていることに感銘をうけ何としてもお手伝いしたいと思い、その当時の大手IT企業の人事部を説得し、山下さんの自宅まで面接に来てもらいました。今でもその当時のことは鮮明に覚えております。


奥様とかわいい猫が一緒にいて、人工呼吸器をつけた山下さんはパソコンを使用する体力を考慮して、ベット上でパソコンを操作しながらの面接でした。面接は声が出ないため、チャットツールを使って返答されておりました。人事部長はその場で、一緒に働きましょうと仰って頂き、表情を作る筋力も低下していた山下さんが笑ってくれたように見えました。


■山下さんの現在
人口呼吸器をつけて生活されております。指先以外は、動かすことが難しく、その指先も僅かに動く程度です。また、気管切開をしているため、しゃべって会話することができません。

山下さんポート.jpg

休日は、楽天イーグルスやベガルタ仙台の観戦。絵の製作。他にネットショッピング等もされているそうです。


■現在の仕事
大手IT企業のWEBサイトの監視業務。ベット上で寝た状態で、ペンタブレットを使って作業をこなしておられます。


■就職に対して
進行が進むにつれ、やれることがどんどん制限されていく。そんな閉塞感がある中で、何か現状を変えたかった。
世の中のために何か自分の出来ることをしたいと思っていた。就職前にそのように伺いました。
今回、再度山下さんに就職について質問しました。

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僕はこの「現状を変えたかった。世の中のために何か自分の出来ることをしたい」という思いは、18歳のときに高校の卒業論文で発表しました。筋ジス患者は養護学校を卒業すると99%の方が病院暮らしです。
中学から高校卒業にかけて、「進路」という言葉が皆無の中で、病気を理由に大切な進路を放棄してはダメだ、能力を使えば、働くことができると訴えていました。
障害者の自立は、一般的な生活を体感することだけではなく、働いて社会に役に立てることだってある。
そういったことをずっと考えていました。

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現状を悲観するのではなく、現状を変えるには自分で動くしかない。
まさにそれを実行されて今に至っておられます。


■仕事をしてみて
入社当初は体力面が不安でした。そのため契約社員でスタートしました。慣れてくると以前より風邪や肺炎を発病することが年々減っていき、かかりつけの医師からも仕事はじめてから体調も安定してきたね、と言われるようになったそうです。
やはり、人間、誰でもやりがいを感じて仕事をするのは、心身共に良い影響を与えてくれるようですね。


■山下さんからのメッセージ

最後に山下さんからメッセージを頂戴しましたので、ご紹介いたします。

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「絶対に何が何でもやってやる!」と心の奥に秘めて、そのために毎日何に対しても真剣に取り組むということは、とても大切なことだと経験を通して感じています。
そして、自分の身の回りに転がってくるチャンスにしっかり気づいて決断できるか、ということも前に進む上で大事な要素だと思います。
また、僕は体の殆どが動きません。だからといって悲観しているわけではありません。別の考え方をすると、動いている部分は、動かない部分の働きがない分、使用する時間、向き合う時間が多くあるから他の人より特異なことができるかもしれない、と前向きに捉えることもできます。医学的、科学的にどうかはともかく、発想の転換をして上手く自分の体をコントロールしていくことも人生を豊かにする秘訣だと思います。
この年になってもまだまだ、未熟な僕ですが、常に自分のアンテナからやるべきことを敏感に受け取れるように、能力を磨いて歩んでいきたいと思います。
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障害が、必ずしも仕事をやる上で障害とはならないことを山下さんは実証しております。
社会にはまだまだ沢山の偏見があり、そのことによって多くの可能性を潰してしまっていると思います。

そして仕事とは、ただお金を稼ぐものではなく
社会や人とのつながり、存在意義をも感じられる素晴らしいものなのだと改めて気付かされます。


山下さんは、まだ筆が持てた若いころから取り組んでいる絵を、今でも描き続けております。
筋力が低下していき、今では指が僅かに動くだけの状況でも毎年新作を発表する姿は本当に素晴らしいと思います。
わたくしもファンの一人で、机の上には山下さんのカレンダーを置いております。
下記の絵は弊社に送って頂いたものです。

 

山下さん(シーガイア).jpg

<19歳でこの世を去った親友へ追悼の意を込めて描いたもの>

 

 

山下さん(人のかけ橋desu).jpg

<未来にどんなことが起ころうと、僕は絵を描く事を辞めないという決意が込められている>

 


もっとたくさんの絵が、山下さんのホームページにあります。興味がある方は是非!

 

山下さんのホームページは こちら