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高級ブランド品が厳しい状況の中、「ロエベ」がすごい。

高級ブランド品が厳しい状況の中、「ロエベ」がすごい。

猪口 真

広告制作会社、人材開発コンサルティング会社を経て、2004年株式会社パトス設立。現在同社代表 マーケティング・コンサルタント。

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震災後に軒並み数字を落とした高級ブランド品の中にあって、「ロエベ」が相変わらず好調らしい。

ロエベは、1846年にスペイン、マドリードで創業された皮革製品で超有名なブランドだ。1996年には、ルイ・ヴィトンなどの多数の高級ブランドを抱えるコングロマリットLVMHグループの傘下に入り、レザー製品とプレタポルテの2分野を中心に事業展開を進めている。

1905年には、コンキスタ公爵夫人によってスペイン王室に紹介され、高品質で格調高いロエベの製品が高く評価され、アルフォンソ13世から王室御用達の称号を授かったという。

これだけ聞くと、有名ブランドのよくあるヒストリーに過ぎないが、現在の日本においても、しかも震災後の他高級ブランドが軒並みダウンしている中で、さらに人気を博しているとなれば別の話だ。

震災後、日本人の価値観が大きく変わったと言われる。

自然の力にはどうあがいてもかなわない、人間は自然の前では無力であり、科学は万能ではない、ということを強く感じた人は多い。

だからといって、その価値観の変化がすぐにロエベのようなブランドの売れ行きに直結するわけでもないが、160年以上もハイソサエティな人たちから支持され続けてきた背景には、2代、3代と受け継がれるべきブランド価値、商品価値なくしてありえないことも事実だ。

トレンドではなく、本当に良質なものを修理を続けながら、100年以上も使い続けることが可能な商品に価値観が徐々に動いているのもまた事実だろう。

とはいえ我々のような普通のビジネスマンがおいそれと真似できる芸当でもなく、明日の結果がほしい企業は取り入れようにも存続すらすることはできないが、「人が自分にとって本当に必要なものを考えたとき、自分たちには何が提供できるか」を自問することは、これからのビジネス人生にとって、とても意義あることかもしれない。