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インテリジェンス

インテリジェンス

マイク 丹治

セールスジャパンという、中小企業・ベンチャー企業向けの営業代行・販路開拓の会社で会長を務める傍ら、いくつかの会社の顧問に就任しており、更に政策シンクタンク・構想日本で政策提言を行っています。

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インテリジェンスというと知性のように聞こえるが、ここでは所謂諜報戦略を想定している。たまたま、北朝鮮のミサイル発射が話題になっているが、どうもわが国は政府やマスコミを含めて情報統制が行きとどいていない、というかインテリジェンスの意味が十分に理解されていないような気がする。

以前に北アフリカで日本のエンジニアリング企業の関係者が拉致され、殺害された際も、わが国の情報収集能力についての懸念が指摘された。確かに、必ずしも十分に情報が集められていないように思える部分もあるが、国家が自国の安全保障を考える際に重要なのは、情報を集めるだけではなく、これをどう分析するか、また逆にどう情報を(場合によってはかく乱させるべく)発信するかであるはずだ。

この点で言えば、おそらく第二次世界大戦の前は、日本の参謀本部も相応の情報収集力と分析力を有していたと思えるが、戦後東西冷戦構造の中で経済独り勝ちを許され、安全保障を他国に依存したわが国は、そもそもインテリジェンスということを考える必要性すらなかった。

従って、情報収集・分析能力も当然蓄積されてこなかったと言える。ところが、世界の構造が大きく変化し、米国依存型の国家運営が色濃く残るとは言え、隣国中国を始め世界の動向に対して自ら相応の判断を強いられる現状、わが国にはそれに見合う機能は備えられているとは言えない。

問題は、実は情報収集ではなく、分析能力だ。つまり何がどう動けば、どのような次の動きにつながるか、という推測は、過去の様々な経緯についての膨大なデータベースや、複雑に関与し合う各国の動きに関する緻密な理解と分析を必要とするのであり、一朝一夕にその基盤が出来るわけではないのだ

その意味で、徐々に世界の秩序から取り残されつつあるわが国にとって、少しでも早くこの機能を整備することが不可欠だが、あまりこのような議論はされていない。加えて、もう一つの重要なインテリジェンスの機能である情報発信に関しては、全く国家としての体制が出来ていないとしか言いようがない。

北朝鮮問題にしても、元政府の閣僚がテレビに出て行って、様々な推測を述べているし、そもそも破壊命令についても、詳細は発表していないにしても、堂々と報道されている。ある意味で国民の命に直接関連する国家の安全保障で、且つ相手国のことを考えると様々な配慮が必要な情報について、このような形で安易にどんどん情報が出てきて良いのか?関係者もマスコミも、全くインテリジェンスに関する意識がないと感じる。

たまたま欧米の関係者の話を聞いたが、やはり彼らから見ると日本人はしゃべりすぎる、従って機密事項については、日本には相談しない、という認識があるそうだ。それは一つには、日本の意思決定構造が複雑で、担当部署に行くまでに多くの他の関係部署を通ることも一因のようではあるが。ともかくも、本当の意味での国家機密などは守られないのが、わが国の特性のようだ。まずは、この点をもっと慎重にしたらどうか?