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常識の変化

常識の変化

マイク 丹治

セールスジャパンという、中小企業・ベンチャー企業向けの営業代行・販路開拓の会社で会長を務める傍ら、いくつかの会社の顧問に就任しており、更に政策シンクタンク・構想日本で政策提言を行っています。

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昨年末来、話題になっていたアナウンサー志望の女子大生の内定取り消し問題は、結局和解という形で取り消しを撤回する形で決着がつく見込みらしい。

直接この女性を知っているわけでも、このニュースを詳細にわたって追いかけていたわけでもないので、私の理解不足や誤解もあるのかもしれないが、この決着そのものが良く理解できない

今時、水商売でアルバイトしていたなどということで採用を取り消すのは、就業の権利を奪うものだ、という人権に基づいた議論はもちろんもっともだと思うが、一方でやはり報道を通じて社会に責任を持つテレビ局などは、相応に会社としての一定のルールを確立する必要があり、それが例えば学生のアルバイトは認めるとしてもその範囲について相応の領域があるというのは、決して批判されることではない。

おそらく大部分の大手企業は、明示しているかどうかは別にして、同じような基準を持っているだろうし、私にとってもこれは常識だ。もちろん世の中はどんどん変わり行くものであるし、そのような常識自体時代遅れだと言われてしまえばそれまでだが、きちんとした組織で学生時代から水商売をしてきた人を新卒で採用するというのは、あまり考えられない

これは水商売を否定するものでも批判するものでもなく、ただ学生の本分が勉学である以上、それに相応しいアルバイトであるべきだという私なりの考え方に基づくものだ。アナウンサーは、そもそもホステスのようなものだし、芸能界には水商売出身者が多数いるではないか、と言われればその通りだが、組織として新卒採用をするのと、能力ある経験者を中途で採用するのは全く違う次元の話だ。

一方で、ことの詳しい経緯は知らないが、これを権利を侵害されたとして主張する気持ちは分かるが、逆に言えば勉学を本分とする学生の身分で、ホステスに従事し、それで天下の大企業に入社したい、出来ると思う女子大生の常識はどうなのか?そして、これを大っぴらに訴訟で争おうとすること自体、ちょっと非常識のような気もしないではない。

更に、一番分からないのは、これが和解で決着するということだ。採用する側にとっても、このような考え方の人間が入ってくれば、また不適切な行動をする可能性は高いので、決して会社の組織運営として容易ではないはずだ。そして、引き続きそのような不適切な行動があれば、また紛争が起きたり、或いはこの個人の昇進が進まなかったりして、更に「差別待遇だ」という訴訟が起きる可能性もある。

入社する本人にとっても、自分の常識と会社の常識の相違は認識できたはずで、とすれば自らが社会に適応できる可能性が決して高くないということも分かったはずだ。とすれば、それこそ例えばホステスを続けて、そこから芸能界入りを目指すなど他の道を指向すれば良くて、ある程度の大きな金額を賠償金として受け取った方が、先のためにはなるのではないか、とも思うのだ。

要は、こんなにお互いの価値観が異なるのに、お互いに一緒にやっていくというリスクを何故冒すのかが、私には理解できない。会社にとっても、お金で済ませた方が好ましい場合があると思うのだが。それとも、以上のように考える私の常識が、もう時代遅れなのだろうか?