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規制主義を排そう!

規制主義を排そう!

マイク 丹治

セールスジャパンという、中小企業・ベンチャー企業向けの営業代行・販路開拓の会社で会長を務める傍ら、いくつかの会社の顧問に就任しており、更に政策シンクタンク・構想日本で政策提言を行っています。

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いつも文句ばっかり言っている気がするが、まあうるさいオヤジということでご容赦されたし!今日の話題は、今大騒ぎのTPPとオリンパス。

タイトルとは違う話になるが、まずTPPから行くと、私はTPPそのものは反対ではない。これからの世界情勢を予測した場合に、出来るだけルールを統一しておく必要性は認めるし、アメリカに近いわが国として、どちらかと言えば欧米流の仕組みが好ましいとも感じる。

ただ、長期的な課題としてはそうだとして、今仮に何カ国かで合意したところで、それがすぐに急成長国へのプレッシャーになるとは思えないし、対象とする項目が幅広すぎて、ある意味でそれぞれの社会との親和性に疑問がある部分もあることを念頭に置くと、急ぐ必要はないと感じている。

まあ、それでも進めていくという考え方はあり得ると思うが、その内容や影響について、或いはわが国のこれまでの貿易政策や関連する事項についての、歴史的精査などがあまりに欠けてはいないか?アメリカに良いところを見せよう、経団連に良い顔をしよう、という拙速と、一方で農業関係者を中心としたヒステリックな反対だけが取り上げられていて、本来議論すべき重要なポイントが忘れ去られているように感じる。

それより、このところのわが国の運営を見ていて気になるのは、総理の独断専行だ。確かに重要な事項について、国論が割れている状況でも決断を迫られる場合はあると思うが、緊急性があるとも思えないTPPについて、国会も真っ二つになっている状況で、総理が独自に判断することは、わが国の制度的な仕組みからしてそもそも違憲ではないか

わが国の政治機構は議院内閣制だ。そのもとで運営されているのに、鳩山氏以来国権の最高機関であり、国民の意思を背景にする国会の意思を無視した恐るべき政策が次々と打たれており、どう考えても民主党の代表の方々は、総理の役割というのを誤解しているとしか思えない。もちろん国会議員の資質そのものの問題もあるが、せめてこのあたりの原理原則は守ってほしい。

さて、話題を変えるが、オリンパス問題で、さっそく民主党内に会社法の改正のための委員会が出来たらしい。もっと規制を厳しくということだろう。だが、本当に規制すればこのような事件は発生しないのか?規制による経済コストはどの程度なのか?などなど、もっと慎重に考えてほしいと思う。

何か起こると、政府が関与すれば良くなるなどという発想が幻想であることは既に証明されている。企業の内部統制や監査、コンプライアンスなどについても、もはや必要性をはるかに超えた規制が行われていると言って良い。今回の問題の処理がどのように実行されたのか、詳細は知らないが、そもそも2千億の買収に700億のフィーなど、あり得ない話だ。

つまりこれは規制をどうするとかいう話ではなく、普通に会社が運営されていれば絶対に起こらないはずのものなのだ。しかも、これらの処理に関しては、一流の監査法人が関わっている。もし、上記のような処理がそのまま実行されていれば、一般株主でも気づいて代表訴訟を起こせるはずだから、多分これを外部に見せない処理がされていたのだろうと推察されるし、とすれば監査法人が発見できないことがおかしいということになる。

何でも規制という形で進めても、結局抜け道が出来るだけ、それよりもわが国の人材のレベルが日を追うごとに劣化していることの方を心配した方が良いのではないか?更に加えて言えば、どうも有価証券報告書の虚偽記載は行政処分だけで済ますという話が出ている。

しかしこのような経理処理の最大の問題は、経営者と監査法人を信頼した一般株主の損失であって、それを標榜するのが有価証券報告書だとすれば、これは行政処分で済ますという話ではなかろう。過去に、長銀事件で経営者が刑事・民事で最高裁まで争った事件があったが、これは行政の指導もあった上での処理に関して告発されたものであり、最終的には経営者側が勝訴している。

これと比較して、経営者が自ら認識してその判断だけに基づいて行った不正な損失隠しについて、当局が甘い対応をするとすれば、そもそも行政の判断に安定性がなく極めて恣意的と言わざるを得ない。そして、一方でTPPの参加を表明しながら、このような証券市場をないがしろにした対応をするとすれば、それこそ国際基準にない国のレッテルを貼られることにならないか?私は、欧米中心の国際標準万能主義には反対だが、世界のカネが動く株式市場では、これに従わざるを得ない部分が大きいと感じているのだが。