誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。

成人は20歳で良いのでは?

成人は20歳で良いのでは?

マイク 丹治

セールスジャパンという、中小企業・ベンチャー企業向けの営業代行・販路開拓の会社で会長を務める傍ら、いくつかの会社の顧問に就任しており、更に政策シンクタンク・構想日本で政策提言を行っています。

当ブログ「マイク丹治の「グローバル・アイ」」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/miketan/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


参政権に関して、18歳からという改正の話がある。以前から議論になっていたが、最近突然復活したようだ。マスコミ報道によれば、要は国民投票法が18歳からになっているので整合性を取る必要があるということだ。国民投票法の議論の経緯は知らないが、どうも本末転倒ではないか?きちんと一体何歳を政治参加の年齢とするか議論した方が良いのではないか?

確かに現実に高校を卒業して仕事をしている人たちは沢山いるので、18歳からということは理解できなくはない。でもそんなことを言えば、それこそ「三丁目の夕日」ではないが、昔は集団就職で中卒で就職した人も沢山いたのだから、あまり理由にはならないだろう。

どうも、オリンパスや大王製紙が出るとすぐに会社法改正の話が出てみたり、行き当たりばったりのように感じる。投票年齢は、国民の権利として極めて重要な権利だ。もっときちんと考えるべきだ。そして、さらにこれを踏まえて民法の成人年齢を改正する話まで出ているのには、ただあきれるばかりだ。

何故、きちんとした議論がされたかどうか分からない国民投票法に合わせて、投票年齢全般さらには成人年齢まで改正する必要があるのか、全く理解できない。もちろん以前から犯罪年齢の若年化に従って少年法の適用範囲を狭める必要があるという議論はあった。

これは理解できないわけではないが、一方で確かに体格は大きくなったが、精神年齢は以前よりもより若年化している、つまり20歳は前よりもっと幼稚になっているというのも定説だ。とすれば、一体どういう理由でこれを改正するというのか、きちんと説明して欲しい。

どうも、一つの理由づけとして、海外の大部分が18歳が成人年齢だからというのがあるようだ。確かにこれだけ国際間交流が盛んになると、異なる年齢での取り扱いというのは困ることも出てくるだろう。だが、海外から来る外国人にとっては、酒やたばこで訪問国のルールに従うのは当然だし、自国法で18歳から犯罪で少年法は適用されないと思っていれば、それより日本は軽いルールなので不都合はない。

一方で日本人が海外に行くケースはそもそも減っているし、仮に行くとすれば19歳でも海外では犯罪で直接現地法で成人として処罰される可能性がありますよ、ということを理解しておけばよいだけだ。

そもそも民法というのは、社会の仕組みと密接に関連したある意味国民生活を規定する一番の基本法であり、これを単純に海外がこうだからと言って合わせようという発想が理解できない。これは最近議論されている債権法の全面改正でも同じだ。日本民法を世界標準になどと言う前に、これまで国際標準と思われてきた議会制民主主義や金融資本主義などの欧米の仕組みが崩壊しつつあること目を向ける必要がある。

投票年齢についてどう考えるかも一つだが、それ以上に成人年齢については、わが国の文化や歴史にも心をいたし、くれぐれも安易な改正をすることにないように願いたい。