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「半沢直樹」は本当に型破りなのか?
理系博士研究者の一人が考えるビジネスマインドと実践例
「半沢直樹」は本当に型破りなのか?
ポスドク&非常勤講師生活を経て、私立大学の教育・研究職に従事する一方でポスドク時代に不動産投資を開始。職場の行き帰りの生活だけでは極めて危ういことを知るに至り、現在は会社・社会・国に過度に依存しない生き方を少しずつ実践中。
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TBSテレビの日曜9時からのドラマ「半沢直樹」をご覧の方も多いと思います。視聴率も20%を超えているようですね。私自身は宣伝で、銀行の融資課が舞台のドラマと知り、銀行から融資を受けている身としては見ないわけにはいかないと大変楽しみにしておりました。
第一話を見終えて、自分が知っている銀行さんの断片的な情報とこのドラマの中で繰り広げられるストーリーのそれぞれの場面が、隙間だらけのジグゾーパズルに、ばしばしとはめ込まれていくように、情報が補完されていく思いがしました。氷山の一角しか見えていなかったものについて、海に埋もれている大部分のところも見えたような気がした次第です。
ただ、当然のことながらフィクションなので、どれほど現実と合致しているのかわかりませんが、自分の持っている情報と矛盾がないので、情報を外挿しても間違いがあまりないのではと推測しております。
晴れの日に傘を貸し、雨の日に傘を取り上げる
「晴れの日に傘を貸し、雨の日に傘を取り上げる」という銀行を揶揄する言葉や、「裁量臨店」という言葉も登場しました。以前のブログで、この「晴れの日に傘を貸し、雨の日に傘を取り上げる」については言及させていただきました。会社が好況の時に金を貸し、不況で厳しくなってくると金を貸さなくなる、もしくは貸した金の回収にまわるという意味です。商売で金貸しをしている以上、当たり前の話であり、銀行から融資を受けるということは自分に銀行が投資してくれている、投資先としてふさわしいかを考える必要があるという主旨です。
原作本との違いも楽しめます
第一話を見終えて、どうしても先のストーリーを知りたい衝動に駆られて、池井戸 潤さんの原作本「オレたちバブル入行組」を読んでしまい、原作とテレビでのストーリーの多少の違いを楽しみ、今度はどうして、テレビドラマが原作と少々違う作りになって、どうしてその該当する場面のストーリーを変えたのか?という点に興味がシフトしているところです。
上司のとばっちりや尻拭い
前置きにずいぶん長くなってしまいましたが、ここからが本題です。会社や組織の中で、誰かのとばっちりを受けた経験のない人は少ないのではないでしょうか? 同僚や後輩、部下ならまだしも、先輩や上司の失敗をかぶせられた、もしくは、尻拭いをさせられた経験のある方は多いのではと思われます。
そんな時、どうするかというと、大抵の人は同僚や家族、友人に愚痴るか、一杯飲みに行って、該当者の悪口をいうのがせいぜいではないでしょうか? 結局、不満に思いながらも、時としてひどい目に遭いながら、大変な思いをしながら仕事をしているのが関の山といったところでしょうか?
私も同じようなケースがありました。私の先輩・上司にあたる人が仕事を放って置いたがために締め切り間近になって大慌てで仕事をし始めるというケースです。しかも、後輩の私に完全にスルーパスされてしまいました。もし、その仕事が発生した時点で私に知らせてくれていれば、余裕を持ってできた仕事です。状況が悪化した時点でスルーパスされると元も子もありません。
また、ある厳しい条件で仕事を任されそうになったこともありました。そんな時、必ず「そんな状況ではできませんから、こうこう こうしてください」と必ず意見するようにしています。先輩、上司とか関係ありません。もし、そのような不利な状況で仕事を始めてしまったとして、後でとばっちりを受けたり、大変な思いをするのはまぎれもない自分自身です。
言わなければ無能
一般の企業がどうなっているかはわかりませんが、大学等研究機関では、いわゆる上下関係というものが少ないのが特徴です。立場が下の人間でも、しっかり意見して筋が通っていれば、上の立場の人間はそれを吸い上げてくれます。それどころか、自分の意見、独自の主張をできなければ、無能のレッテルを張られてしまいます。誰かに意見するという行為は、アイデンティティそのものです。自分の考え・主張が正しいという自信があれば、半沢直樹のようにしっかり主張するのはあまりにも当たり前の話です。
もし、企業の求めている人間が上からの指示を待っているだけの指示待ち人間ではなく、自分の頭で考えて行動してくれる人間であるならば、当然、半沢直樹のような人材は本来大歓迎のはずです。
人の悪口は言うべき?
子供の頃に、親や大人から「人の悪口を言わないように」と教わった人は多いと思いますが、私は間違いだと思っています。悪いのは、人の悪口を陰で言うことであって、悪口は建設的な意見を添えて、本人に直接言うというのが正しいと思っています。半沢直樹のような人間がごくありふれた普通の存在になって、風通しのよい組織・社会が作られていけば実に面白いと思わずにはいられません。
懐かしい「スクールウォーズ」・大木大介のセリフ
同じくTBSドラマで、もう28年くらい前になりますが、高校ラグビーのドラマ「スクールウォーズ」の中で、不良の大木大介が、大企業名村グループの会長の名村健三氏に暴言的なことを言い、部下が「何てことを言うんだ!」というセリフに対して、大木は「大企業の社長だろうが何だろうが、おっさんはおっさんだろ?」と言い返したのを思い出します。
自分より社会的地位が上であろうがなかろうが、言いたいことは言うしかありません(笑)。
「沈黙は服従なり」ということですね。その後、時間が経過して自分がどんなに不利な立場に追い込まれようと容認するということに他なりません。
(追記:8月5日) 小ネタです。
岸川取締役・役の森田順平さんは、同じくTBSドラマ「3年B組金八先生」の数学教師の乾先生・役でした。また、高木専務・役(旧東京第一銀行出身)の三浦浩一さんは、上記の「スクールウォーズ」の数学教師の甘利先生・役でしたね。
このお二人が登場するというのは、TBSドラマファンにはちょっとうれしいところでしょうか。