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どうして税制ってこんなにも複雑? もっと簡単でいいんじゃないの? 税額は200万円/年・人で丸く収まる?
理系博士研究者の一人が考えるビジネスマインドと実践例
どうして税制ってこんなにも複雑? もっと簡単でいいんじゃないの? 税額は200万円/年・人で丸く収まる?
ポスドク&非常勤講師生活を経て、私立大学の教育・研究職に従事する一方でポスドク時代に不動産投資を開始。職場の行き帰りの生活だけでは極めて危ういことを知るに至り、現在は会社・社会・国に過度に依存しない生き方を少しずつ実践中。
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先日、税理士先生のお話を伺いました。平成23年度の税制改正についてのお話です。相続税、贈与税について、最高税率が50%から55%になったというニュースをお聞きになった方も多いと思います。また、法人税の実効税率が40%から5%下がって35%になるという報道もありました。それ以外にもちょこまかしたものも含めれば、
- 相続税
- 贈与税
- 所得税
- 法人税
- 消費税
前から思っていることではあるのですが、どうして、こんなに複雑にする必要があるのかがさっぱりわかりません。むりやり、国としてすべき仕事を作っているようにすら思えてしまいます。
複雑になりすぎているものは、改正するというよりも、一から作り直した方が早そうです。
PCへのインストール、アンインストールの作業をしくじってしまい、動作がおかしくなった経験がお有りの方もいると思います。そんな時、色々いじくりまわすよりも、OSからインストールし直した方が早いなんてことも珍しくありません。
と考えると、1から作り直したとして、最も単純な税金の仕組みは、国民1人当たりの税額を均等にすることです。
1億人の人口から、100兆円の税金を吸い上げようと思ったら、1人当たり100万円ということになります。
昨年最後のブログ:「抱負なんて毎年1つしかない」でも述べましたが、
「社会を形成する一員として社会を存続させるために必要な1人分の責務を果たすこと」について考えると、上記の税額100万円/年・人 というのがベースになりそうです。
もちろん、これは労働力人口に含まれない国民についても考えているので、実際は倍くらいになりそうです。
このページの資料を見る限り、労働力人口は、6500万人くらいだそうなので、倍というのは妥当なところで、そうすると概算で200万円/年・人となります。
まず、この考えがベースになってしかるべきです。これまでの複雑な税制がうそかと思うくらいシンプルです。
もし、所得格差というものが少なくて、上記の考えがそのまま適用できるのであれば、確定申告なんていう、まどろっこしい作業も不要で、四方丸く収まりそうです。
色々なところに格差がありますが、税制の分野における格差(累進課税)をなくすのであれば、上記の議論がなりたってしかるべきです。
ただ、実際上そうはいかないというのも事実です。ただ、少なくとも、所得税だけ存在すれば十分かなという話にもなりそうです。消費税も法人税もいらないということです。
では、実際の所得分布を見てみます。厚生労働省のページからグラフを引用します。
もし、200万円/年・人という定額税制を適用した場合に、その税金を支払える人の所得が600万円以上とすれば、全体の35%ということになってしまい、即座に破たんしてしまいます。
そこで、まず導入されるべきは、定率税制です。上記のグラフによると、平均所得金額が556万2千円なので、単純に、200万円をその数字で割り算すると、税率は、36%ということになります。
もちろん、この数字は、所得税だけを考えた場合であり、消費税、法人税を組み合わせれば、税率は下がってくるでしょうが、累進課税という格差を容認している(無理矢理容認させてしまっている)ことで、自分よりも多くの税金を納めてくださっている方々が大勢存在し、自分の税額が低く済んでいるという事実を改めて知ると、感謝と申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
いずれにしても、現状のような複雑な税制である必要は全くないというのは事実だと思います。複雑であることが、格差を小さくするために帳尻を合わせるための方便ともとても思えませんし。
上記の例では所得税だけでしたが、より平等性を追求するなら、お金を使った人と使わない人とで、差がついてしかるべきと思いますので、消費税だけというのもありだと思います。会社というのは、労働力という商品を買ってお金を払うと考えれば、給料の授受の際に消費税があってしかるべきとも思います。要は、所得税というのは、消費税の特殊な場合と考えられるので、所得税という名称をやめて、お金の受け渡しがある時に、税金のとりっぱぐれのない仕組みを作ってしまえば、それで十分かなとも思います。
例えば、全ての支払いがカードでできるようになれば、そこから使った額に応じてピンハネしてしまえばおしまいです。
上記のように、一から作り直して、必要最小限の仕組みで済むように、1つずつ後付けでくっつけて行ったとして、現状のような仕組みになる必然性はどこにあるのでしょうか?
あまりにも単純な場合の話なので、仮定が異なれば、結論も変わりますし、粗だらけたということも承知していますが、とにかく、手抜きをしてシンプルに考えるのが大切かなと思う今日この頃です。
極端な例ではありましたが、所得の再分配の機能を持たすために必要な最低限のことが何かを考えた時に、現状の税制がシンプルなものになっているかは疑問です。
どこかで、小さく検証してみるということができないものでしょうか? 例えば、どこかの地方自治体に特区のようなものを作るとか。
税制に限らず、経済の問題って本当なら検証してみたいところなのですが、それがしづらいというのが難しさを演出していますね。
とにかく、いずれにしても現状の体制から消費税がつり上げられれば、税負担が増えるのは必至で、本当にそうする必然性があるのかを1から見直してみる機会がないと我々国民は納得ができないですね。
P.S. 自分の意見を言いたくなったり、反論したくなったりしたら、こちら。