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AKB48で学ぶ統計学の基礎(全種類集めるのにいくらかかる?)

AKB48で学ぶ統計学の基礎(全種類集めるのにいくらかかる?)

永松 和洋

ポスドク&非常勤講師生活を経て、私立大学の教育・研究職に従事する一方でポスドク時代に不動産投資を開始。職場の行き帰りの生活だけでは極めて危ういことを知るに至り、現在は会社・社会・国に過度に依存しない生き方を少しずつ実践中。

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 CDの種類は?

AKB48の第4回の総選挙が5月22日スタートしたそうです。

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写真1 CDを買いに行こう

投票権を得るにはCDを買うわけですが、「真夏のSounds good !」を購入すると、この投票権以外にもメンバーの写真や握手券といったおまけがついてきます。その種類は、ネット上のある情報を元にしますと

  1. 初回盤A(握手券2種)1600円/枚
  2. 通常盤A(生写真36種)1600円/枚
  3. 初回盤B(握手券2種)1600円/枚
  4. 通常盤B(生写真36種)1600円/枚
  5. 劇場盤(握手券1種&ランダム生写真237種)1000円/枚

の5種類あるそうです。そこで、これらを自力で全て集めようと思ったら現実的にどれくらいの金額になるか計算してみました。フルコンプという言い方をするようです。

 計算の方法について

計算の方法は、

  • それぞれ何枚買ったら全種類揃うかの確率を出して求める方法
  • 乱数によるシミュレーションを行って求める方法

の2種類あります。今回は、後者の方法を採用しました。
ネット上の情報によりますと、5形態314種類と書かれていますが、初回盤Aの2種類を揃えるのに何枚買う必要があるか? 同様に、通常盤Aを36種類、初回盤Bを2種類、通常盤Bを36種類、劇場盤を237種類とし、計313種類として計算を行いました。
(劇場盤は、握手権 プラス 写真237種のうちどれか という解釈をしました。もし、314種だとしても、大きくは変わりません) 

 仮に100万人が挑戦した時の金額の分布と平均は?

分布は以下のようになりました。これは仮に100万人の人が全集めを目指してCDの購入をし続けた場合の一例に相当します。横軸が投資金額で、縦軸が人数です。

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図1 100万回の試行による投資金額の分布。横軸が金額、縦軸が度数。ビン幅は5万円

平均すると、1.9×10^6円(約190万円)となりました。分布に偏りがあります(正規分布にならない)ので、少し前にネット上で話題になっていた、平均値よりも大きい場合と小さい場合の数は等しくなりません。

また、今回の場合、

最小値(最小投資額)は、1,033,000円で、
最大値(最大投資額)は、5,317,400円

となりました。この数字は、乱数の振り方によって多少変化します。

原理的な最小値は、上記の5種類について、それぞれ、2枚、36枚、2枚、36枚、237枚を購入した場合に相当します。金額にして358,600円です。もし、自力で集めずに、他のファンの方との交換で全種類集めに挑んだとしても、交換するものが必要になりますから、この金額が最低ラインになりそうです。もし、自力で集めようとした時に、この金額で済む確率は恐ろしく低いものです。ここでは計算しませんが(高校の数学の知識で計算できます)、100万回(100万人)のトライでもカスリもしないくらい小さい数字です。

 AKB偏差値は?

学生時代にお世話になった偏差値ですが、学力テスト等でもたとえ正規分布にならなくても、平均と標準偏差を計算してしまえば、目安として偏差値を出すことができます。もちろん、順位に応じて、正規分布の場合の確率を使って出すこともできますが、おおよその目安としては以下のようになります(有効桁2桁として)。投資金額が小さい方が成績優秀としました。もし、投資金額が130万円くらいで済めば、偏差値70で優秀といえそうです。ただ、前述のように、もし全集めに挑むとしても交換するのが相対的に現実的であるといえそうです。

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表1 投資金額と偏差値の関係。低い金額で全て集められれば成績よしとしました。

 仮定となる条件

あくまで、CDは多数存在し、おまけの数もまんべんなく混ざっているとしています。もし、ある特定の写真について、ひどく数が少なかったりすると、さらに投資金額が増えることになります(実際はどうなのでしょうか?!)。

 最後に(確率100%!?)

子供の頃に、駄菓子やなどで、お菓子(ガム)を買ってくじを引いて景品をゲットするために、多くのお菓子を買ってしまったという経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。
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写真2 くじびきで当たる確率100%のように見えるが...

そんなときに、お菓子の残りが2つで、景品の数も2つだったりすると、心の中で「これは確率100%なのでは?」と喜び勇んで、買ってみたところ、ものの見事に「ハズレ」なんてことがありましたが、純粋に確率の計算以外のところで色々な仕掛けがある場合がありますので注意が必要です。また、この5種類のCDとおまけの構成についても、どうしてこのような形態になったのか、したのかについても興味深いところです。