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入社までこれだけはやっておいた方が良い内定者教育

入社までこれだけはやっておいた方が良い内定者教育

中尾 英明

クレスコ株式会社代表取締役。大手総合人材サービス会社、採用コンサルティング・アウトソーシング会社(3社)の取締役を経て2009年4月、クレスコ株式会社を設立、代表取締役に就任。

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10月に入り、多くの会社が内定式を開いたかと思います。人事担当者の方は無事内定式を迎えられたという安心と入社までの対応に関する不安をお持ちの方が多いのではないでしょうか。

私は会社を経営する傍ら、これまで採用の"現場"を見て、様々なアドバイスを行ってきました。
アドバイスだけではなく、自らも採用実務者として多くの企業を支えてきました。
また、学生のビジネススクールの運営にも関わっており、最近の学生の生の声にもたくさん触れています。

そこで今回は「入社までこれだけはやっておいた方が良い内定者教育」をテーマに進めていきたいと思います。

1.近年求められる内定者のスキルアップ

最近になって内定者教育という言葉を多く聞くようになってきましたが、10年ほど前までは「4月から頼むよ、今は学生生活を楽しんで」と
言われるくらいで、課題図書ぐらいはあったものの、それ以上の教育はそれほどなかったように思います。
それが急速に言われるようになった背景には、学生の社会人になるんだといった自覚、マインドを含めた、スキルの低下があるのかもしれません。
また激動の時代ですから、以前にように企業側に余裕も少なくなり、入社後いかに早く活躍してもらえるかという必要性も増えたきたように思います。
中には3月に入社させ、研修を行う会社も出てきました。
ですから、多くの企業の内定者教育の大目的はいかに実践に則したマインドを含めたスキルアップができるか、ということになると思います。

2.実践的な内定者研修とは何か

皆さんが考える実践的な内定者研修とはどのようなものでしょうか?よく人事の方が誤りがちなケースとして、内定者ゆえ、
講習や座学を中心に考えてしまいますが、それでは本当の意味での実践的な内容にはなりません。

私は25年ほど前、新卒でリクルートに入社することになりました。するとまわりの内定者は続々と会社でほぼフルタイムで営業アルバイトを始め、
社員同様に働くようになりました。当時のリクルートでは内定者も社員同様に目標が与えられ、表彰もされ、というように働くことができました。
最初、他のアルバイトとの兼ね合いで週に1日程度しか参加出来なかった私はかなり焦って負けじと頑張ったことを覚えています。

上記のように実際に営業をするということは若干ハードルがあるとしても、会議への参加やシステム開発の現場にいることや社内の生の情報に
触れることは内定者にとって意識の変化が見られるだけでなく、成長のきっかけにもなります。

私の実体験で申し上げますと、内定者に会社の状況が良くないタイミングで営業会議に参加してもらったことがあります。
不安になる内定者も出るかな、と多少心配しましたが、内定者の中には「私が立て直します」というような気概を持って、その後
入社してきてくれたことを覚えています。

内定者を会社の現場に触れさせて、大丈夫か?不安に思わないか?という心配は無用です。仮にそう思われたとするならば、
その内定者が入社した後も同じことを考え、結果、定着は難しい、と考えるべきではないでしょうか。

ですから、実践的な内容とは「手法」というよりも内定者が望めば、会社の一員として参加できる「環境」を用意することが必要だと実感しています。
最初からいきなりは難しいとしても、少しずつ参加できる環境を用意していくことを皆さんにお勧めしたいと思います。

以上、何かのご参考になれば、幸いです。