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今の新人に合わせたマネジメントとは~どれだけ愛情を持って社員を叱ることが出来るか?~

今の新人に合わせたマネジメントとは~どれだけ愛情を持って社員を叱ることが出来るか?~

中尾 英明

クレスコ株式会社代表取締役。大手総合人材サービス会社、採用コンサルティング・アウトソーシング会社(3社)の取締役を経て2009年4月、クレスコ株式会社を設立、代表取締役に就任。

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私の仕事柄、経営者の方や人事の方とお付き合いが多くありますが、最近、特に「若手人材のマネジメントが難しい」「今までのようにはいかない」
との声を本当に多くの方からお聞きします。

そのことから昨年「今の新人に合わせたマネジメントとは~どのくらい今の若者を知っていますか?~」を書かせていただき、
大きな反響を頂戴しました。
やはりそのように感じる方が多くいらっしゃるからだと思います。
皆さんはいかがでしょうか?

【参考】当社代表中尾ブログ
http://cresco-inc.com/blog/article/2013.04.08/93.html

今回はその中でももう少し「叱る」ということについて掘り下げて述べていきたいと思います。
私はこの「叱る」ということが今の時代、問われており、これが出来るか出来ないかが、マネジメントを大きく分けることだと思っています。
(今回はあえて述べませんが「ほめる」「評価する」ことも当然、重要です。)

私自身、これまでマネジメントと長く携わってきたこと、現在の学生や若手社会人と触れ、感じていることを踏まえ、考えを述べていきます。

1.叱ることができる上司へ

「叱る」というと皆さんはどのようにお感じになりますか?

私は「怒る」と「叱る」は当然のことながら、別のものだと考えています。
「怒る」とはただ自分の気分を晴らすために行うこと。
「叱る」とは相手の今後の成長を想って、同じ過ちをおかさないよう注意すること。
だと考えています。
あえて叱ることをせずに見守って、本人に気づかせるということもありますが、過ちそのものを自分では自覚していない場合には
そのまま放っておかず、叱ることが必要になると思います。

叱るということはとても労力がかかることです。相手を理解している必要がありますし、叱る側はあらゆる面において自信(奢りではなく)が必要です。
場合によっては言いづらいことも言う必要があるので、精神的に疲れることも多々あります。
またその後の経過によってはフォローも必要になってくるかもしれません。

私自身、これまでたくさんの優秀な部下の方に恵まれましたが、それでも叱った経験が多々あります。
その際、相手を理解しているか?相手を叱れる程、自分に自信があるか?自分自身はやるべきことがきちんとやれているか?を問うてきました。

多くの場合は叱ることで相手が理解してくれ、さらに仕事に励んでもらっていたように思いますが、後から振り返った時に少しでもこちらに
非があったと感じる場合には叱ったことは失敗だったと思うべきだと思います。
(即、フォローが必要、ということになります)

叱ることは大変難しいことですが、それでもその方自身が、同じ過ちを繰り返して、『後々』苦労しないよう、きちんと叱ることが必要になってくると思います。

しかし最近は、叱ることで、「モチベーションが落ちてしまわないか」「嫌われてしまわないか」「辞めてしまわないか」と過度に心配し、
"叱れない"ばかりか注意すら出来ない方が多くなったように思います。

繰り返しになりますが、叱るには相手と向き合い、相手を理解すること、自分に自信があること、が前提として、必要ですので、
なかなか相手とそのような関係が築けていない上司の方が多く、結果、叱れない、といった状況になっているのかもしれません。

2.まずは『想い』を伝えることから

叱ることをいきなり行うことは難しいかもしれません。
しかしながら前述の通り、叱れないことで長い目で見て、結果、苦労するのは部下の方ですから、どうにか上司である自分自身が変わっていく必要があります。

「叱れない」方への私からのアドバイスとしましては、まずは「メッセージを発信し続ける」「コミュニケーションを取り続ける」ということです。

上司として自分が評価すること、これは良くないと判断すること、すなわち判断軸を事ある毎に発信し続けていきましょう。
相手を知らなければコミュニケーションを取り続けましょう。
続けることはものすごい根気が必要ですが、続けていく中で自分も相手も少しずつ変わっていくことに気づくはずです。
合わせて自分自身も少しでも目指す理想の上司像に近づくために努力している姿勢も見せることも重要です。

私自身、私のまわりの経営者の方やマネージャーの方で「叱れない」状態から上記を継続して行っていただくことで
その方自身やまわりの方が変わっていく状況を見てきています。

最初はなかなかうまくいかないかもしれませんが、根気良く続けていくことで何かが見えてくるはずです。
試行錯誤しながら、頑張ってみてください。

なかなか難しいテーマではありますが、少しでも参考になれば幸いです。