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変わる16新卒採用、インターンシップをどう位置付けるべきか。

変わる16新卒採用、インターンシップをどう位置付けるべきか。

中尾 英明

クレスコ株式会社代表取締役。大手総合人材サービス会社、採用コンサルティング・アウトソーシング会社(3社)の取締役を経て2009年4月、クレスコ株式会社を設立、代表取締役に就任。

当ブログ「経営者必読! いまどきの採用・教育・若者」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/nakaohideaki/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


ご存じのように16年の新卒採用は、倫理憲章により採用活動のスタートが3月となります。
それにより短期決戦になることが予想されています。
学生もそれに備えて就職活動の準備を始めます。会社説明会が本格化するのが4月等になる為、
授業と重なり、学業に支障をきたす恐れがあるため、先見性のある優秀な学生は3月を待たずして動くことが
予想されています。
インターンシップは採用と紐づけてはいけないとは言うものの、その一つにインターンシップがあり、
マイナビインターンシップナビの1社あたりの平均エントリー数は対前年比196.4%(2014.6.21時点マイナビ調べ)
と大幅に増えています。
もちろんインターンシップを実施する企業も大幅に増えています。

そうした環境の中で、中堅中小企業にとってインターンシップをどう位置付けていくべきかを考えていきたいと思います。

●インターンシップは採用に結びつかない?

今やインターンシップは、就職活動を控えた優秀な学生のほとんどが参加していると言っていいと思います。

しかし、中堅中小企業の採用担当者からは「インターンシップは採用に結びつかない」といった声が多くあります。
学生の意識が大手中心であり、中堅中小企業へのインターンシップ参加者そのものが少ないということもありますが、
もっと大きな要因はインターンシップに対する企業の考え方と学生の思いに違いがあるからです。

企業としては、時間と労力を割いて学生と接触する機会を設けたのだから、なんとか採用につなげたいと考えます。
その気持ちはわかりますが、学生はそこまでは思っていません。
まずは会社の雰囲気や仕事を知っておきたい、そこで感じたことや得た知識を就活に活かしていきたい、と多くの学生が思っているようです。

中堅中小企業がインターンシップで接触した学生を採用まで結び付けるのが難しいのは、こうした気持ちのズレが生じている為です。

私は学生の起業支援などを行っている関係で学生と接する機会も多いのですが、学生からは
「表向きには出さないけど、企業は当然のことながらインターンシップを採用と紐づけていますよね。」との質問をよく受けます。

こうした目の肥えた学生をインターンシップだけで自社に振り向かせるのは至難の業と言っても過言ではないのです。

●インターンシップの基本とは

だからといって、早期から動く学生に対して何もしなくていいと言うのではありません。
と言って、単にインターンシップをやればいいというものでもありません。

インターンシップは本来、学生が就業実地体験をすることで、仕事に対するイメージをより具体的なものにしたり、
会社の雰囲気などを感じることで将来の進路を決めていく際の参考にしていくというものです。

企業側も職場などを事前に知ってもらうことで、採用後のミスマッチを防ぐことができるなどのメリットがあります。

アメリカなどはインターンシップの期間が1か月程度というのがごく普通です。
ただ、日本は企業・学生双方の事情で、なかなかそこまで長期のインターンシップは困難で、1日~1週間程度というのが一般的です。

ので、如何にして、その短い時間の中で自社の魅力や雰囲気を理解してもらう内容にすることが重要なのです。
しかし、正直に申し上げまして、例えば、2日間のインターンシップのうち、1日間はほとんど会社説明会なのでは?と思うような
プログラムを実施している企業も結構あります。
これでは、もともとインターンシップに対する考え方に違いがある学生の気持ちは離れていくばかりです。

●インターンシップの位置づけ

企業の魅力やその企業が持つ社風はそれぞれ違います。
ですので、これをやれば絶対というインターンシップのプログラムはありません。

ただ、工夫すべき点としては、インターンシップ期間で一旦はプログラムは終了するのですが、
その後も継続性を伴ったプログラムにしてみるというのがあります。

再度、強制的に学生を集めるのではなく、「せっかくここまでやったんだから、今後も定期的に集まって課題を完成させよう」という
言葉が学生から出るような、余韻を持たせるプログラムが出来れば理想だと思います。

後は、若手を中心とした社員が学生のフォローをしっかりとしていくことが大事です。
インターンシップ期間中に飲みに行った社員と趣味の話で盛り上がり、意気投合し、採用に結び付いたというケースもあります。

ただ、中堅中小企業がインターンシップから採用に結びつけるのは難しいことが多いです。

綺麗ごとかもしれませんが、インターンシップ=採用ではなく、数年かけて「採用ブランディング」を高めていく手段と
位置付けるべきだと思っています。

私が定義する「採用ブランディングが高い会社」とは、世間一般的には知名度は高くないが、
学生間では「就職する(したい)会社」として有名であるということです。

また、インターンシップを行い、参加学生集めの目的でキャリアセンターや研究室を
訪問することで、キャリアセンターや研究室とのルート作りに役立ちますし、早期にインターンシップで学生と接することで、
学生の生の声を聴くことができ、自社の16採用戦略立案の参考にすることが出来ます。

なかなか難しいことかもしれませんが、中長期的な視点を持ってインターンシップを活用することをお勧めします。

弊社のお客様で2~3年かけてキャリアセンターを回ってインターンシップのご案内をし、今や毎年確実に学生をご紹介いただけている
中堅中小企業が何社もあります。

今までとは大きく変わる16年採用。
多くの企業が採用戦略を見直したり、採用手法を模索しています。

あくまでインターンシップもその手法の1つと位置づけるべきです。

ですので、インターンシップを実施すれば、「打ち出の小槌」のようにいきなり採用に好影響が出るというものではありません。
従来の手法と組み合わせながら、インターンシップをうまく活用していただければと思います。

以上、何かのご参考になれば幸いです。

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