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プロになるということ

プロになるということ

島田 徹

株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。

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先日、と言ってもかなり前ですが、同じ誠ブロガーでプロのライターである森川氏がFacebook上でこんなことをつぶやいてました。

自分はプロなのでどんな内容でも求められている文章を書く自信があるけど、だんだん世の中のことがわかってくると、さすがに本当の初歩の初歩みたいなことは書くのがしんどくなる。40代とは、そういう踊り場の位置にいる気分で、なかなか難しい。

すみません。そのつぶやきを今、かなり一生懸命探したんですが、見つけることができず...。言い回しは極めて適当です。

ただたぶん要旨的にはこんなことを言っていて、私は激しく頷いてしました。

私は物書きというかブロガーとしては「ど」が付くアマチュアなので、一度言い尽くしたことを書く気がしません。

「その件はもう考え尽くしたし、以前かなり書き切った」みたいなことっていうのは、どうにも筆ならぬキーボードが進まないのです。読者の中には前の記事を読み逃している人がいたり、あるいは、自分の中でちょっとした考え方の変化があって今書き記しておく必要があったとしても。

まあ簡単に言えば、アマチュアは一度発信することで「自分が満足してしまい、興味が失せる」のだと思います。

でもプロは違います。

自分の中で「もうこんな当たり前のことをいちいち書きたくない」と思っても、読者(ひいては編集部や出版社)にそれが求められていれば、しっかりと腕を振るって書きます。しかも投げやりに書くのではなく、ちゃんと読みやすく整理し、前に読んだことのある読者のためにも厭きさせない工夫を施して書き上げるので、凄いです。

森川氏も、「難しい」と言いながらも、仕事とあればきっちり書く人間なのを私は知ってます。

作家先生だけでなく、いわゆるプロブロガーという人たちもそうで、何度も何度も同じことを書いたり、時にはフォロワーのレベルや嗜好性に合わせて書きます。

時には「あんた実際はそんなこと思ってないでしょ。そんなこと本気で考えてたら今のその地位にいないでしょ。」みたいなツッコミを入れたくなることを書いてたりしますが、やはりそれでこそアクセスが稼げるというものでしょう。

あ、皮肉っぽくなりました。

ただ、そういう意味では、料理人だって大工さんだって電気工事の人だってパーティーの司会進行業だって、みんなそうですね。

プロといわれる人は、みんな「別に今日この仕事がことさらしたいわけじゃないけど、きちんと仕事をこなしてお客さんに満足をいただく」ことを目指しています。

ビジネスとして成り立たせようとしたら、それが当然です。

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翻って、我々ソフトウェアの開発業はどうでしょうか?

この業界でもやはりプロというのはそうであるはずなんですが、なぜかこの業界にはアマチュアな人が多い気がしますね。

自分がやりたい仕事をしているようではプロではないです。

自分が他人から求められる仕事をするのがプロです。

プロになるということは、他人から仕事を依頼されるようになる、ということであり、何か凄いことをできるようになることではないです。

「他人から仕事を依頼されるために凄いことができる必要がある」、というなら分かりますが、先に凄いことができるようになってから「これ買ってくれませんか?」「あ、いらないですか。。困ったな。。」というのは、順番が逆すぎます。

後者はアーティスト的な発想ですが、アーティストとプロは似て非なるものです。

アーティストは目指すものではなく、すでにそこにあるものです。虎の子は生まれながらにして虎。

それを混同するといつまでも社会と自意識とのギャップが埋まらず、苦しい日々が続き、次第に心が腐っていくものと思います。