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伝家の宝刀は、抜けば大抵錆びている

伝家の宝刀は、抜けば大抵錆びている

島田 徹

株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。

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齢(よわい)30も過ぎてくると、ある一つの業種・業界・業態に精通してきます。その一つの業種やら業界やらについて、日がな一日「ああでもない」「こうでもない」と悩んでは三歩進み、「ああこっちは違うか」と二歩戻るような、水前寺清子の歌のような作業を続けています。

というか、それこそが「日々是精進」の世界で、私達みながおしなべて目指すべき仕事の仕方だと思います。

仕事に楽な近道はないですし、誰かが定石を教えてくれることもないです。昔こうやったらうまく行った、みたいなものはあったとしても今通用するかどうかは誰にも分りません。


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ただ、そんな精進を続けつつもどうしてもうまく行かないとき、いつか抜いてやろうと思っている「伝家の宝刀」というのを持っている人がいます。

「簿記持っているし、いざとなったら会計事務所で働かせてもらえばいいや」

「教職取ってるし、辛くなったら離島で小学校の先生でもやろう」

こういう、辛くなったときに引き抜こうと頼りにしている刀です。。

、、、あの、、、

こういう刀はお守り的に持ってるのはよいかもしれないですが、実際にはまったく使い物にならないです。

「困ったら水商売で働けばいいや」

「最悪タクシーの運ちゃんでいいや」


こういうのも、、、無理でしょう。

いや、無理とは言わないですが、その道でまっとうにやってる人以上に上手く出来るとは到底思えません。今上手く行ってないという現業で、さらに努力した方がなんぼか楽ですし芽が出る可能性が高いです。

どんなに参入障壁が低い業種・業界であっても、その中でみな毎日「ああでもない」「こうでもない」と思い悩んで「日々是精進」しているのです。その中でちゃんと生計を立てている人は、やっぱりものすごい努力をしていたり、常人ではない才能を持っているものです。

そこになんのノウハウもない素人が「困ったらこんなことやればいいや」みたいな意識で入って行って、まっとうな戦いが出来るわけが無いです。今より楽なわけがないです。

いつか抜こうと思っている「伝家の宝刀」は抜けば大抵錆びてます。

それを精神安定のために携えるのはいいと思いますが、抜くことを口にするのは、言われた業界の人にとても失礼なことなので絶対に止めた方がいいですね。