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言い切りと両論併記

言い切りと両論併記

島田 徹

株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。

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年始あたりからにわかにメルマガというのを書いてみたいと思いまして、2ヶ月くらい原稿を書き溜めていたのですが、最終的には『向いてないわ』と思って投げ出しました。

もともと文章がもわもわしてて、あっち行ったりこっち来たりするので読みにくいというのは自覚していたので、今回は初めてプロのライターの方に校正をお願いしてみたのですが、1つのテーマについて説明しようとするとものすごく長い思想的背景を書くことになってしまって、書いてる自分が飽きてきてしまうという締まらない状態になってきました。

で、これを読む人はどんな人だろうと思うと、あまり周りに思い当たる人がおらず、きっと私以上に苦痛なんじゃないだろうかと思い、辞めました。

まあネット(正味)で5~6人日無駄にしたかも知れませんが、何事も実際にやってみるということは大事で、それによっていろいろと得ることがあります。

今回の件では『メルマガは書いてる自分が飽きるので私には無理』ということが分りましたが、それ以外にも面白いことを学びました。

それは、そのプロのライターの方が私に提言した言葉です。

『ここでこう言い切ってますが、これはそうとも言えないことがあるので、別の意見もあると併記しておいた方がよいです』

実際の言い回しは忘れましたが、これに似た指摘を受けました。

確かにおっしゃるとおりだなーと思いました。

その回では実際にそのビジネスでうまく行っている人がいるにも関わらず「そんなのは辞めた方がいい」と言い切った文章を書いてましたから。

ただ、これは物を書く人の発想だとも感じました。

ライターの方というのは、ある事象について複数の意見が存在し、それぞれがそれなりに説得力を持つときにはその両方を紹介し、双方のメリットデメリットを書くことで、結論に説得力を付与していくのだと思います。

しかしプロでない我々素人ブロガー(といってもなんらかの道ではプロ)は『言い切り』でいいと思うのです。

たとえばラーメン屋の経営方針でこんな議論があったとします。

・これからはつけ麺で勝負しなくてはいけない
・いや、つけ麺は邪道。やはり王道の味噌としょうゆを主軸にすべき
・味噌としょうゆ、ファッキュウー!ここは、とんこつ系で行くべき

これら3つの結論はまったく異なることを言ってますが、経営者にとって大事なのは『どれもメリットデメリットがある』と言うのではなく『自分はどの結論を採るか』の判断をすることです。

これは感覚的なものでもありまして、まあ無理矢理理由をつければつけられるのですが、実のところはそのどの理由も『それだけじゃない』と思っていることも多かったりします。

前回の在宅勤務の話でもそうですが、私は直観的に『在宅じゃうまくいかなそうだから、なるべく回避する』という判断をしています。(前回紹介した理由はその中の一つ。)

もし私がサラリーマンをやっていて、社長から『在宅勤務を積極的に取り入れて仕事を回すべし!』というお達しを受ければ、私はその理由を幾らでもつけて行動できますし、いろんなアイディアを出して在宅勤務のデメリットを埋めていくでしょう。

ただ、今、私が考えて、他の様々な経営判断と相容れないところがあって『それはうまくいかなそう』と思えばやはりそれはダメなわけです。

前回の記事には『社員には家でやった方が集中力を発揮できる人がいます』とか『こんな経営者が日本のIT会社をやってるからダメなんだ』とか反対の意見も散見されましたが、結局、経営判断というのは社長の価値観の押しつけに過ぎません。

正解という名の道は無数にあり、その中の1つを選択すれば、当然失うものもありますが、どの道を通っても最後に『社会に価値を提供し続ける』というゴールに辿り着ければそれでいいのです。

これは法人の経営者に限らず人が生きていく上では常に言えることだと思います。

 

 

 

※ちなみに、これはプロのライターの方の文章構成はダメだ、と言っているのではありません。ライターは文章を書き人に伝えるプロであって、プレーヤーではないので、思いこみで言い切ることは良ろしくなく、両論併記で結論を導く、あるいは結論無しが正解だと思います。