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日本にカオスを引き起こす自由

日本にカオスを引き起こす自由

島田 徹

株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。

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先行きの見えない時代が続いています。

政権交代こそが景気回復につながるというのは、まさに今のことを言うのだと思いますが、民主政権もあまりに打たれすぎて一向にこたえなくなってしまいましたね。犬を躾けるときは、あまり叩いてはいけないと言います。マゾヒスティックな快感が芽生えるからのようです(要出典)

それはさておきまして、そんな中、20代の若い世代は、日本社会は老人世代によって搾取されている、束縛されている、押さえ込まれた閉塞感のある社会だと嘆きます。同じ不景気でもアメリカは違う。自由で若者に夢があると。日本オワタ\(^o^)/

まるで1960年代に戻ったようです。いや、知りませんが(笑)。

しかし、その発想は、先の見えない不景気と就職難の怒りの矛先をとりあえず攻撃しやすい年配者に向けているだけのような気がします。

実際はインターネットの普及によって既得権というのは15~20年前に比べて間違いなく守りにくい世の中になっていまして、そういう地位にいらっしゃる諸先輩方も今は生きにくい時代と感じていることでしょう。ここへきて、急に既得権が強固に守られ始めた、ということはないでしょう。逆です。

 

私は、今、現代の日本社会は、まったく別の生きにくさがあると考えています。これは、アメリカを始め諸外国にはない、あったとしてもかなり小さい、日本オリジナルの問題です。

それは、日本国民の一人一人が、かつて人が直面してきたことのないような巨大な自由を押しつけられているという現象です。

どんな仕事をするのも自由、海外で就職するのも自由、結婚するのもしないのも自由ですし、結婚したからといって子供を作らなくたって、それは本人達の自由だ、と、そうなっています。親、親戚が古い価値観を押しつけてくれば、新聞の投書欄でも発言小町でも、社会全体が全力で擁護してくれます。

しかしその一方で、先進的な生き方を選んでも、保守的な生き方を選んでも、何かちょっと悩みや弱音を漏らそうものなら、「でも、あなたが選んだことでしょう?」と、いわゆる自己責任論で厳しく責め立てられます。

これは、「常識的にはこうするもの」「黙って慣例に従いなさい」というルールが決まっていた時代よりも苦しいものです。

自由と責任は抱き合わせ販売です。

自由であり責任がない、というのは子供だけで、大人になれば、好むと好まざるとによらず自ら求める以上の責任とセットになった巨大な自由の波が襲ってきます。

そして、この自由のマネジメントが非常に難しいです。

 

これまで学校教育では、自由をマネジメントする方法などというものは、一切触れられてきませんでした。

学校の先生は、「自由はかけがえのないもの」「自由は尊いもの」と言いますが、現代の日本人が直面しているような巨大でリアルな自由を想定したものではありません。自由は永遠に追い求めるものであって、実際に所有するものではなかったのでしょう。

実際に手に入れたら、カオスが起きました。誰もきちんとこのマネジメント方法を教えられません。


みなさんの周りに、あるいはWEB上で、テレビの中で、新聞や書籍の中で、自由を謳歌しているという人がいるかも知れません。
理想的な組織に入って、好きなことを楽しくやらせてもらっていて、報酬もよいと。

しかし、それは自由をマネジメントしているのではありません。そのラッキーな(?)状態の人は、現代社会で生きる力を着実につけていっている安定的な強者とは言い難いです。

「自由」を、個人に使い方を許された希少性のある24のユニットと捉えるなら、自由をマネジメントするというのは、その資産を手放さないということでも無ければ、ダラダラと垂れ流すということでもありません。

その資産のもっとも効果的な投下先を考え、そのリターンで少しずつさらに強力な資産に育てていく、ということです。

自由は資産ですが、消費しなければその価値は増えません。

この活動を繰り返すことが、自由をマネジメントするということだと思います。大変な時代ですが、今はそのマネジメント力が各個人に求められています。


時折「脳内ビジネス」というカテゴリーで、この手のお話をしてきています。興味のある方は追ってみてください。

http://blogs.bizmakoto.jp/noubiz/cat247/