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女性プログラマーという生き方

女性プログラマーという生き方

島田 徹

株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。

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女性のプログラマーは少ないです。

それがなぜなのかは、私にはわからないです。

きっと、女性棋士が少ないとか、女性で物理工学をやる人が少ないとか、そういうことと同じ原因があるのかも知れないですが、ジェンダー研究の第一人者でもない私が言えるのは「男性に比べて女性プログラマーは少ない。デザイン系でなければ男性の1/5~1/8くらい。」という現実だけです。

しかし女性プログラマーは役に立たないかというと、そんなことはないです。

私が20年ほど過ごしてきた業界人生の中で、ちゃんとその人の能力までよく知りえた女性プログラマーは20名弱くらいですが、その中には男性を含めてフラットに見て凄い人もいましたし、もちろん、たいしてすごくない人もいました。その分散具合は男性とさほど変わらない気がします。

最近こんなニュースを見ました。

成長戦略:女性登用義務化 自治体・企業に...関連法案検討

女性の社会進出をさらに後押しするために、国がいろいろテコ入れをしていこうという話のようです。こういうの、もう何年もやってますが、我々のような業界にいるとまったくピンと来ないと言いますか、意味がわかりませんね。

女性でもできる人は出来るし、出来ない人は出来ません。出来る人はあちこちから引く手あまたになり、出来ない人は仕事が振られなくなり失業となってしまうでしょう。でもプロの世界はそういうものです。

また、女性の中にはもちろん正社員になりたいと思う人もいるでしょうが、「自分は一日6時間くらいでいいや」という人や、「週3日くらい出勤してあとは家でやりたい」という人、あるいは「お金が欲しいのでとにかく力の続く限り仕事したい」というガテンな人もいるでしょう。

あるいは「3年くらいやったら子供も小学校に上がるので、思い切って別のことにチャレンジしたい。とりあえずは食いつなぎを...。」という人もいるかも知れません。

要はフルタイムで無期限契約で働くというのを正社員と定義して、それを増やしていかなければいけない、という目標設定がさっぱりわからないのです。(いやわかりますよ。失業率を下げて、税収を安定化させるとともに生活保護支出を下げたいとか、配偶者控除をなくしていきたいとか、OECDの雇用統計で世界から遅れていると言われて嫌だとかそういう意図なのでしょうが、市場経済という分かりやすいルールの中でいろいろ工夫している我々経営者としてはわけのわからない政策を押し付けてくるな、よそでやれ、と小声で言いたいわけです。)


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8年くらい前に入社して、3~4年前にお子さんができたと言って辞めた弊社の元女性社員(この女性プログラマーもとても優秀でした)は、今はフリーランスで時折仕事を手伝ってくれています。

私は「子育てが落ち着いたらいつでも戻っておいで」と言ってますが、今はまだその時期ではないようです。いや、フリーランスが自分の生活スタイルにマッチすることに気付いたのでしょうか。それならそれでいいと私は思っています。

家で仕事ができるなら、お上から「外に出てフルタイムで働け」と言われる筋合いはないです。

フルタイムでヒーヒー言って働き、家では家事育児に追われることのどこが「仕事と家庭の両立」なんでしょうか。
ああ、これはちょっと前にちきりんさんが言っていたことのパクりですが。(仕事と家庭の両立なんて、目指すのやめたらどう?)



働く女性にとって大事なことは、席をあてがわれることでも保護されることでもなく、社会から求められるだけのスキルをつけることです。

そして、国の政策的に目指すべきは、出産育児介護など様々な理由で会社に来ることができなくなったのであればまず当然のように退職し、その間生活が困窮するようであれば国が補助を行い、働けるようになればまた復職できる、という社会でしょう。

もちろん元鞘の会社に戻れれば双方にとって一番いいですが、「復職したい」と申し出たとき、会社の状況的に必ずしも叶えられないことはあり得ます。だからこそ会社は終身雇用を前提とした自社だけで通用するガラパゴススキルを教え込むのではなく、他の会社で通用するようなスキルを身につけさせてあげるべきなのです。


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実は、私にも娘がいますが、女の子の親になって初めて真剣に考えました。

女性の人生は難しいですね。結婚はともかく、出産育児があるとそこで人生のシフトチェンジを余儀なくされます。

「いやいやいや。本来男性もそうですよ。男性も出産育児の際には休みを取ってシフトチェンジすべきなんです。」

という意見もあると思いますが、残念ながら子供はママか、ごくまれにパパのどちらかが大好きなので、平等に痛みを分かち合うということなどできないのです。子供には「親を差別してはいけない」という常識はありませんからね。夜寝るときは、常にどちらかです。順番こはないです。


夏から秋にかけては何度も台風が来るように、数年に1回大きな地震が来るように、努力で変えられないものはすべて環境です。

環境に怒りを感じても仕方なく、その中でできることを探すのが大事です。

その意味で、人生の難しいシフトチェンジを迫られる女性にとってはプログラマーという職業は、リスクを平坦化する保険的な効果があると思います。プログラミングスキルは、特に首都圏では企業を選択できるVIPカードです。

至極ありていに言えば、「手に職をつければ、人生の少々の波には耐えられる」というお話です。合う合わないはありますけどね。

※女性男性を問わず言える、プログラマーという職業の面白さ苦しさについては論点がボケるので割愛しました。