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騙されてるかも知れない怪しい話に乗るべきか

騙されてるかも知れない怪しい話に乗るべきか

島田 徹

株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。

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"騙すより騙された方がマシ" と、ドラマなどのなぐさめ言葉ではよく聞きますが、もちろんそんなはずはありません。

いや、そもそもほとんどの人は「騙す側」に立つ能力も度胸もないので、つまりこれは「騙されているかも知れないような話に、乗るか否か」というお話でしょう。

確かにビジネスにおいては、何も行動しないよりは "怪しい話に乗った方がマシ" のことがあります。

簡単に言うと、その話が「騙し」でない時の収益の額が期待値レベルで投資額を上回るなら、そこは乗るべきです。

ゲーム参加料1000円。サイコロを振って2~6が出れば1250円バックされます。1が出たら何ももらえません。

というゲームなら、電卓を叩いてみて、期待値1041.67円という値が求まれば、乗るべきです。

現実には、そんなに厳密な数値で表せることはあり得ないですし、話を持ちかけてきた人間が、失敗する確率やそのときの損害などをぼやかしたりしますので、その部分は自分で出来るかぎり補正を入れつつ考えることが重要です。


「これは怪しいぞ。騙されるもんか。」

と言って始めから相手にしないのは、一見賢そうに見えますが、実はチャンスを逃している可能性があります。

最近、ネットで「釣り記事」というのが多くはびこるようになったことにより、とりあえず怪しげな話には乗らない方が得と考える賢そうな人が増えた気がしますが、そういうポリシーで生きている限り、チャンスは絶対に掴むことができないと思います。

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あと、収益というのは、相手が提示した部分以外にもあるかも知れません。

我々の業界にいると、

「この案件は、先端技術を使うので大変なんですが、利幅は大きいはずです。まだ案件自体確定してないのですが、技術調査だけしておいてもらえますか?」

みたいな話はよくあります。

この「先に技術調査だけやっといて」という話に乗るかどうかは、その調査に個人的なメリットがあるかどうかにもかかってきます。

簡単に「調査だけ」と言われても、もちろんコストはかかりますし、発注前に「やってみたら、意外とあっさりできましたよ」と伝えてしまうのは、「あ、やっぱ簡単にできるんだ」ということで他社に仕事をかっさらわれてしまうリスクでもあります。

それでも、他の案件でも使えそうな技術なら、今この具体的な案件で調べておくというのは良手かも知れません。

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私は思うのですが、失敗とは騙されることではなく、騙されたときのカウンターが怖かったり恥ずかしくて、手を出さないということです。

もし受けた話が「騙し」だったとして、大きな痛手を受けたとしても、次にまた同じような話がきたら、それもきちんと評価して、乗るか乗らないかを判断すべきです。

仮に同じ条件であれば、またその怪しい話に乗るべきです。

先のサイコロゲームなら、一回目に1が出て大きな痛手を受けても、いや、もう一回1が出たとしても何度もこのゲームを続けるべきという話です。

「このサイコロ、重心がずれてて1が出やすいぞ!」とか、「このおっさん、『支払う。支払うとは言ったが、支払いは1年後と言うことも有りえる...!』とか言いそう!」などなど、新たな情報が加われば、当然判断は変わってきますけどね。