誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。
受託開発をやってる奴はバカなんだと思う。
そろそろ脳内ビジネスの話をしようか
受託開発をやってる奴はバカなんだと思う。
株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。
当ブログ「そろそろ脳内ビジネスの話をしようか」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/noubiz/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
ここ1カ月くらい、他のIT系の社長と飲む機会が続きまして、10人くらいお会いしましたでしょうか。その中で7割くらいは自社サービスを展開している会社、3割くらいが受託開発でした。
ちなみにプラムザも受託開発です。
で、怒涛の飲み会のあと、γ-gtpは大丈夫だろうか、、と心配しつつ思うことは、です。
受託開発をやってる会社はバカなんじゃないか
と言うことです。
受託開発と言うのは、自社サービス開発とほぼ同じような開発スキルを持ちながら、スタイルがまったく違います。
受託はまず、お客さんのご要望ありきからスタートします。ご要望のないところから突然何か作りはじめるのは、委託されてないので、受託じゃないです。当たり前ですが。
受託は、高タンパクを必要とする肉食獣のように、お客さんのご要望が無くなればあっけなく死を迎えます。人件費率が高いので、どんな大きな会社でも3カ月も持たないでしょう。
なので、お客さんのご要望を常に掻き集める必要があり、そのための営業活動が必要です。
ところが、小さな開発会社だと社内には実装の専門家しかおらず、営業ができません。受託の会社を作って、初めに思い知るのは、「いいもの作っていれば自然にお客が集まるというのは幻想で、自ら狩りに出なければ餓死する」ということです。
それで実装の手を止めて不得手な営業の真似事から始めるのですが、そのあたりで体力が持たずに死んでしまう会社がたくさんあります。
やがて創業から5年、8年と経ち、経験を積んで、規模も大きくなると、営業もできるシステムエンジニアが育つことがあります。ただ、その場合も、営業し過ぎると仕事が溢れてしまい、「やべえ」ということで必死で実装に専念していると、「気づくと仕事がない」という状況になります。
じゃあしばらく営業せずとも仕事に困らないようにしようと、大きな案件を取ると入金のタイミングが3分割とかなので、簡単に資金ショートを起こします。
じゃあやっぱり小さい案件も同時に取らなきゃと思うと、そんなには開発者がいねーよ、急いで採用しなきゃ、でも採用してる暇がねーよ、だいたい知名度が無いので人が集まらねーよ、という話になります。
私も受託を16年やってきましたが、いつまで経ってもそんな感じで、常にアップアップで、そういう意味で「受託やってる会社はバカなんじゃねぇの」と思ってしまうわけです。
=====
ただですね。
冒頭の飲み会の席で改めて思ったのですが、受託開発の社長と言うのは大抵一貫してどうしても譲れない性癖があるのです。
それは「お客さんから直接『ありがとうございます!うれしいです!』と言ってもらえないと身悶えして死ぬ」というものです。
どんなに自社サービスやっている社長に、「自社サービスは当たれば仕事しなくてもザックザックお金が入るよ」と言われましても「一つ当たると知名度が上がって採用も有利になるよ」と言われましても「営業大変じゃない?半年後仕事あるの?」と言われましても、その性癖は変えられないのです。
顔の見えないユーザーからのレビューで「この価格でこのクオリティは神の域」とか褒められてもダメなんです。直接、握手されて言われないとダメなんです。それがたとえ担当者がおじさんであっても。
「つまらん。クソゲー。金返せ。」と言われて「ふん。このソフトはあんただけのために作ってるわけじゃねーから、あんたの好きなようには変えられん。」と思うのではなく、ご不満は直接言っていただき、それを真摯にぶっ潰して、なんとしても「クソ」という言葉を撤回していただきたいのです。
社長にそういう気持ち悪い性癖がある限り、バカな受託開発から抜け出すことはないのだと思います。
これはとても苦しいことです。