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タダで働くというアプローチ

タダで働くというアプローチ

島田 徹

株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。

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採用活動がひと段落ついたので、またちょっと考えたことを書いてみます。

一応こういうのは採用期間中は差し控えています。

就職・就労というのは、労働サービスを提供してその見返りとして金銭を得ようという商売です。

商売なのですから売り込むための営業が必要で、それが採用面接の機会です。

営業において正攻法でうまくいくのは、「看板」や「実績」のある会社だけです。その両方がない会社は、100%コンペ落ちします。

それであればどうしますか?

普通の人は延々と多くの門を叩き続けます。昭和の時代の足で稼ぐ営業ですね。

これは絶対に無理だと思いませんでしょうか。

あなたはメーカー名も知らない、動くかどうかも分からない家電を買いますか?友人知人は買いますか?

売り方はもっと工夫すべきだと思うのです。

たとえば「無料お試し期間」を設けます。

「1か月、タダで使ってもらって働きぶりを見てください。」

これであれば、社長と直接話ができるベンチャーや中小ならもぐりこめます。

おせっかいな労働基準法では、試用期間中であっても2週間を過ぎると正当な理由なく解雇できません。だから会社経営者は「お試し」でも慎重になるのです。

ここを逆手にとって、「雇用契約は要りません」と言えば、もぐりこめます。ダメかもしれないですが、5社回れば「じゃあお試ししてみようか」と言ってもらえるでしょう。

ベンチャー企業の多くが、インターンシップの学生を多く使っているのもここにあります。あれはボランティアでもなければ「安く使ってやろう」ということでもなくお互いのマッチングの期間を設けているのです。

一度もぐりこんでしまえば、その1カ月間は死に物狂いで、その会社内で5分目くらいの働きを目指します。

今想定しているのは実績のない人ですが、そんな人が社内で5分目(=平均レベル)の働きというのはものすごいことです。もちろん本業は無理でしょうから、先輩の手を煩わせずに済む仕事(おもに雑務)を探して積極的にやってみます。

雑務を厭わない態度を見て好感を持たない社長はいません。

雑務ばかりが好きなのは頂けないですが、雑務が嫌いな人間ほど使いにくい人間はいません。雑務が好きな人は、人がやりたがらない大変な仕事を与えても必死に食らえ付く可能性が高いです。

そして気合いが認められ、情が移れば、「じゃあ来月から正式に試用期間に入るか」という話になるでしょう。

いや、もちろん「やっぱ、ちょっと合わないみたいだねぇ」と言われるかも知れないですが、それはしょうがないです。「お試し期間」の営業戦略ですから。

ダメと言われたら1か月無駄に働いてしまったことなるじゃないか---

、、、いや、本当にそれは無駄ですか?

1カ月でベンチャーや中小の内情を知ることができたのです。次の面接のときは、そのエピソードを引っ提げてまた営業ができるのではないですか?

できるベンチャーや中小の社長なら、絶対その手法に興味を示します。


しかし、こういう柔軟な発想をできる人は少ないですし、仮にできたとしても多くの大人がぶっ潰します。

「きっと君は悪い経営者に騙されている」

と。

こういう残念な大人の意見も聞いておくべきだと思いますが、もし仮に私が「騙す」人間であっても、騙された方がメリットが大きければ騙されるべきなんです。

「もっと真面目に就活を頑張れ」

これは同感です。

「真面目に頑張る」とは、「本気で考える」という意味です。

「無料お試し期間」は一例です。それは持ち出しが多すぎると思うなら、そのほかにもいろいろあると思います。