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事業を起こすなら怒り続けよ

事業を起こすなら怒り続けよ

島田 徹

株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。

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■例の事業がぼちぼち始まる

半年ほど前に書いたこの記事


この記事を読んで、奇特にも応募してきた若者といよいよ会社を作る話になっている。

現在週二でサービスの詳細を詰めていて、10月には正式に動き出す。

まあ、スタートまで7カ月という時間がかかってしまったのは、大手のコンサル会社(半分SIerのような業務)に勤める彼の、半年間はきっちり今の仕事を整理してからやりたいという意向を尊重したためだ。

普通は、事業を起こすのに、2カ月とかかけたらダメだ。小さくコンセプトを決めたら、小さなPDCAを繰り返して、どんどん考えを進化させていかなければいけない。

ただ、まだ彼は社長ではなく、やってる仕事も大きいので仕方ないか。稀なる責任感の強さは、きっと今後の事業のプラスになるだろう。

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ところでこの社長募集の記事については、未だに飲みの席で話題になる。

「自分も応募しようと思ったが...」

と言う人も少なくない。

ただ、ちょっとピンと来たにせよ、迷ったにせよ、実際に足を動かすまでに至らなかったのであれば、やらない方がよかった。

こういうのはフィーリングだ。タイミング的なものもある。

またいつか事業を思いついたら募集する予定なので、その時はまた検討していただきたい。

時期は未定だが、これは必ずやる。


■事業ドメインについて

会社を起こす際には事業のネタ、すなわち事業ドメインというのが大事だ。

IT業界にいると血気盛んなエンジニアと話をする機会が多くある。

彼らは当然、自分で事業をやることも考えているが、多くの場合、この事業ドメインに関してイケてない思考に陥っている。

「今、こういうサービスが熱い」
「これからはこれが来る」
「だから、こういう事業を起こしたい」

彼らはいろいろなことをよく知っているが、ベースとなる思考に「自分がそれをやってみたい!」という熱い思いを感じてしまう。

そういう事業はうまくいかないと思う。

発想が生産者的ではなく消費者的なのだ。

「自分がそれをやってみたい!」

と似ているのだが、

「自分はこんなサービスが欲しい!」

という熱い思いであれば、事業化できるかも知れない。

「自分がそれをやってみたい!」が消費者的で、「自分はこんなサービスが欲しい!」が生産者的?逆じゃないの?

と思われるかも知れないが、逆ではない。

「自分がそれをやってみたい!」は一見生産のアクションにみせかけた、趣味だ。サービスの受け手を無視しているから、消費者的なのだ。

「自分はこんなサービスが欲しい!」は自分本意ではあるが、サービスの受け手(=自分)をしっかり意識している。サービスを考える上ではとても大事なことだ。もちろん、それを実現できるプランを考えられなければ、生産者ではないのだが。



「自分がそれをやってみたい!」という人たちにも

「いや、消費者のニーズを汲みとって事業化するのが大事なんだよ」

と言うとすぐに「なるほど」と伝わるのだが、そこでまた勘違いする人がいる。

「いろいろ調査したら、こんなサービスが無いようです。たぶんニーズもあると思います。いいと思いませんか?」

と。

「なるほどねー。で、君はそのサービスが欲しいの?」

と聞く。

「え?それは、、、あったら欲しいんじゃないすかね、、、」

と口ごもる。

実際は売れるかも知れないが、とりあえず現時点では誰ひとりそのサービスに熱い期待を感じていない訳だ。

やめておいた方がいい。

つまり事業のネタを考えるときに大事なのは、自分が本当に熱い思いでそのサービスを欲していることだ。

自分という熱いファンが1人いれば、たとえ自分が100人に1人の特殊な人間であっても、世の中には同じ割合でこのサービスを欲している人が存在している可能性が高い。

プロモーションの問題はあるが、こういうのは事業になるかも知れない。


だから私は、事業をやりたいのであれば、普段から不満を持つことだと言っている。

先端のガジェットやサービスを使って「わー、すごいなー、便利だなー」と思うのではなく、「なんでここがこうなってるんだよっ」と怒ることだ。

不満のないところに工夫はない。人は独自の工夫に対してお金を払う。


ということで、 常に怒れ と。

世にあるサービスやデバイス達に怒り続けよ



ところで、先の話に立ちかえる。

「自分がそれをやってみたい!」

というのは事業にならないと言ったが、本当のところはそうとも言い切れない。

「自分がそれをやってみたい!、、、なのに、やる場所がないぞ!」

という熱い不満で見れば、それは事業化できるかも知れない。