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誉めて伸ばすどころか誉めると辞める社員が少なからずいる
»2012年12月28日
そろそろ脳内ビジネスの話をしようか
誉めて伸ばすどころか誉めると辞める社員が少なからずいる
株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。
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一般的には誰だって、他人から叱られたり説教を喰らうのは好きではないはずです。
私だってそうです。
人から誉められるよりもダメ出しを喰らった方がきっと有益だろうと頭ではわかっていても、ついつい誉めてもらえるお客さんをなんとなく贔屓にしてしまう...。
思い返せば学生の頃から「自分は誉められて伸びるタイプ」と周囲にのたまわってきました。
そういう人は多いですよね。それは実際のところ、本当に誉めてもらった方が伸びるのか、単に叱られるのを回避しようとするテクニックなのかわかりませんが、今はなんとなく管理職に立ったら厳しく叱らずに伸ばすのがよいように言われているようです。
書店に並ぶマネジメント絡みの本も「部下を的確にダメ出しして奮起させる」という主旨のものは稀で「誉めて伸ばす」系の本の方が圧倒的に多いです。
しかし、世の中それほど単純にはできていなくて、なんと「誉めると辞めていく」という社員が少なからず存在しています。
私の近くには、、、居たとも居なかったとも言うのが憚れるのですが、人事をやっている知人や経営者の先輩と話していてもよくそういう社員が出てきます。つい先日も経営者の友人数人と飲んでてモロにそういう社員の話を聞きました。
「誉めたら辞めちゃって、わけわかんねぇ」
と。
そういう人は私は以下の3タイプに分かれると思っていまして、上司やマネージャーは彼の特異な性格をいち早く察知して、決して誉めない戦略を採らないといけません。
【タイプ1】真性軍人系タイプ
特に学生時代、運動系の部活を熱心にやってきて、新卒でやはり体育会系の会社に就職してしまったような人は軍人気質であることがあります。
「先輩、自分はプログラマーとして入社したはずでありますが、入社半年にしてまだ自席にコンピュータというものがありません!」
「なんだと!?おまえがプログラムを書こうなんて10年早い!俺でさえ先日やっとメモ帳で『<!DOCTYPE html』まで書かせていただいたところだ。おまえの今月の仕事は、このツメの折れたLANケーブルのコネクタを付け替えることだ!左手でケーブルを持て!右手にニッパーだ!15秒で出来るようになるまで毎日繰り返せ!このケツの穴が!」
「サー!イエッサー!!」
こういう環境でしごかれてきた人というのは基本的に誉められることに慣れていません。
なので、緩い会社に転職したりして
「へぇー、すごいねー。手打ちでDOCTYPE宣言とか書いちゃうんだ。」
「LANケーブル、またツメ折れちゃったんだけど、直してくれるぅ?」
「もう出来たの!?さっすが!すげー!すげー!これTV出れるよ!」
などと褒めちぎっていると、動揺して次第に心にストレスを溜めていってしまいます。
このタイプは、
「おまえごときはIDEを使うことは許さん!もちろん、他案件のソースをコピペしたりしたら軍法会議だ!」
とか言っておいた方が心が安定するのです。
【タイプ2】ハッカー系タイプ
意識レベルの高い技術者にありがちなのですが、たまに「この会社は俺がいまだ超えたことのない山だ。絶対にハックしてみせる!」という意気込みで入社してきているエンジニアがいます。
技術には自信がある。しかしなんとも掴みきれないのは組織の中のクズのような上司との付き合い方だ。それだけは実地で経験しなくては、習得したとは言えないだろう。
そう、今日も上司と言い争いになってしまった。どうして自分を殺してクズな意見を最後まで聞けないのか。。
クズを理解しないことには自分は開発業務のすべてを理解したことにはならない。クズを理解したい。クズな通りにやってみたい。そしてクズから誉められたい。クズからすごいと言われたい。。
そんな強い思いを持ち続けていたある日、上司が取引先からホクホク顔で帰ってくる。
「○○君!君のプログラム、バグ無いってお客さんからすごく評判だよ!これ、買ってきたよ!コージーコーナーのシュークリームだけど、、食べて。」
こんな一言で彼は、この山をハックしたと判断して辞めてしまうのです。
このタイプには、
「...なーんて、お客さんは言ってるけど、俺はまったくこの仕事のデキには納得してないからな!」
などと言って、敢然と難攻不落な山さ加減を演じなければいけません。
【タイプ3】守銭奴系タイプ
世の中には口で誉めれば誉めるほど、不満を溜めていくタイプがいます。守銭奴タイプです。
上司「君のプログラム、ドライだねー、バグ無いねー、拡張性高いねー」
「そっすかぁ?」(給料上げてくれ)
上司「部長も誉めてたよ。ウチのチームが一番バグ率低いって。君のおかげだよ。」
「いやー、そんなことないっしょ」(給料上げろよ、ハゲ)
上司「ホント、君は成長したよね。将来、天才ハッカー!、、なんて言われるんじゃない?」
「いやいや、そんなやめてくださいよ」(誉められても一銭にもなんねーんだよ!金出せコラ!)
ということで、口だけの賞賛は、言えば言うだけ不満を溜めていってしまうタイプです。
このタイプには、給料が上がるタイミング以外では誉めてはいけません。かといって評価してあげないとそれはそれで不満を持つので、なかなか難しいですね。
「もう、君のことは何回誉めたかわかんなくなっちゃうから、正の字書いといてよぉ~。その数を来期の査定評価で、部長に言うからさ~。」とかでしょうか...?
ということで、マネジメントに絶対なし。誉めるばかりでは辞めてしまうことがある、というお話でした。