11月10日、秋晴れの土曜日、起業を考えている人向けのセミナーを開催しました。
私が理事として参加しているインディペンデント・コントラクター協会(略称IC協会)と誠Biz.IDのコラボした「雇わない・雇われないインディペンデントな働き方」をテーマにしたセミナーです。場所は、青山一丁目と赤坂見附の中間くらい、246沿いの見晴らしの良いビルに入っているアイティメディアの会議室。
インディペンデント・コントラクターとは専門性をもって独立起業した、雇わない・雇われないプロフェッショナル。セミナーには、起業を考えている人や、すでに起業しているけれどもまだ年数が浅い人が参加しました。
スピーカーの一人目は、誠Biz.ID編集長の鷹木さん。
企業取材から見えて来た「働き方・働く環境」の変化を紹介してくださいました。
この1、2年で、働くインフラ・企業の制度・世の中のモチベーションの3つが大きく変化していると鷹木さんは指摘します。スマートフォン・タブレットの登場で、場所を選ばずに仕事ができるインフラが整い、高性能で使いやすい自分のマシンを会社で使うBYOD(bring your own device)の制度を推奨する企業も増えています。そして一番変化をもたらしたきっかけは去年の震災。BCP(business continuity plan:事業継続)の観点から、企業側は社員がオフィスではない場所でも仕事ができるインフラや制度を積極的に整えています。
鷹木さんは、インディペンデント・コントラクター(独立業務請負人)の話を聞いた時、『フラット化する世界』で書かれていた、デジタル化もオートメーション化もされない専門性を持った「無敵の民」、をイメージしたと語ります。
会社の枠にとらわれない働く環境が整い、社員と社外の人との境界線があいまいになってきた今、ICが活躍する場がますます広がっていくだろうと結びました。
人事という一般的な業種で独立
続く、インディペンデント・コントラクター協会 理事長の田代さん(田代コンサルティング)は「人事という一般的な職種で独立する~ICの準備と心構え~」をテーマに講演しました。
大手海運会社に勤めていた田代さん。独立への想いが強まって行く自分と、反対する家族との間で葛藤があったと告白します。前の職場と継続して仕事をするなど家族への説得材料を準備し、何度も話し合いを重ね、最後は家族も納得した上で独立しました。
独立する時、多くのICが最も不安を感じる営業活動に対し、田代さんは会社を離れる前からブログや交流会で備えます。実際、その効果は非常に大きかったといいます。また、起業を成功させるための重要なポイントのひとつが事業領域の設定であると語り、何を強みにしていくかを、自らがきちんと定義することの重要性を強調しました。
アパレル業界のニッチな分野で独立
IC協会理事の斉藤さん(ディマンドワークス)は、「アパレル業界のニッチな分野で勝負する- 業界特化型専門家ICの成功の鍵」をテーマに話をしました。
最初に、自身の勤務先の規模や体験が、独立後のビジネスに色濃く反映されることについて触れます。実は、IC協会の集まりでこの話題がでると、多くのICが共感する内容でもあります。大企業にいた人は大企業が顧客になるケースが多く、ベンチャーや成長企業で重要な役割をになった人はその役割を他のベンチャー企業でも担う形で仕事をしています。
斉藤さんは商社のアパレル部門から、独立系のアパレルメーカーへ転職。そこで最も苦労し、乗り越えた壁の「在庫管理」が今のコンサルティング事業の大きなテーマになっていると語ります。
独立後、プッシュ型ではなくプル型がコンサルティングの営業の鍵だと斉藤さん。案件受注に大きく役立ったのがここでもプル型の「ブログ」でした。セミナーでは、実践的なブログのページビューをあげる数々のナレッジを披露したので、参加者は熱心にメモをとっていました。
大手企業の厳しい決算報告が発表され、いやおうなしに会社の外へ出る人は増えてくることが予想されます。仲の良いビジネスマナーのインストラクターの女性は、まさに某大手航空会社のリストラで辞めましたが、現在は仕事で全国を飛び回っています。自分の持つ専門性を適切に棚卸しして、ビジネスに結びつけることができる潜在ICは数多くいます。ICという働き方により多くの方が気づき、ICという働き方が広がるために、IC協会では今後もセミナー開催や情報発信などさまざまな形で活動をしていきます。