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ツイッター学概論 その2「上司フォロー監視理論」
先日、ツイ友(ツイッター友達)ととんかつ屋に行ったときのことである。
私たちは料理が出てきてもすぐには食べない。まず料理をiPhoneで撮影し、どんなに美味しいかTwitpicでつぶやいてから、ご馳走にありつけるのである。
儀式を終えた彼はとんかつを食べながら、おもむろに言った。 「実はね、うちの上司が、ぼくをフォローし始めたんですよ」
「へえ。なんでまた」
私は首をかしげた。彼は「寝るとき以外は仕事」と豪語するワーカホリックな30代である。平日は激務のためほとんどつぶやけず、もっぱら土日に登板している。彼の上司は毎日、オフィスで誰よりも長く彼と顔を突き合わせているはずだ。なのになぜまたフォローしようとするのか。
「なんででしょうねえ」
彼は口を濁したが、「上司からフォローされる」というのは正直なところ、ありがた迷惑なはずである。ツイッターはツイートの内容によってその人の生活が可視化されてしまう特徴がある。せっかくの休日に出先で「●●なう」とつぶやきたくても、上司が見ていると思うと気が引けることもあろう。とはいえ、上司に面と向かって「フォローしないで」とは言えない。
その時ふと思った。もしや、彼の上司はフォローすることで彼を監視しているのではないか。
「打ち合わせ直帰」の後、どこで何をしているのか。深夜に酒を飲みながら、「こんな激務じゃデートもできないぜ」などと会社への不満をつぶやいたり、よもや上司である自分への愚痴をつぶやいてないだろうか。
極力気をつけていても、本音をつぶやいてしまうこともある。上司たるもの、出来る限り部下の行動や本音のつぶやきを把握しておきたい、という気持からフォローに至ったのではないか。
上司フォローについてはこんな話も聞いた。某社の総務部長がツイッターを始めたが、自分はつぶやかず、もっぱら社員のつぶやきを眺めているだけで、廊下で通りすがりに「君のつぶやき、面白いね」と褒めてくれたりするという。
しかしこのお褒めの言葉は「余計なことをつぶやくと人事考課に響くよ」という意味合いではないか、とそこの社員は首をすくめていた。
そんな矢先、隣の席にいる私の上司がおずおずと話しかけてきた。「今流行りのツイッターって、やってみたら面白いかな?」
「いえいえ」私は即座に答えた。「時間ばかり食うし、寝不足になるからやめといたほうがいいですよー」。
「そうか、やっぱり面倒くさそうだな」と言ったきり、彼はその話をしなくなった。しめしめ。
というわけで今回の結論。
上司からのフォローは監視の意味合いがある。「君のつぶやき、面白いね」は余計なことをつぶやくと人事考課に響くよ、という意味かも。