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027.【自分の事】客先作業へ飛ばされて

027.【自分の事】客先作業へ飛ばされて

佐藤 洋之

1967年生まれ、神奈川県横浜市在住。ひょんな事からIT業界に努めて四半世紀、嫁と子供2人、あとメス猫一匹を抱えて、日々奮闘しているエンジニア(??)です。趣味はバイクと読書。IT業界の事、仕事の事、趣味や日々の雑感などについて、これから書いていきたいと思います。

当ブログ「IT雑貨屋、日々のつづり」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/satou55_makoto/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 この間、家族で野毛山動物園へ行きましたが、近くの公園では桜のつぼみが膨らんでいて、幾つか花が開いてました。
 春ですねー。これから良い季節になることを感じました。

 佐藤@IT 雑貨屋です。

 先日までOS/2に纏わることを書きましたが、その事で社内でも「ハードウェアとOS に関しては佐藤だ」というように立ち位置も決まり、それなりに多忙な日々を過ごしていました。

 そんなある日の事、社長から呼ばれました。仕事の依頼です。

 社長の話では受注している仕事があって、それは社内で取り組むのではなく知人に依頼したそうなのですが、どうやらかなり遅れが発生しているようでヘルプにいってほしいとのことでした。環境はUNIXで言語はC言語、すでにプログラムは完成していて、あとは試験の段階だとの事で、試験とデバッグでヘルプをして欲しいとの事。

 作業場所は西新宿の発注元の会社、作業は一週間くらいだろうとの事でしたので、さっそく翌日から現地に行く事となりました。因みに要員は私一名だけ。

 翌日は普段より早く出て、西新宿にあるオフィスビルの1Fで社長の知人と落ち合いました。見た感じは30代前半の人で、名刺交換するとどうやら個人で最近独立した人の様でした。

 さっそくその人と同行して発注元の会社へ行き、PMである主任技師に挨拶をすませ、状況をヒヤリング。その人の話ではプログラムは全て完成しているので、あとは実機でコンパイルして動かしてデバッグすばれ良いという話でしたので、「こりゃそれほど手間がかからないかな・・」と思っていました。

 しかし・・・実際には違ったのです。

 確かにソースコードは全て完成しているというのは本当だったのですが、問題はそのプログラムをコンパイルしたところ、山の様にエラーメッセージのオンパレード。ソースは20本程度のものでしたが、それぞれ200~300件のコンパイルエラーが発生していました。

 もうこの段階で、私の心の中は「レッドアラート」。今まで気楽に考えていたのは、一挙に吹き飛びました。

 実機の環境はUNIXのメインフレームに5台の端末、プロジェクトメンバーは総勢10名。そして私が入ったその日から「連動試験」を実施するというスケジュール。しかしこんな状況では、とても直ぐに連動試験なんて出来ません。

 このシステムは某地方公共団体で、高速道路の電光表示板を制御するシステムです。その為に県内にある土木事務所から雨量計の値と気温の値を受信し、指定されたフォルダに指定した形式のバイナリーファイルでデータを保存するというサブシステム部分が私の会社の担当分でした。また気象衛星から受信した衛星写真も同様に保存を行うというものです。

 つまりデータの入り口である自分たちの担当が出来上がらない限り、連動試験そのものが実施できないという事でした。。。。う~ん、、、以前にもましてシビアな状況、、、絶句です。

 この当時、端末は皆でシェアしていたので、専用端末なんてありません。とにかくまずはコンパイルエラーを何とかしなければとソースコードを印刷し、与えられた会議室に籠もりエラーをつぶす作業に早速とりかかりました。

 そしてソースコードを見て、またまた衝撃を受けました。それは関数インターフェースを理解していないようで、引数の内容もメチャクチャ、また作りも無茶苦茶。簡単に言えば「C言語もどきの文字列の羅列」でしかなく、ただ単にフローチャートの流れで関数を置いているだけという代物だったのです。

「こりゃ・・・まいった。全部作り直しか・・・」

 このプログラムを作った当の本人ですが、のんきなもので「C言語初級入門」なる技術書を私の隣でのんびりと眺めているだけ、要は仕様はおろか、C言語そのものも理解していない模様でした。

 さっそくその人をつれてPMである主任技師の所へ。すでに発注されてから3ヶ月は経過しているので、とても正直に状況を言う事なんて出来ません。なんやかんやと理屈を付けて、何とか1週間の猶予を貰いました。

 「○○さん(社長の知人)、これから1週間は死んで貰いますよ」

 そう話をしたのですが、「私は一生懸命やったんですが。。。すみません」と言うばかり。当時の私は23歳。この人よりもかなり年下なのですが、まったくもって頼りない限りな言葉しか発しません。

 「あ~ー・・・これで当分、家には帰れないかもしれない」

 心底泣きたい気分でした。

 客観的にみて、地方公共団体へ導入するシステムは、ソフトウェアばかりではなく、連動する電光掲示板など、大手機器メーカの納品日も決まっている状況です。聞くとすでに電光掲示板の設置工事も進んでいて、全県内の機器との連動試験の日程も1月後に迫っている状況。。。まったくもって「大きなババ」を掴まされた気分であり、目眩までしてきました。

 本日はここまでです。
 次回は一週間の疾風怒濤編とでもしておきます。

 ここまで読んで頂き、ありがとうございました。