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034.【自分の事】客先作業を終えて<番外編>
»2012年7月17日
IT雑貨屋、日々のつづり
034.【自分の事】客先作業を終えて<番外編>
1967年生まれ、神奈川県横浜市在住。ひょんな事からIT業界に努めて四半世紀、嫁と子供2人、あとメス猫一匹を抱えて、日々奮闘しているエンジニア(??)です。趣味はバイクと読書。IT業界の事、仕事の事、趣味や日々の雑感などについて、これから書いていきたいと思います。
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もう七月も中旬になってしまいました。(;´д`)
今年に入り、仕事でバタバタとしているうち、間もなく今年も半分が過ぎようとしている事に、内心呆然としてしまいます。
そんな中でもブログの継続に力点を置きたいと、孤軍奮闘しています。
佐藤@IT 雑貨屋です。
前回まで、客先作業の事を書きましたが、今回はその続きというか、終わり部分について書きたいと思います。
自社に戻り、何度か納品先である某県庁には呼び出されたりしながらも、何とかシステムが安定したので、プロジェクトは終了となりました。
自分のペースで淡々と作業をする日々でしたが、ある日社長から相談がありました。何でも件のO氏と揉めているので、近日中に会社でO氏との打ち合わせのをするらしく、同席して欲しいとの事。
本音ベースで言えば、そんな揉め事は知り合い同士で納めて欲しいと思いましたが、私もサラリーマンであり当事者。社長のオーダーを断れる筈もなく、同席することと相成りました。
数日後、O氏はさっぱりとした面持ちで会社に現れ、社長と私の上司、そして私の四人で打ち合わせが始まりました。
冒頭、社長からは今回のプロジェクトに対する労いの話で始まり、その後、発注した今回の仕事では納期遅れが発生した事、また途中からは社員(私の事)がその対応に関わった結果、 利益無く、むしろ赤字になった事が淡々と語られました。
「O さん、だから誠に申し訳無いですが、今回の支払いについては契約に基づき当初の半額にしますが、それで良いでしょう?」
この話を聞いたとき、個人的には支払う事は無いだろうとおもっていたので、社長も気を使っているんだなあー、と思いました。だってシステムはほぼ全て私が作り直したんですから。
そんな暢気な事を考えながら、O氏の顔を見てみると、見る見る間に赤くなっていました。
「いや、ダメです。私は仕事をしたのですから、しっかりお金は払って貰わないと困ります!」
この言葉を聞いた時、さすが若造の私でも、我が耳を疑いました。いくら若くて経験がなくても、まず今回の契約というのは「派遣契約」ではなく「請負契約」です。であれば請け負った仕事でもし問題があれば、瑕疵担保責任が発生する事ぐらいは、若族の私でも知っていました。また今回の仕事は、O氏が作ったプログラムは「形式」なものであり、実態は私が全部作り直したと言っても過言ではないほど、短期間でリプレースをしています。つまりO氏は実態として、何も作っていないというに等しい状態です。
この言葉を聞いた時、社長も語気が少し荒くなっていました。
「そんな事言っても、実際にはうちの佐藤がほとんど作り直しているじゃないですか。あんたは何を作ったというんですか?今回の仕事は先ほども言ったとおり、実際には赤字になって、うちの会社でも既に持ち出し状態なんですよ。それでも半分払うと言っているのだから、それでも不満なんですか?」
しかしO氏は一向に譲りません。
「いえ、私は仕事をしました。また今回のお金は貰わないと、私自身が困るんです!」
この段階で、同席していた上司の顔を見ると、既にあきれ顔。私自身も何を言っていいのか解らなくなりました。
こんな状況でも社長は粘り強く話をしたのですが、結果としては同じ言葉の繰り返し。最終的には社長も折れて、全額は無理でもそれに近い金額を支払う事で合意しました。打ち合わせは二時間近くで、形としてはO氏の粘り勝ちという事なんでしょうか。
ただこのO氏とは、これ以降会うことは二度とありませんでした。
いまこの原稿を書きながら思いを馳せてみると、恐らくO氏は資金繰りにかなり苦しんでいたのかもしれません。だからこそ、あれだけ必死に食いついてきたのでしょう。まあ、当時の社長とは知人であるという事もあって、であれば資金を回収出来ると考えていたのではないかと思ったりもします。
この後、私は様々な仕事に取り組む中で、いろんな会社経営者を間近に見てきました。
そこで実感した事は、「会社を経営する」というのは、人生をかけた大勝負だという事です。会社が利益を上げていれば、それは良いことなのですが、もし資金がショートしたり、また信用を一度でも失墜した場合には、サラリーマンでは考えられないような修羅場が待っています。まさに排水の陣と言ってもいいでしょう。
ただこのO氏について考えてみると、やはり考え方に甘いところがあったのではないでしょうか。
今ではあまり考えられない事なのですが、二十数年ほど前のIT業界はものすごい好景気で、システムエンジニアやプログラマというのは、まさに花形でした。「IT革命」という言葉がありましたが、その流れの中で至る所にビジネスチャンスは転がっていました。だから独立開業する人も多く、それこそ「雨後の竹の子」の様に様々な会社が立ち上がっていた時代です。
少し話は逸れますが、以前に知人が会社を起こしたいという事で、短期間でしたが起業に付き合った事があります。
会社を起こすには、例えば税理士や公認会計士などにお願いして、資本金を銀行に預け、必要な手続きをする事で、簡単に起こす事が出来ます。
しかし問題は、そうして設立した「法人」である会社を、如何に存続させる事が出来るのかという事です。まさに経営者としての社長の仕事は「法人」を生き続けさせる事です。
以前にある社長に聞いた話では、会社が10年間存続するのは全体の3%~4%だと言います。つまり10年間の間に、90%以上の会社は倒産や解散など、存続する事が出来ないという事です。
「起業は易し、持続は難し」
そういうところでしょうか。
そして法人が存続するため、一番大事な事は「信用を得る」という事です。「信用」というのは、中々作り上げる事は難しく、壊すのは一瞬です。
先のO氏にしても、様々な事情があったのでしょう。
でももしあそこで踏ん張る事が出来たのであれば、少なくとも当時、私のいた会社との取引は継続出来ていたかもしれません。でもあの一件で、結局、取引先の一つが無くなってしまった事になります。
話を元に戻します。
この初めての客先作業で私は様々な事を、直に肌身感覚の経験を通して学ぶ事が出来ました。だから仕事の進め方についても、より責任感を持って取り組める様になりました。
そして当時いた会社は、好景気も相まって開発や営業の人数が増加していったのです。その中で僕は役職こそは上がらなかったものの、任される範囲はさらに拡大していきました。
ただし安穏とした会社生活というのは、相長くは続かずに、またまた波瀾万丈な状況が到来するのですが、それは次回以降という事で。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
IT雑貨屋をこれからもよろしくお願いします。