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ソーシャルビジネスに必要な新しいスキルセット

ソーシャルビジネスに必要な新しいスキルセット

小山 龍介

株式会社ブルームコンセプト 代表取締役 共同経営責任者。企業理念のもと集結した精鋭メンバーにより、新規事業立ち上げのコンサルティング、新商品や、企業のCIプロデュースなどを手がけている。趣味は野球観戦と音楽鑑賞。R&Rをこよなく愛す。

当ブログ「小山龍介の「ソーシャルビジネス・フィールドワーク」」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/sbfw/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 ソーシャルビジネスを組織の中に導入するためには、企業文化のなかに自主性という意味での「ボランティア精神」が必要です。対価をもらわないという意味ではなく、人から言われる前に自主的に動いていくという主体性です。
 こうした自主的な行動の中には、結果的に対価の請求できないものもあるかもしれません。しかし、だからといって対価の支払いが確約されるのを待っていてはいけないのです。
 なぜなら、対価の支払いを前提としたつながりは、広がるのに格段に時間がかかるからです。


つながること、それ自体が価値

 対価を前提としないなら、なにを基準につながっていけばいいのか。ソーシャルにつながっていく世界では、その価値判断が変わっていきます。
 この世界で大切なのは、お金ではありません。ソーシャルな世界では、つながること自体に価値を見出す。人と強くつながるためであれば、相応の負担も厭わない。
 これを一言で言えば、人とのつながりは、お金では買えない、ということになるかもしれません。

 この価値観の裏には、これからの世界では、お金がいくらあっても、新しいものを作りだすことはできないという認識があります。
 プログラマーの生産性は、人によって数十倍、数百倍もの違いがあります。クリエーターの世界では、そもそもその人にしか作れないものがあります。
 今までは、「人月」計算をして、価値を生み出すこともできました。何人の人が何ヶ月働けばできる。そういう計算です。もちろん今でも、そうした世界はあります。しかし、「今までにない新しい価値を生み出そう」と思ったら、そうした計算は成り立ちません。そうした平均の掛け算で作り出せるものではないのです。

 そして、これからの日本の産業は、今までにない価値を生み出すことでしか、存続できないでしょう。
 重要なことはそうした人とつながるのに、お金をいくら積んでもだめだということ。お金をいくら積んでも、信頼関係でつながることはできないということ。このことを深く理解し、人と人とのつながりに高い価値を置く人が、これからのソーシャルビジネスで活躍することになるでしょう。
 

つながりから主体性を立ち上げる

 こうしたつながりを重視する立場をとると、個人の主体性のあり方も変わってきます。他人とのコラボレーションが前提となるので、「私ができること」や「私がやるべきこと」は、参加するメンバーのスキルやノウハウによって変わってくるということ。パフォーマンスを発揮すべき分野が、参加するメンバーによって変わってくるということなのです。
 これを比喩的に言うと、「鍵穴から鍵を見る」ということになります。これまでは、スキルという鍵を磨くことが重視されてきました。スキルアップといえば、個人の、個人によるスキルの上達を意味していました。資格をとったり勉強をするのはあくまで個人であり、それの主語が「チーム」になることはありませんでした。

 しかしこれからは、スキルアップの主語はチームとなっていくでしょう。メンバーの関係性を深め、お互いのスキルを理解し尊重しながら、プロジェクトを進めていく。そこには、関係が深まることによってパフォーマンスが高まるという、個人の場合とは全く異なる「スキルアップ」の面があります。
 これはサッカーなどのチームスポーツに例えると分かりやすいでしょう。いくらスーパープレイヤーが集まっても、チームとしてのまとまりを欠くならば、決して勝つことはできません。


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 こうしたチームとしてのスキルアップに必要な態度が、「鍵穴から鍵を見る」というアプローチです。自分の持つスキルという鍵を、チームに求められているスキルという鍵穴から眺めるのです。自分を「主語」にするのではなく、チームを主語にして、自分は「述語」になる。チームの中の「働き」となる。そうした「主客転倒」が必要となるのです。

 ソーシャルビジネスにおいて必要となるスキルセット。そのひとつは、「鍵穴から鍵を見る」という、ネットワークのなかで働くためのスタンスなのです。