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【コラボ企画7】落語家に聞く!若手社員の仕事術。

»2010年8月30日
安齋の「No brain,no life」

【コラボ企画7】落語家に聞く!若手社員の仕事術。

安齋 慎平

社会人5年目。世の中にある様々なモノ・サービスに対してブレストしたものを記事にしていきます。また、ほかのブロガーさんや企業さんとのコラボ企画なども織り交ぜてお送りいたします。コラボしたいという方、絶賛募集中です!

当ブログ「安齋の「No brain,no life」」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/shinpeianzai/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


落語にハマってしまいました。きっかけは「タイガー&ドラゴン」というドラマ。落語が単なる笑いではなく、ストーリーとしても完成度が高いように感じ、BSの落語番組などを見ているうちに、気付いたら友人を連れて寄席に通うようになっていました。東京だと「浅草演芸ホール」や「鈴本演芸場」などが有名です。

落語と聞くと、まず思い浮かべるのは「笑点」。日曜の夕方に放送されているので、見ている方も多いはず。しかし、テレビで見るのと、実際に足を運んで寄席を見るのでは全然臨場感が違います。噺家さんが、その場の空気を読んで話し方を変えたり、客に対して「イジリ」をするという感覚は、テレビでは伝わってこないものです。
また、笑点の場合は前半に「漫才・演芸」、後半に「大喜利」というスタイルですが、実際の寄席は、落語家が出てきたら、次は漫才、その次は独楽芸というように、多種多様な芸を見ることができます。寄席は数時間に及びますが、いつ帰っても良いというのが寄席の醍醐味です。

私は実際に6代目・三遊亭圓楽(襲名前は楽太郎)や9代目・林家正蔵(襲名前は林家こぶ平)の落語を聞いたことがあり、テレビの彼らとは違った面を見ております。特にこぶ平さんはヒロミさんからいろいろとイジられているイメージが強いですが、実際に正蔵として落語を聞いてみると、やはり落語家なのだなあと感心。

ちなみに私は、千原ジュニアも好きだと言っている2代目・桂枝雀が好きです。ジュニア氏は車の中でCDを聴いているらしいので、きっとトークの教材になっているものと思われます。

さて、今回のコラボ企画はブレストはブレストでも、単なる箇条書きに非ず。思っておられることをたくさん語って頂くというリーブレスト形式でお送りいたします。
今回コラボしますのは、柳家喜多八師匠と柳家はん治師匠のお二人。友人の親戚が寄席を主催されているというので、参加致しました。寄席が開催されましたのは、都内某所の40階(!)非常に高い所での落語ではありましたが、落ちないことはありませんでした(笑)さて、タイトルコールに参ります。


<噺家さんに聞いた!ネタの集め方・話し方>

(まずは柳家喜多八師匠に聞きました。以下敬称略)

――落語の本題に入る前に『枕』という話をしておられましたが、ネタはどのように集めているのですか?
柳家喜多八「何も用意はしていないんですよ。何も考えないようにして高座に上ります」

何も考えずに、人前で受けを狙う。これは難しいことのように思えます。飲み会の席でスベる人が多いだけに、何かヒントとなるようなことがあるのかもしれない。そう思い、以下のような質問をしてみました。

――話すコツといったものはあるのでしょうか?
柳家喜多八「やはり場数をどれだけ踏んだかでしょう。面白くしようとしちゃ駄目。自然と話すようにするのがコツです」

ウケようとするのではなく、あくまでも自然に話す。その域に達するには、多くの経験と底知れぬ努力があるのでしょう。自然体。そこに、プロフェッショナルさを感じました。


(次に、柳家はん治師匠に聞きました。以下敬称略)

――落語の魅力とは何でしょうか?
柳家はん治「やはり、気軽に聞けることだと思います。何か人生訓を学ぼうとか、日本文化を学ぼうとかそういった感じではなく、『あー、今日も時間を無駄にしたなあ』という感じで落語を聞いて欲しいですね。」

時間を浪費する。効率化を好む現代人が忘れかけている時間の使い方です。時には、江戸情緒溢れる世界観を体験し、ゆっくりとした時間を過ごしてみるのも良いのかもしれません。

――最近の笑いに対する意見は?

柳家はん治「若い噺家がたくさんいるからしょうがないのかもしれないけれど、最近の若手は目立とうとし過ぎているように思えます。だから、新奇なことをしようとする。でも、まずは『型』をしっかりとやることが大事なのではないかな。型をしっかりとやっていると、40を過ぎた頃から、その人の『味』が出てくる。それって、他の人にはない、その人独自のものなんですよ。」


私は社会人2年目。まさしく、前座にも満たない「見習い」です。どうしても焦ってしまうこともありますが、まずは仕事の「型」をしっかりと身につけることが大事なのだということに気付きました。落語と仕事。一見関係のなさそうに思えますが、実は根本的なことは変わらないのだと感じることができました。
今回記事を承諾して下さった両師匠、大変感謝申し上げます。

ということで、締めも落語らしく締めようと思います。

落語は遠く(トーク)で楽しむものではなく、近く(知覚)で楽しむものです。是非、寄席に足を運んで見てはいかがでしょうか?


コラボ7.jpg
↑柳家はん治師匠と。とても謙虚な方でした!