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【書評】30代を後悔しない50のリスト 1万人の失敗談からわかった人生の法則

【書評】30代を後悔しない50のリスト 1万人の失敗談からわかった人生の法則

杉林 貢司

教育産業にて講師、管理部門、制作部門担当を経てカラーコンサルタントRosa マネージャー/デザイナー/ライター。同社にてWeb、DTP制作、執筆等を手掛けている。

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「我が生涯に一片の悔い無し」と聞けば多くの方々が誰が発した言葉かお分かりでしょう。80年代を代表するコミック「北斗の拳」の主人公ケンシロウの兄ラオウはこの言葉を発した後に絶命します。
人生苦あれば楽あり、成功することもあれば失敗することもあります。でも、最期にはラオウのように自信を持って旅立ちたいものです。

しかしながら、総合的に「いい人生だった」と振り返ることはできても、「一片の悔い」もない人生を歩むことなど不可能だと思います。
人生の転機においても、日常生活においても私たちは数々の選択と決断を迫られています。その、何千何万と下してきた選択と決断に全く後悔のない人などいる訳がないのです。

私自身の立場に当てはめれば、大小含めて後悔することなど挙げればキリがありません。ただクヨクヨすることなく、教訓として「次こそは」と生かしていくことで活路を見出してきたように思えます。
それでも後悔しないことに越したことはありません。特に、「やっておけば良かった」という後悔は時に人生に大きな汚点を残してしまうことにもなりかねません。

また、様々な人生の局面において「これに気付いていれば結果は変わったかも知れない」ということはありませんか?
時計の針は戻せないので考えても結果は変わることはありませんが、これから起こりうる出来事に対し、少しでも高い視座でことに当たることができればより後悔のない人生を送ることができるのではないかと思います。

私に残された30代の時代はもう長くはありません。たった一度しかない人生、「ああしておけばよかった、こうしておけばよかったという」思いはしたくはありません。残された30代後半について思いを巡らせているときに献本いただいたのがこの本だったのです。

30代を後悔しない50のリスト 1万人の失敗談からわかった人生の法則



書店に行けばビジネス書の類は星の数ほどあります。時の人が熱く語る成功法則は十分説得力のあるものですが、そうはうまくいかないからこそ成功法則に関する書籍が売れ続けるという皮肉な結果を生み出しています。
その点において「30代を後悔しない50のリスト」は、著者のインタビューに答えた1万人の30代に「ああすればよかった、こうすればよかった」を取り上げて後悔しないための具体策を著者の視点から提示しているというこれまでになかったタイプのビジネス書です。

第1章 この10年で何よりも大切にしたいこと
第2章 プロフェッショナルとして絶対に必要なこと
第3章 人生を左右する決断について知っておくべきこと
第4章 「仕事以外」で必ず考えておくべきこと
第5章 「お金のこと」で知っておくべきこと
第6章 揺れ動く心を支えるためにやっておくこと


私自身に照らし合わせても、既に後悔していること、そしてこれから後悔するかも知れないことが6章50項目に渡って取り上げられています。どれも「不惑」の40代をビジネスパーソンとして開花させるためのまさに「人生の土台」とも言うべき30代、「後悔する前にやっておかなければ」と痛感させられる内容ばかりでした。

もちろん、どの年代でも重要なのは間違いありませんが、先人たちの後悔が三〇代に集まるのには理由があります。

中略

後悔が集中するということは、多くの人が同じ五〇個の壁の前で選択や行動を間違えたということです。
諸先輩が、仕事や生活、あるいは人間関係などでどのようなことを後悔しているか、そのとき何をしておけばよかったのかと反省しているのかを先に知ることは、三〇代を充実させるのに非常に有意義な方法です。


30代も第4コーナーに差し掛かかっている私からすれば、本当に早く出会いたかった本です。こうなることが分かっているならばもっと早く決断すべきだったし、早くことを起こすべきだったということも多かったことに気付かされました。あとは、多くのビジネスパーソンが私の前に立ちはだかったのと同じような壁を経験していたことも分かり「オレだけじゃないんだ」という妙な安心感も同時に覚えました。

できることなら30代に差し掛かるあるいはそれより早い段階で読んで欲しい一冊です。私も残された30代を全力でひた走り、壁を乗り越えようという気持ちが湧いてきました。「何かを始めるのに遅すぎることはない」という言葉を信じ、研鑽努力を続けたいと思っています。

おすすめ度・★★★★☆ 4点