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「絶対」は絶対に排除した方がいい?

「絶対」は絶対に排除した方がいい?

大森 洋明

REBT心理士。うつ状態から回復した経験を経て、SEからカウンセラーへの転身を図りつつ、カウンセリングを世の中に浸透させようと奮闘中。座右の銘は、菅沼憲治先生に頂いた「生死一期」という言葉。

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 今までにも書いてきたように、現実は柔軟で変化に富んだものです。
 人が確実に死ぬこと以外、絶対と言えることはないといった人もいるくらいです(・・・誰でしたっけ?)。

 よく現実的に考えることを、「現実の一側面を切り取って、『それが現実だ』と決めつけて固定的に考えること」だと勘違いしている人がいますが、それは単なる自分の主観でしかなく、それだけが現実というには問題があるでしょう。

 人間は自分が理解できていない状態を不安に感じるため、なるべく理解しやすいように断定的なものの見方をすることがありますが、それは小さな不安を解消するために自分を情緒不安定にしているにすぎないのです。

 ではどうすればいいのかと言えば、現実の物事はほとんど目盛りのどちら端でもなく、あいまいな位置でゆらゆらしていて(断定しない)、それをそのまま受け入れることが現実的であり、健康的であるといえます。
 一般意味論的に言うなら、できるだけ正しい報告の言語を使い、推測は推測であることを認識し、断定はできる限り排除するよう心掛けることで、より現実的に物事をとらえることができます。
 ※よく理解できていなかったり、責任逃れをしたくて、あいまいな言動をとることとは全く違います。

 これらのことで現れる効果は、現実的に物事をとらえられるようになるだけではありません。 柔軟な思考を身につけるための訓練となり、情緒を安定させ、ストレスを減らして自分の心の健康を守り、まわりまわって自分の集中力や仕事の効率、品質などのパフォーマンスを上げることにも多く役に立ちます。

 では、全ての言動から絶対性を排除するのがよいのでしょうか?

 実は、そういうわけではありません。

 (自分を含む)人を動かすために使用する言葉は、多くの場合、絶対性を含むような強い言葉の方が効果があります。
 なぜなら、それらの言葉は感情に働きかけやすいためです。

 たとえば目標を思い浮かべてください。

「絶対優勝するぞ!!」
「優勝できた方がいいけど、できないこともある」

 上記の2つの言葉は、同じ優勝について述べています。
より現実的な文章は後者だと言えますが、実際に優勝を目標とする場合、どちらがより力を発揮できるでしょう?

 人を動かすための言葉は、人を動かせなければ意味をなしません。 目標として掲げる場合においては、上の文章の方が適しているとわかります。

 もし問題が起こるとしたら、絶対を含んだ上の文章を現実と混同したときです。 試合の結果、優勝することがかなわず、そこで「絶対に優勝しなければならなかったのに!(優勝できなければ、今までの練習も、練習にかけた時間も、人生のすべてが何の意味もない。無価値だ)」などと強く思い込んでしまった場合、必要以上に強くショックを受けることになります。

 辞める、辞めないの話になるような、こういったどん底を味わってこそ成長があるという人もいるかもしれませんが、多くの場合、軟着陸して新たな目標を立てる方が早く復活し、より強く新たに掲げた目標を目指せます。
 会社員が目標未達を経験するたびに辞めると言い出したら、人材は育たないでしょうし、面倒なことこの上ないでしょう・・・。

 こうした言葉は、他にも指示や宣伝、物語、歌、政治家の市民への約束など、身の回りに数多く存在します。

 これらの言葉の使い分けを理解したうえで仕事をする方がよりハイパフォーマンスになりますし、生活する上でもとても快適に過ごすことができるのです。


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