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素晴らしい実践者を知らずして、「教師」と括って批判してはいけない。

素晴らしい実践者を知らずして、「教師」と括って批判してはいけない。

寺西 隆行

(株)Z会勤務。Z会東大個別指導教室プレアデス代表。Web広告宣伝・広報・マーケティングなどを担当した後、理科課課長を経て現職。(※本ブログ記事は一個人の見解です)

当ブログ「教育に生きる人間から、社会を創る皆さんへ」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/teranishitakayuki/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


5月2日、有田和正さんがお亡くなりになったことを知りました。
僕のFacebookの友人の投稿には、追悼文が溢れかえっていました。
それくらい著名な先生です。

つれづれなるままに~有田和正先生が亡くなった~(←野中信行さんのブログ「風にふかれて」)

彼がどれくらい著名だったか、は

時代を拓いた教師を評価する(1)―有田和正氏のユーモア教育の分析(1)(←京都弁証法認識論研究会のブログ)

のタッチでだいたいお分かりになると思います。

「授業は布石の連続である。」(「教える」ことの継続・連続がいかに大切であるか)
「知識は眼鏡である。知識がなければ物は見えない。」(基礎基本がないと先に進めない)
「努力は人に見せるものではない。」

などがよく、有田さんの名言として語られるようですね。


教師はよく批判されます。そして公教育もよく批判されます。
「教師は世間知らず」とか「公教育のではなんでも禁止のオンパレード」とか、"ありがちな批判"の類としてすぐ思いつきます。

しかし、教師や公教育を簡単に批判する人に問いたいんですよね。
あなたは、どれだけ優れた実践者をご存知ですかと。
有田和正さんのお名前をご存知でしたかと。
「あなたの目に映っている教師や公教育」だけで、ひとくくりにして批判してませんかと。
...で、それって、「世間知らずの教師」と同じくらい、公教育知らずってことではないでしょうかと。


メディアによく出演される、尾木直樹さん、陰山英男さん。
著書がとても多い親野智可等さん、菊池省三さん。
この辺は「教育」を語るのであればまず普通知らないはずはない名前かと思います。

実践家として一般の方にも割と馴染み深いのは、向山洋一さん,野口芳宏さん。お亡くなりになった有田和正さんもこの2人と並列で語られることが多い方です。

他、上記のブログ「風にふかれて」の著者、野中信行さんもご高名で、教師を退任された現在もとある自治体の教育委員会に深くかかわっています。
愛される学校づくり研究会を主催されている、小牧中学校校長の玉置崇さんも、学校広報関係者では知らない人がいません。


他、、片山敏郎さん、岩下修さん、岩瀬直樹さん、仲里靖雄さん、藤原友和さん、長瀬拓也さん、堀裕嗣さん、石川晋さん、糸井登さん、福山憲市さん...
僕には、素晴らしい実践家の皆さんのお名前が、次々と出てきます。
きっとググれば、皆さんの何らかの著書も発見できると思います。
そして、現場教師を応援する存在としての、藤川大祐さん、西川純さん、池田修さん、他もたくさんいらっしゃいます。

もちろん、「教育」にある程度の深さで関与しなければ、お聞きになったことがない皆さん、であるのが普通だと思います。
しかし、「教師」「公教育」と括って、批判的な態を為すのであれば、こんな皆さんのことをほとんど知ろうとせずして批判されても説得力を為さないとも思うのです。
繰り返しますが、その批判は、「教師が世間知らず」と批判されることと全く同質の批判ですよ、と。


実践家の皆さんは、メディアに余りでません。なぜなら実践、つまり、目の前の生徒、目の前の授業に集中しているからです。
加えて、自分自身が有名になろうという野心的な!?気持ちもない方が多いです。
だから一般の皆さんにはなかなか届かないんです。
教師を辞め講演活動や著述に専念される道を選んだ親野智可等さんは、ある意味、実践家の皆さんを代弁されている面もあるかと思います。そうでもしないと、実践者の実態や想いや、普段考えていることが、世間に届くことがありませんから。

素晴らしい実践者をほとんど知らずして、彼らの考え方や指導法などに触れずして、「教師」と括って批判してはいけないのです。


僕は、教育にもビジネスにも首を突っ込まざるを得ない立場ですが、教養や生き方、人としての態までまるっと含めた「考え方」を学ぶには、ビジネス本より教育実践家の書籍を読む方が、ずっと考え方の深度が深まり、度量を大きくすることに役立つときがあります。
このブログをご覧戴いたのも何かのご縁です、是非、お亡くなりになった有田和正さんの書籍をはじめ、ここで挙げた実践家の皆さんをちょちょっとネットで調べてみて、ちょっと興味を感じた方の書籍を数冊、ご覧になってください。
ビジネスの世界の方にもきっと役立ちます。
そして、「教育産業」というくくりに属する人間に対して、であれば、「絶対何冊か読め!」といいます(笑)。

※本ブログはZ会ブログ「和顔愛語 先意承問」2014年5月3日の内容を一部修正し掲載しています。