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1月10日 心の改革~なかなかこういう風に言える社長は少ない(#232)

1月10日 心の改革~なかなかこういう風に言える社長は少ない(#232)

森川 滋之

ITブレークスルー代表、ビジネスライター

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自問自答)悪い年は悲観する年ではない。めでたい年なのだ。考え方を変えるチャンスなのだ。

松下幸之助さんは、昭和33(1958)年の年頭訓示でこのように語っています。

(前略)本年は非常に悪い年でありますが、(中略)。悪い年というものは考え方によると、非常にわれわれにものを考えさせる年である、また、平生考えられなかったことを考える年である、そういうことになるとわれわれは考えたい。だから非常に悪い年は、同時に心の改革ということが行われて、そしてそれが将来非常な発展の基礎になるんだ(後略)。

松下幸之助 成功の金言365

昭和33年は、「なべ底景気」と呼ばれた不景気が前年末から始まったばかりの年です。 その段階で、なかなかこういうことが言える社長は少ないと、私の17年半サラリーマン経験を通して考えてもそう思います。

さて、この訓示の真実性ですが、私は自分の経験から考えると、「心の改革」の重要性に思い当たります。

多少仕事がうまくいかなくても、昇進が遅れるぐらいで、給料はもらえていたサラリーマン時代にはまったくこのようなことは、「心の改革」などは考えませんでした。

独立してしばらく常駐のコンサルタントをやっていたことも、あまり考えませんでした。

本当に考えるようになったのは、起業してからです。最初の2年は、ひたすら悪い年でした。しかし、自分で仕事を獲ってこない限り、誰もお金はもらえません。

そうなってはじめて私は、自分の「心の改革」を求めました。

あまりにもつらい状況(銀行に行くたびに胸が締め付けられる、ということを想像してください)だたので、とにかく強くならねばということが発端でした。

考え方に関する本、特にD・カーネギーの『道は開ける』のような本を愛読・熟読しました。

そうして、少しずつ前向きな性格に変わっていきました。すると、事業も上向いてきました。

今では、心を変えてこそビジネスがうまくいくようになる、と断言できますが、追い詰められてはじめて分かったことです。

なので、この昭和33年の訓示を松下電器の社員の何パーセントが理解できたかは分かりません。しかし、社長のこのような言葉が残っているというところに松下の強さを感じます。

今日の一言)心を変えてこそビジネスがうまくいくようになる。