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発想法入門
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新年の方針や計画を立てるというテーマは若干時期遅れと思うが、既に立ててみたもののなんとなくしっくりこないという人もおられるのではないだろうか。
そういう人の方針に共通するのは、考え尽くしていないということかもしれない。考え尽くしていないとどうしても方針が抽象的になり、計画にも具体性がなくなる。
計画に具体性がなければ、進捗しているかどうかのチェックも難しくなり、最終的にはせっかくの新年の方針を投げ出してしまうということになる。
これに対して、ロジカルシンキングで考えるという手もある。MECEとかピラミッドストラクチャーとかロジックツリーとか名前だけは聞いたことがあるという人も多いだろう。
ところが、ロジカルシンキングというのはかなり高度であり、使いこなせている人はほとんど見たことがない。
● ロジカルシンキングの手前が難しい
社内研修などでロジカルシンキングを受講したことがある人でも、ふだんからピラミッドストラクチャーを描いているという人はほとんどいないだろう。
なぜこういうことになるかというと、ロジカルシンキングを実施するためには、まずは網羅的に項目を洗い出す必要があるのだが、これ自体がとてもむずかしいことだからだ。
金融系企業やIT企業あるいは公共団体など多くの企業で発想法などの研修の講師を務めている㈱創客営業研究所の木村尚義代表取締役は、「網羅的に項目を洗い出すためにはブレインストーミングが有効だが、企業研修でいきなりブレストをやってもらってもなかなかうまくいかない」という。
いきなりアイデアを出せと言われても、普段からアイデア出しをしている人はほとんどいない。なので、脳が"アイデア出しモード"になるためのお膳立てが必要なのだ。
そこで、今回は脳がアイデア出しモードになるための方法について、お話ししよう。
新年の方針・計画を見直す一助になれば幸いだ。
● オズボーンのチェックリスト
アレックス・F・オズボーンは、ブレインストーミングを考案した人して知られている。
彼は、ブレインストーミングでアイデアを出すためのチェックリストも考案している(下図)。
見たことがあるという人もおられるだろう。僕は、中学生のときベストセラーであった『頭の体操 第1集』で知った。
ただ、ビジネスの現場ではあまり普及しているとは言えないようだ。
9項目というのは少し多いので、覚えにくいというのが普及しない理由らしい。
とはいえ、この図を名刺大ぐらいのカードに印刷して持ち歩けば、現場でも使えるはずだ。
● SCAMPER
「魔法の数字7±1」という言葉を聞いたことがあるかもしれない。
人間の脳には、コンピュータでいえばレジスタのような短期記憶領域があり、その数がだいたい6つから8つぐらいなのだそうだ。
なので、人間は7±1の項目数だと覚えやすい、という説である。
市外局番を除いた電話番号や、郵便番号などが7桁なのは、これと無関係ではないようだ。
これに着目したのかどうか、ボブ・イバールという人が、先ほどのオズボーンのチェックリストを7項目に集約したチェックリストを作成した(下図)。
オズボーンのチェックリストを持ち歩くのが面倒な人は、SCAMPERを覚えるというのも一案だろう。
● 木村尚義氏のチェックリスト
前述の木村氏によれば、アイデアは1つ1つをじっくりと考えるよりも、1つあたり30秒ぐらいの短時間で大量に出すほうが優れたアイデアが生まれるのだそうだ。
そうなると、実際のブレストではSCAMPERでも使いづらい。仮に印刷したものを手元においていても、7つの項目を目でたどっているだけでも結構な時間が過ぎていく。
そこで、木村氏は大胆にも4つに集約した(下図)。
木村氏は、実際の企業研修ではこのリストを使っている。
できるだけ単語化しているのも特長だ。僕も実際にこのリストを使って木村氏と一緒にブレストをやってみたところ、単語が目に飛び込んでくるとアイデアが湧くという感覚があった。
木村氏の研修では単なるブレストではなく、この4項目をトランプのスートに対応させたたカードゲームとして実施しているらしい。
その内容については、企業秘密ということで公開できないのが残念だ。
ただ、「カードゲームとしても普及していきたい」(木村氏)ということで、まずは少人数でのゲーム大会を企画しているとのことだ。