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【自分軸ブランディング】企業活動と自分軸

【自分軸ブランディング】企業活動と自分軸

森川 滋之

ITブレークスルー代表、ビジネスライター

当ブログ「ビジネスライターという仕事」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/toppakoh/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


前回は、ブランド育成と自分軸というテーマで話をした。

今回は、企業活動と自分軸というテーマでお話しする(再掲下図参照)。

2014060401.png

●ブランド育成と自分軸

ブランディング活動チェックリスト(以下、チェックリスト)を見ると、企業活動の項目は5個ある。

その5個と自分軸の関係を示したのが、下図である。

2014071701.png▲クリックすると拡大図

項目はすべて、企業活動の考え方となっている。

●企業活動を考える手順

企業活動を考える手順は以下の通りだ。いつものとおりだが、念のために書いておく。

  1. 大前提として、自分軸を考える
  2. チェックリストの№38~42の順に、自分軸の当該項目と突き合わせながら、(図では省略しているが)チェックリストの「現状評価と改善策」の欄を埋めていく
  3. 全く埋まらない欄があれば、ブランディング活動が行われていないということのなので、方針を決め、行動計画を立てる
  4. 埋めることはできたが不満足な欄があれば、同様に方針を決め、行動計画を立てる
  5. 行動して結果が出れば、チェックリストに反映し、自分軸にフィードバックすべきことがあればする

●全般に中小企業には無関係なようだが...

前回までの話はどこの企業でも受け入れてくるのだが、今回の「企業活動」については、中小企業を中心に「うちには関係ない」という顔をする経営者が多い。

特にCI(Corporate Identity)やCSR(Corporate Social Responsibility)などは、「そんなの余裕のある大企業だけでしょう?」と露骨に嫌がる経営者が多い。

しかし、実際はそんなことはなく、むしろ中小企業ほど取り組んで欲しいと思うものばかりだ。

ブランディングにおいてもっとも大切なのは、企業全体が同じベクトルを向いていてブレていないこと、つまり一枚岩であることを外部の人間が感じることだからだ。

あなたのよく知るブランド――ベンツ、シャネル、アップル、ディズニーランド――は、内実はよくわからないけど、外から見ていてそのように感じないだろうか?

たとえば、東京ディズニーランドで、キャストの一人ひとりに何だか温度差を感じるということがあり得るだろうか?

大企業でCIやCSRに何億円も掛かるのは、やはり人数が多いためだ。研修だけでも恐ろしく費用が掛かるが、現実的には「反対派勢力」や「非協力勢力」の理解を得るためのコストが一番掛かる。

このようなコストは人数に比例するのではなく、幾何級数的に増える。なので、人数の少ない中小企業であれば費用対効果の面で極めて有利なのである。取り組まない手はない。

●CI

CIの歴史は古く、アメリカでは1930年代からだという。世界恐慌の直後だ。

チェックリストにもあるように「ロゴ・マークの刷新やコミュニケーション・ツールの改訂などを通して、企業の新たなイメージを社会に浸透させること」だ。大きく、以下の3つの活動がある。

  • MI:Mind Identity、 理念の統一
  • BI:Behavior Identity、行動の統一
  • VI:Visual Identity、視覚の統一

MIは、企業理念をいろいろな形で表明(HPへの企業理念・社是等の掲載、社長の挨拶、会社のヒストリーなど)することである。

後述するCSRでも必要な活動だ。このため、現代ではCSRとCIを同時並行で進める企業も多い。本来は別のものだが、重なる部分が大きいということである。

BIは、マニュアルやクレドなどで社員の行動を統一していくこと。

マクドナルドが強かった頃はどの店でもほとんど同じサービスレベルだった。これを味気ないと捉える人も多いが、しかしながらどの店でも全く同じサービスを受けられる安心感はやはり強みなのである。FC化してそれが崩れているのが、現在マクドナルドが苦戦している原因の1つかもしれない。

VIは、ロゴマークやイメージカラーなど目に見える部分を統一していくこと。

CIと聞くと、まず思い浮かべるのはこれだ。やりやすく、わかりやすいからだろう。だが、それ以上にMIやBIが重要なのは、こうやって列挙すると分かる。

●感動・共感

「読み物・ストーリー型の」コミュニケーションに取り組んでいる会社は多い。これは、次項目の「顧客の感動や共感を引出し、顧客が自然と巻き込まれていくような取り組み」の一形態だが、取り組む会社が多いので別項目にした。

小冊子を作ると営業ツールとしても使いやすい。チラシやパンフレットは捨てやすいが、ある程度ボリュームのあるものは捨てにくいからだ(なので40ページ程度は欲しい)。帰りの電車で暇つぶしに読もうという担当者もたぶん多いだろう。

小手先で「感動・共感」を得ようとしても難しい。その場・その場では成功するかもしれないが、だんだん一貫性がなくなり、その結果信用されなくなる。

最初に自分軸を作っておき、それをベースにストーリーなどを作っていけば一貫性が保たれて、ブランディングだけでなくマーケティング全体も容易になっていく。

僕が実際にコンサルティングして、ネットマーケティングがやりやすくなった事例もある。詳しくはこちらを見ていただきたい。

●CSR

CSRには、戦略的CSRと受動的CSRの2種類がある。いわば、攻めと守りである。

戦略的CSR、すなわち攻めのCSRは取り組もうという企業が多い。世で喧伝されているCSRもどちらかと言うと攻めのほうだ。

ただ、中小企業ほど受動的CSR、すなわち守りのCSRに取り組んで欲しいと思うのである。

僕の友人に中小企業のISO取得専門コンサルタントがいる。彼の企画で、葛飾区の従業員15名の紙加工業者のISOへの取り組みについて伺う機会があった。

結論を言うと、ISOは内部統制に極めて効果的だということが分かった。「内部統制」と聞くと堅苦しく思うかもしれないが、要するに社員が裏表なく一貫した行動を取るように仕組み化するということである。ISOに準拠することを考えるだけで、内部統制の大部分は実現できる。

ISO取得業者だから選ばれるというような直接的な差別化効果は思ったほどはない。それで二の足を踏む中小企業経営者が多いのだが、葛飾区の紙加工業者の社長は「社内に無形の文化ができあがる価値は計り知れない」と語っていた。しっかりした会社だから選ぼうという間接的な差別化効果があるということだ。

なお、CSRにおいても自分軸を先に作っておけば、攻守ともにスムーズになるのは言うまでもない。

8回にわたって書いてきた【自分軸ブランディング】だが、今回が最終回である。

今までの記事のアーカイブを下記にまとめてみた。

http://blogs.bizmakoto.jp/toppakoh/entry/20536.html

ご愛読ありがとうございました。感謝しています。

追記

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