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女豹ライターはなぜラジオを目指すのか?
当ブログ「ビジネスライターという仕事」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/toppakoh/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
前回予告した通り、「マルチタレントを目指している女性ライターに聞いた話」を書きます。 作家・女豹ライター・コラムニストの島田佳奈さんです。これに、もうすぐ(ラジオの)パーソナリティーという肩書がつく予定です(すでに活動は始めています)。 「マルチタレント」というのは僕の解釈で、もしかしたら微妙に違うかもしれません。ただ、一般的な意味で、いろいろな才能(タレント)で勝負するという意味では間違っていないと思います。 なお、以下対談形式ですが、話の順序等はアレンジしています。対談したのは2月9日、場所は北千住の鶴亀飯店です。 ▲内容とは関係ありませんが、鶴亀飯店のコース。これで1人3,000円以下です! |
森川:今日は、フリーライターがいろいろな仕事をするということについて伺いたいんですが、そもそもアイデンティティはフリーライターということで良かったのかな?
島田:元々はフリーライターだったけど、今は作家に重きを置いてます。
森川:島田さんの「作家」の定義とは?(僕・森川の定義はこちら)
島田:自著を持っているかどうかがまず第一ですね。それとジャンル性がある。
森川:ジャンル性とは?
島田:私の場合は、「女豹」というジャンルです(笑)。恋愛系のライター・作家はたくさんいるけれど、「女豹ライター」は私しかいない(森川注:「女豹=積極的・ポジティブで自立した女性」のことらしい。こうした女性を支持し、応援する内容のコラムや本を島田さんは書いている)。
森川:差別化、あるいはブランディングということですね。
島田:そう。で、作家とライターの使い分けは、ライターのときにはお仕事をいただけば「女豹」以外でも書くけれど、作家のときには「女豹」をかなり意識して、とがったジャンルで書いています。逆に、ライターのときには、自著の内容となるべくかぶらないように意識してますね。
森川:最近はラジオのアナウンサー修業などもされてますが、メディアへ進出して知名度を高めて行こうという考えなんですか?
島田:有名ってところはあまり目指していなくて、それこそ新しい肩書としてラジオのパーソナリティーを付け加えたいと思っています。
森川:また、どうしてラジオのパーソナリティーなんですか?
島田:伝える手段を増やしたいんですよ。今、文章でやっていることを、しゃべりでもやりたい。
森川:作家としてラジオで話す――ではダメなんですか?
島田:作家だとどうしてもゲストになってしまうんですよ。横にアナウンサーがつかずに、パーソナリティー島田佳奈として、自分の番組を持ちたい。だから、プロレベルのしゃべりのクオリティーを獲得するためにレッスンも受けているわけです。
森川:でも、やっぱり物書きがラジオのパーソナリティーというのは唐突な感じがするんですよね。きっかけというか動機は何だったんですか?
島田:これも、やっぱり「女豹」というジャンルの一環なんですよ。自立した女を応援するために今まで文章を書いてきたけれど、その手段としてラジオでのしゃべりを付け加えているという感覚。文章もしゃべりも発信ということには変わらないじゃないですか。で、文章もプロとしてやってきたわけだから、しゃべりもプロであるべきだと思うんですね。
それから、私の本やコラムを読んでもらうと分かると思うんだけど、体験を通してのメッセージがウリなんです。40歳を過ぎてから始めてもラジオのパーソナリティーになれるんだよということを体験を通して証明し、メッセージとして伝えたいという気持ちもありますね。
森川:なるほど。目指している人物像みたいなのはありますか?
島田:上沼恵美子ですね。
森川:ほう。どうしてですか?
島田:ラジオのしゃべり方のレッスンを受けている先生から、彼女をお手本にするといいとアドバイスをもらったのが、きっかけです。よく観察して分かったのは、キャラクターを強く持ちながら、出しゃばり過ぎていない。
いわゆるタレントなら「私が私が」でもいいんですが、パーソナリティーは、ゲストを立てながら自分のフィルター越しにメッセージを伝える仕事なので、上沼さんの立ち居振る舞いはベストだと思います。視聴者からウザいと思われない絶妙のさじ加減というか。
年齢的なこともありますね。いくら人気があろうと、自分より若い人をお手本にしたら、「痛い人」になるおそれがありますから(笑)。
森川:なるほど(笑)。ところで、ライターを始めた当時は、結構苦労されたとか。
島田:最初の1カ月ぐらいですけど、それこそクラウドソーシング並の安い価格で占いの文章を大量に書いていたことがあります。これは、文章力が鍛えられましたね。占い師ごとに文章を変えたりしないといけないから。
何でもそうだけど、やっぱり最初は自分を鍛える機会を作るのが大事だと思います。
ライターは、最初は安い単価でも量稽古に徹し、少しずつ単価を上げることを考える。また食べていくためには、副業を増やすというよりも、メディアへの進出やマルチタレント化をしていく――というのが僕の仮説でしたが、島田さんのやり方はその一典型だと言えます。 ただ、これは今後書いていこうと思っていたことの先取りでもあったのですが、島田さんの話で一番示唆に富んでいるのは、「女豹ライター」というブランディングの部分じゃないかと思います。ブランディングなどというと高級ブティックみたいな感じですが、ようするに他のライターにない「とがったウリ」がないと生き残れないということです。 そして、そのブランドを支えているのは使命感(島田さんの場合は、「積極的・ポジティブで自立した女性を支持し、応援する」ということ)なんですね。 島田さんの場合は、ライター・作家というより、発信者という言い方のほうがピンとくるようになりつつありますが、どの肩書だろうが最終的には自分だけが頼りの、折れてしまいやすい仕事なのです。なので、使命感のようなものがないとつらくなります。逆に、本や記事のような成果物を出したときに、また1つ使命を果たせた思えると、達成感が違ってきます。 このあたりはこれから詳しく書いていきたいと思っていますが、島田さんもやっぱり同じなんだなとわかったことが、僕にとっては、この取材の大きな収穫でした。 |