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4月20日 厳しい鍛錬~日本中が厳しさを求められているのか?(#332)

4月20日 厳しい鍛錬~日本中が厳しさを求められているのか?(#332)

森川 滋之

ITブレークスルー代表、ビジネスライター

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松下幸之助さんは、貧しいときはそれだけでも十分厳しいので鍛えられる、逆に豊かになると自ら厳しい鍛錬をしていかなければならない、と説いています。

たしかに、そうだなあと思います。

まあ、私自身は、厳しさというのがどうも苦手で、ましてや人に求められると逃げ出すたちですが、震災後、そうは言っても、自分も含めて日本人は今まで甘えていたのかもしれないと反省している次第です。

そこに天罰だとか犠牲という言葉は持ち込みたくない。というのは、今度の震災の最大の被災地は、歴史的に見てもずっとひどいめにあってきた地域だからです。なぜそこまで苦しめるのかという思いしか出てきません。

だから、尊い犠牲に報いるためにも日本を復興しようなんてことを言う人はあまり好きになれない。ただただ黙祷をささげるのみが私のとりうる態度です。

とはいえ、生き残った我々にとっては、天が厳しさを与えてくれたと思うことも必要なのかもしれません。

これから本当に厳しい。バブルがはじけたときも、実は2年ぐらいは不動産業を除けば、それほどつらくなかったことを思い出します。

1年、2年はなんとかなる。そのあとがきつい。ある程度のきつさはしかたないとしても、社会全体が落ち込まないためには、どんな考え方が必要なのか。

私は、今朝の朝刊を見ていて、東電が5000人のリストラ計画を発表したことを知りました。

これは、私の経済観では、やってはいけないことです。

以下、異論を承知で書きますが、景気を回復しようと思うのであれば、有効需要を増やすしかない。有効需要とは、投資と消費を加えたものです。

それで、多くの人は今まで通り消費をしようというのですが、私に言わせると順番が逆なのです。

まずは、雇用を確保しないといけない。

雇用があってこそ、人は消費できます。その雇用は終身雇用とまではいかなくても、ある程度保証されたものでなければいけない。

いつクビが切られるか分からない状況で、あなたは消費できますか?ほとんどの人が貯金に回しますよね。いや、貯金に回す余裕さえない人が、日本には2500万人以上います。

今の日本はそういう状況なのです。内需が足りないからGDPが伸びない(=景気が拡大しない)。だから、もっとものを買えというのは、震災前から言われていたことです。でも、誰も買わない。雇用が不安だから、貯金に回す。

本当に日本を「復興」(私はこの言葉に違和感があり「新生」という言葉を使っていますが)したいのであれば、まずは雇用を保証することです。リストラなんてとんでもない。

EUがやっているように、ワークシェアリングをしても(これは平均賃金が減ることと同義なので、日本の労働組合はリストラのほうを好むようです。嘆かわしい・・・)、雇用を保証することです。であれば、可処分所得が、貯金でなく、消費に回るようになるはずです。

一人一人の賃金が減っても雇用を増やすほうがいいのは、失業者への保障が税金からまかなわれるということもあります。

仲間がリストラされて、自分の賃金が減らないとしても(リストラがあれば、賃金も当然減るんですけどね)、失業者がでた分、回りまわって社会保障のための税金が増えるだけなんです。これで、ますます消費は減ることになります。

それよりも雇用して、納税者の側になってもらうほうがどれだけありがたいことか。

また企業がリストラをせず、知恵を絞って事業を拡大できれば(生易しい話ではありませんが、それができれば)、投資が増えるので景気が良くなるはずなのです。

絵空事に聞こえるかもしれませんが、経済の原理とはこういうものであり、消費・消費と叫んでも社会不安の中では、誰も消費なんてしません。こういえる人は、かなり余裕のある人(か現実を見つめようとしない人)だけなのです。

私が、「雇用の創出」ということを旗印にしている経営者がすごいと思うのは、その志もなのですが、このような経済原則をきちっと理解しているからなのです。

心ある大企業経営者の方、何億円もの寄付もすごいと思いますが、それよりも被災地の人たちの雇用を創出してください。そのために卓越した知恵を絞ってください。

今日の一言)義援金もありがたいが、それよりも雇用創出のほうがもっとありがたい。

PS.東電さん。退職による自然減分はまだ許すとして、新規採用の減少が東北地方に限るなんてことがあったら、それこそ御社はつぶれますよ(つぶれる=国有化だと思うが)!そして、本当に責任を取りたいなら、被災地の人たちに一時金などではなく、なんとか仕事を与える知恵を出すことだと思うのですが・・・。

追記

私が、本当に不思議なのは、日本の政治家たちが、復興のための財源の議論ばかりしていて、誰も雇用対策にふれないことです。そして、マスコミもそれを不思議に思わないことです。

日本の政治家も官僚もマスコミも経済音痴だとは知っていましたが、ここまで骨がらみとは思っていませんでした。

政府がやるべきことは、まずは被災地の雇用対策だと思います。

これは、子供手当の話とも似ています。子供をもつ親(とくに母親)の最大のニーズは、子供がいても働ける環境にしてほしいということなのに、政府はお金をばらまく道を選ぶ。

被災地の人も、一時金などではなく、働ける環境が一番欲しいのではないかと思うのですが、このままではたとえ政権が変わっても、けっきょく同じことをやるに違いありません。

※復興財源の確保が、公共事業による雇用の拡大を暗黙に示しているのならまだいいのですが、民主党のやることだから今までの実績から考えると、お金のばらまきが起こるだけであろうことを懸念しています。あるいは、いままで散々下請切りをやってきた大手ゼネコンが潤うだけなら、私はこの国に絶望せざるを得ません。バブル崩壊のあとに政府が助けたのは、大手都市銀行だけだったことをもっと思い出すべきです。
⇒ああ、テレビでも社会保障財源だと指摘していて、それではダメだと言っています。マスコミはまだましなようです・・・。

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本年の一日一言は、『松下幸之助 成功の金言365』を毎日1ページずつ読んで、自問自答するという趣向です。
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