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4月30日 風の音に悟る~話ベタは最初に言い訳してしまおう(#342)
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風の音にでも悟る人がいるのだから、話の良し悪しは聞く人次第と松下幸之助さんは説きます。
これは、もしかしたら松下さん、言い訳でいったのかもしれないと思いました。このように最初に言っておけば、聞き手は一生懸命聞かざるを得ません。
話ベタな人は、最初に言い訳してしまうのがいいと思います。
たとえば私は緊張した場で話をするときは、「みなさんが緊張していると、私も緊張してしまい、これからの××時間がお互い緊張しっぱなしで終わってしまいます。それはお互いむなしいので、どうか笑顔でリラックスして聞いてください」と最初に言ってしまいます。そうすると多くの方が笑顔を見せてくださり、場が和んで、話がしやすくなります。
ところで、松下幸之助さんがこのようにいうのもわけがあるようで、稲盛和夫さんがこんな話を『生きる』という本で伝えています。
松下幸之助さんは昔「ダム式経営」という考え方を提唱しており、講演でもその話をよくされていました。
実に単純な話で、お金は景気のいいときに貯めておいて、不況のときに備えておかないといけないというようなことです。
講演の参加者である中小企業経営者からは不満の声が上がります。「そんな余裕がないから、どうしたらその余裕ができるかを聞きにきたのではないか」と。
稲盛さんが参加しているときに、このことをストレートに質問する人がいました。すると、松下さんはこのように答えたのだそうです。
「そんな方法は私も知りませんのや。知りませんけど、ダムを作ろうと思わんとあきまへんわなあ」
今度は会場に失笑が広がり、多くの人の顔に失望が表れたのだそうです。しかし、稲盛さんは体に電流が走るようなショックを受けて、呆然としたといいます。「これこそ重要な真理だ」と。
その後の稲盛さんの活躍は誰もが知っています。対して、失笑したり、失望したりした中小企業経営者たちで、その後成功した人は少ないでしょう。真理を聞いても、耳に入らないからです。
同じ話を聞いて、これだけの差が生まれるものなのですね。
もっと言えば、みんながすごいとか、深いとか感心している中で、自分も感心しているようでは、まだまだかもしれません。本当にすごい話を聞いたなら、稲盛さんのように茫然自失するところまでいかないと・・・。
最終的には、感受性の問題だと思います。しかしながら、いまは感受性の低い人でも、それを自覚するだけで感受性は大いに高まります。うまく行っていない人は、まずは自分の感受性の低さを素直に自覚しましょう。
今日の一言)実際にうまく言っている人の話には必ず真実があり、それが聞こえないのは、聞く耳を持っていないからだ。