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辛い仕事を喜びに変える考え方とは?

辛い仕事を喜びに変える考え方とは?

森川 滋之

ITブレークスルー代表、ビジネスライター

当ブログ「ビジネスライターという仕事」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/toppakoh/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


昨日から、群馬県は下仁田村の清流荘という温泉宿(写真)の離れに泊まっています。

201005101315000.jpgすばらしい宿で、テレビや雑誌等で何回も取り上げられているのですが、まだまだ認知度が低い。もっともっと多くの人に知ってほしいと願うある応援者と3人で取材に来たのでした。

旅館経営というのはかなり辛い仕事です。特に清流荘はこだわりの強い宿で、食事に出している獣肉や野菜は全て手作りです。飼育困難と言われる純潔の猪や山女(やまめ)まで育てています。

大変さはみなさんにも想像できるかと思います。なのに先代の当主(現会長)の頃から45年以上続けています。

いったいなぜ続くのでしょうか?

●やっぱり・・・

ぼくが取材するのですから、聴くことは一つ。いや正確には三つか。

そう、自分軸ですね(「誰に」「何を」「なぜ」の三つ)。

どんな仕事でも明確な意志を持って続けている人は、自分軸を即答してくれます。

最近(ひそかに)、ちゃんとした経営者かどうかを、自分軸をお尋ねしたときのレスポンスタイムで測っているぼくなのですが、清流荘の現当主(社長)のレスポンスは、実に速かった!

それだけ、しんどい事業なんだと思います。

●こういう回答ができない人がほとんど

社長の自分軸を訊いた部分のやりとりは、こんな感じでした。

森川:どんなお客様に来ていただきたいですか?(誰に)

社長:万人に認めてもらうというのは無理だと思っています。特にうちなんかは独自のやり方をしてるから。そのやり方の良さを認めてくれるお客さんが来てくれると嬉しいですね。

森川:獣の飼育や野菜の栽培など大変ですよね。続けている理由は何なんですか?(なぜ)

社長:人のために尽くす喜びかなあ。昔はあまりなかったんだけど、40歳を過ぎてから自然に感じられるようになりましたね。お客さんが帰り際に、「また来るよ」、「ゆっくりできてよかったよ」と言ってくださると嬉しいよね。

森川:そう言っていただくために、どういうサービスを心がけていますか?(何を)

社長:ゆっくりくつろげることを第一に考えています。恩着せがましいサービスはしない人の情けみたいなものを大事にしています。

森川:具体的には?(何を)

社長:むやみに用もないのに出入りをしないというのが第一かなあ。あとは、うちは離れが多いのだけど、食事の部屋出しに徹しています(※)。まあ手間のかかることばかりやっているけど、これが本来の宿屋のあるべき姿じゃないのかなあ。

※今朝も雨の中、各部屋に運ぶ姿を見ました。

ありきたりな会話に聞こえるかもしれません。

しかし、このような会話が普通にできる経営者は意外と少ない。もちろん、経営者だけではないのですが・・・。

●辛い仕事を喜びに変えるための自分軸の持ち方とは?

傍目で見るとしんどい仕事です。合理的な人はもっと楽な方法や効率的な方法があるだろうと思うでしょう。

効率化というのは確かに経営の重要な要因です。

しかし、効率化は経営の目的ではない

それ以前に必要なものがあります。

それが、人によっては夢とか理念とかクレドとか呼ぶものであり、ぼくが自分軸と呼ぶものです。

いくら効率化しても、続かないこと、やりたくないことをやっていては、いつかその組織はつぶれます。

逆に、清流荘のように、本当に大変だなあと思うことでも、自分軸があれば続きます。

ただし、このような大変な仕事を喜びに転化できるような自分軸には、ある必須条件があります。

何だと思いますか?

●人が求める究極のもの

それは、自分軸が、「真善美」に基づいているかどうか――ではないかと、今回の取材でぼくは強く思ったのです。

写真でも分かるように、清流荘は美しい旅館です。

また、食材を自分で育てるなど、真実と真心のあるもてなしをしてくれます。

さらに、人のために尽くすという善なる意思で経営を続けています。

まさに、真善美が揃っています。

「感動経営」という言葉があり、「ここまでやるか?」とお客様を感動させれば儲かるという考え方があります。

しかし、それだけでは不十分。人は真善美を経営の中に見て、感動し、その企業を応援したいと思うのではないでしょうか?

ウソだと思うなら、チェックしてみてください。

今は儲かっているけれど、10年後、20年後は良くわからないという企業は、真善美の何かが欠けていないでしょうか?

逆に、今儲かっていて、将来も存続すると思える企業には、真善美が揃っているのではないでしょうか?

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