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6月11日 ダム経営~思わんとあきまへんなあ(#384)
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ダム経営は、ひじょうに有名です。みなさまもご存知かもしれません。
経営の中にダム=余裕をもとうという考え方です。
1億円の資金が必要ならば、1億2千万円用意する。1億円しか用意できないなら、仕事のほうを8千万に縮小する。
設備を作る場合には、稼働率90%で採算が取れるようにしておく。ふいの需要増があれば、100%稼動して対応する。
在庫も需要の急増に備えて一定量用意しておく。売れ残りではなく、計画的に在庫しておく。
一事が万事、このように考えて経営せよということです。
このような話を聞くと、その余裕がないから困っているのであって、まず余裕を作る方法を教えて欲しいという人がいます。
以前にも書きましたが、今から45年ぐらい前、稲盛和夫さんがまだ中小企業の社長だったころ、松下さんの講演を聴きにいったときもそうだったのだそうです。
そのように質問、というよりは不満をぶつける人がいたのですが、松下さんはこうつぶやいたのだそうです。
「そんな方法(余裕を作る方法)は私も知りませんのや。知りませんけども、ダムを作ろうと思わんとあきまへんなあ」
(稲盛和夫『生き方』)
周りからは失笑が漏れたのだそうですが、一人稲盛さんだけは、体に電流が走るようなショックを受けたのだそうです。
稲盛さんは、前掲書でこう語ります。「ダムを作る方法は人それぞれだから、こうしろと一律に教えられるものではない。しかし、まずダムをつくりたいと思わなくてはならない。その思いがすべての始まりなのだ」。
その後の稲盛さんの快進撃は、どなたもご存知のところでしょう。
しかしながら、私は松下さんの言葉に失望し、失笑した人の気持ちも分かります。少なく見積もっても、世の中の95%の人はこういう人だし、私もそちらの一員だと思います。
だから、稲盛さんのようにショックを受けなくても、せめて素直に話を聞くことぐらいは心がけたいと思うのです。
今日の一言)自分にはわけの分からない話でも、それは自分が未熟だからと考えて、せめて素直に人の話を聞けるようになろう。