集金と支払いをキッチリし、取引のすべてにわたってキッチリしている――商売繁盛の原理は、案外このような平凡なところにあると松下幸之助さんは言います。

それだけで繁盛するとは私には思えないのですが、この逆をしているとダメになるのは明らかだと思います。

たとえば私の住むマンションは60戸ぐらいですが、この規模でも必ず1戸は共益金の振り込みが滞っている世帯があります。だいたい1年から2年払わずに、最後は競売にかけられるというパターンのようで、その後の人生は悲惨だろうなと想像されます。

営業力のない会社というのがありますが、このような会社で話を聞くと、売掛金の回収がきちっとできていないことが多いようです。集金は経理の仕事だと思っている営業マンが多いらしいのです。営業力というのは案外こんなことで決まってくるのかもしれません。

これらとは逆のパターンもあります。

私の友人で会社創設時に、仕入先に対して支払いができなくなった人がいます。仕入先どころか、自分の住んでいるアパートの家賃さえ払えない。仕方なく大家さんに謝りにいきました。

すると大家さんが教えてくれたのだそうです。「支払いができなくて逃げてしまったら人生終わりだよ。逃げずに正直に謝りにいけば待ってくれる人がほとんどだ。正直にやりなさい」

その言葉に勇気をもらって、仕入先一軒一軒に頭を下げに行ったところ、大家さんのいうとおりほとんどの仕入先は待ってくれて、倒産の危機を免れたとのこと。

その会社は、すでに15年近く続いています。何回も経営危機はあったのですが、常に正直で乗り切ってきたのだそうです。

今日の一言）正直は最強の武器。