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女性の時代とは職人の時代だということ

女性の時代とは職人の時代だということ

森川 滋之

ITブレークスルー代表、ビジネスライター

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前回の終わりに以下のように書いた。

一つは、「21世紀は女性の時代だ」ということ。もう一つは、「自分は職人志向だ」という人が増えていること。

なぜこういうことを言う人が増えているのか。それを読み解くことでいろいろと見えてきそうな気がする。

今回はこのことについて考えてみたい。

順序は逆になるが、先に職人志向について。

 

の周りでは、職人志向の人が増えているようだ。

こう思うようになったきっかけは、昨年のこと。

僕は、まったくやる気がなくなる病気に罹っている。定期的に発病する。もちろん病院では治療してくれない。病院の受付にいっても、何科か判断できないし。

なので最近は、発病したら信頼できる友人・知人に会うようにしている。

昨年、そのような相談を二日連続で別々の人にお願いした。

二日連続になったのは、とても切羽詰っていたからというわけでなく、たまたまのことだ。

一日目はYさん。

「Yさんにもやる気がなくなるときってあると思うんだけど、そういうときはどうやってやる気を取り戻すんですか?」

ちなみにYさんは、「そういうときは目の前のことに集中しろ」という循環論法をしたり顔で言うタイプではない。

「えっ? 俺、やる気なくなることってないんだけど」

僕は耳を疑った。「やる気」という言葉の定義が違うのだろうか。いろいろ問い詰めたが「やる気」の意味は共通だったようだ。

では、なぜYさんは、やる気がなくならないのだろう。

その答えが「俺は職人だから、毎日スキルアップするのが楽しいんだよね。だから仕事も勉強も苦になるどころか楽しいんだよ」

このときは、そういう考え方もあるのかという程度だった(実はあまり納得していなかった)。しかし、その翌日今度はMさんに同じ質問をして、僕は唸らざるを得なかった。

ちなみにMさんは、「そういうときは目の前のことに集中しろ」という循環論法をしたり顔で言いそうなタイプだ。

ところがそのMさんが言うのである。

「やる気? なくならないよ。だって俺、職人だもの」

これはまったくの偶然である。YさんとMさんが中心となって、日本を職人のパラダイスにしようと画策しているという話はどこにもない。しばらく会ってもいないはずだ。なのに二人とも「職人」という言葉でセルフイメージを作っていたのだ。

むうー。「職人」は時代のキーワードだったんだ。

 

えたら、僕の好きな人たちは、職人を自称するかどうかは別として、YさんやMさんが言う意味での職人的な人ばかりだ。

どういう特徴があるかと言うと。

  • 最終的に頼れるものは自分だけ(だからスキルを磨く)
  • 磨くスキルは英会話なんてありふれたものではなく、なんか尖ったもの(ニッチと言い換えてもいい)
  • 他人との競争にあまり興味がない
  • 世間や周囲の評判ではなく、顧客に喜ばれることで認められたと感じる
  • 仲間を大事にするが、つながりはゆるい
  • 価格が価値というよりは、何が残せたかに価値を感じている
  • 好きなことをやっている

以上をもって職人というのかどうかは分からないが、自称職人およびそれに近い人たちの共通点はこの通りだ。

僕もこちらに近いのだが、やる気がなくなる原因がよく分からなかった。

実は、それは最後の「好きなことをやっている」かどうかに関係していたのだった。

 

人の本質は好きなことをやっているということだ。それであればやる気がなくなるということはない。YさんやMさんは、毎日自分の成長を感じるからだと口を揃えていたが、実はそちらではない。

好きなことをやるには二つの道がある。

一つは、元々好きなことをやっていて、それで稼げるようになるという道。

もう一つは、最初は苦痛だったことだが、それで稼いでいるうちに好きになるという道。

どちらの場合も、好きなことで稼げるようになったときに、その人は職人になるということである。逆はない。

その境地になれば、仕事と趣味の境目はなくなる。

「趣味を仕事にしたらつまらないぞ」という人が多いが、そういう人は職人ではない。

まぎらわしいが「趣味で仕事をしちゃあいけない」という人は職人である可能性が高い。趣味即仕事、仕事即趣味という境地においては、趣味で仕事をしているわけではなく、全部が仕事であり、全部が趣味なのだ。言葉のあやのようだが、この違いは大きい。

僕のように時々やる気がなくなる人間は、好きなことをやっていない、ただそれだけのことなのだ。その段階では、職人的気質や素質があったとしても職人にはなっていない。

だから、職人というのは、一つの思想であり、一つの実践なのだ。知行合一の体現者が職人と言ってもいいかもしれない。

 

、一応まとまったところで、今度は「女性の時代」の話に移る。

先ほどの自称"職人"たちの特徴を7つほど挙げた。そのうち後半の5つを再掲する。

  • 他人との競争にあまり興味がない
  • 世間や周囲の評判ではなく、顧客に喜ばれることで認められたと感じる
  • 仲間を大事にするが、つながりはゆるい
  • 価格が価値というよりは、何が残せたかに価値を感じている
  • 好きなことをやっている
  •  

    これってどうでしょうか? 僕は女性的な行動原理だと思うのだけど。

    ちなみに外した2つは、これ。

  • 最終的に頼れるものは自分だけ(だからスキルを磨く)
  • 磨くスキルは英会話なんてありふれたものではなく、なんか尖ったもの(ニッチと言い換えてもいい)
  •  

    これは、従来は女性的でなかったことだと思う。

    以前の女性たちは依存心が強かったはずだ。それは、経済的な自立が難しかったからだ。

    また、磨くスキルもありふれていた。ありふれているという言い方に反発があるのなら、みんな同じようなものを習っていたと言い換えよう。ピアノ、バレエ、英会話、簿記、料理、etc.。

    ところが、今こんなことを(少なくとも東京なんかで)言うと、いつの時代の話?となる。

    元々、"職人"気質(かたぎ)を持つ女性たちが、経済的自立ができる環境にあれば、急速に"職人"化していくのは当然の事態と言えよう。

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    うして、ちょっと強引(自覚している。詳しく書こうと思ったのだが30行ほど書いて、まだるっこしいことに気づいて削除したから)だが、二つの線がつながった。

    女性の時代とは、実は職人の時代だということだったのだ。

    それを間接的に証明するかどうかは分からないが、いま一番職人ぽい人たちは、オネエの皆さんではなかろうか? IKKOさんなんか、メイク職人ですよ。マツコにいたっては、何の職人かは分からないけど、職人気質だけは、頑固な大工の棟梁みたいですし。

    僕は、職人でない人は、今後ノーフューチャーだと思う。

    男性で職人になる自信がなければ、せめてオネエになろう(それだけで職人気質の7分の5は得られるから)。

    草食男子が増えている理由は、こんなところにあるのかもしれない。草食男子がオネエとは言わないが、女性的感性を持っているのは確かだろう。彼らは、けっして情けない連中ではなく、時代に敏感なだけだと思う。

    ちなみに、YさんもMさんも、オネエっぽくはないのだが、行動様式がおばさんっぽいことを今思い出した。

     

    追記

    このブログは、仕事それ自体を楽しむ人を増やすことを目的に書いています。

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