誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。
レバ刺しぐらい食べさせてよ
当ブログ「ビジネスライターという仕事」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/toppakoh/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
AKB総選挙の裏番組を探していたらたまたまNHKのクローズアップ現代"牛レバ刺し全面禁止の波紋"(写真は同番組のサイトより)を見ることになった。
この番組をきっかけに浮かんだ疑問を書きたいと思う。他のことをしながら見ていたので、印象に残った部分しか覚えていない。あくまで、きっかけであり、同番組からの知見は以下ほとんど出てこない(アンダーラインで記した4ヵ所)。
それでは、いつものように疑問を並べ立てます
※ロクに調べずに人に聞いてばかりという姿勢が批判されました。確かに誠意のないことだと反省しています。あれからいくつか資料をあたりました。以下、一部表現を修正し、注をつけました(6月9日9時31分)。
なんで牛レバ刺しだけなの?
この前、友人と馬刺しを食べながら、馬刺しはどうなのという話になったが、二人とも正確なところは知らなかった。ただ、どうも今のところ全面禁止は牛レバ刺しだけのようだ(ユッケはコストの関係で事実上提供が無理になったと解釈している)。
理由は、O157が牛の肝臓の中に住んでいることがあり、それは事前の検査では分からないというものだったはずだ。
曖昧な記憶ばかりで申し訳ないが、大きくは間違っていないと思うので、一応今のところ牛レバ刺しだけが禁止(他に数品あったとしても論点とは関係ない)ということで先に進ませていただく。
で、誰が禁止しているかという話なのだが、厚労省の薬事・食品衛生分科会というところで、識者を集めて審議する。まあ、その後いろいろな手続きはあるのだろうが、基本的にここで決まると思っていいようだ。
▼食品衛生分科会食中毒部会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008fcs.html#shingi45
さて、ここの委員がこんな風にいうわけである。「100%安全といえないものなので、審議する必要も感じていない」と(この委員、すごく偉そうだったなあ)。
ということであれば、一日も早く、魚の刺身は全面禁止にすべきだし、生牡蠣なんてもっての外だ。
O157の毒性が強いからというのなら分かるが、100%安全かどうかなんかを食品の基準にされたら、何も食べられない、と思うのは僕だけだろうか?
といつもなら問うところだが、これは僕だけではないようで、クローズアップ現代の出演者の科学技術ジャーナリスト赤池学さんも盛んに力説していた。
ちなみに、O157が牛の肝臓にいることは事実だが、確率はかなり低く、また過去にそれによる死亡者は出ていないとのこと(注3)。
そもそも魚に生食の基準はあるのか?
ことの発端はえびすとかいう焼肉チェーンが、加熱用とされた牛肉をユッケとして提供したら、同時多発的に食中毒で死亡したという事件だった。
問題になったので調べてみたところ加熱用とか生食用とかいうのは明確な基準がなく、卸売業者などが仕分けしていただけのことと分かった。
そこで、厚労省が改めて基準を作ろうとしたら、そんなもの作りたくても作れないという話になったんだと思う(注1)。
それでは、我々は魚の刺身を昔から食べているが、魚には生食用の基準というのはあるのだろうか?
と思って、「魚には生食の基準はあるのか」というキーワードでググってみたところ、同じような疑問を持った人はたくさんいたらしく、14万件以上の記事がヒットした。
ぱらぱらと見たところ、どうも基準はないらしい(少なくとも周知はされていないようだ(注2))
OKWaveのこの記事などを見ていたら、店長が決めてくれるらしい・・・orz。
http://okwave.jp/qa/q5820542.html
完全な自己責任である。
だったら、肉だって店が判断したっていいのでは?
実際のところえびすの事件が起きるまでは、それで問題なかったはずだ。
外国ではどうしているのかはなぜ報道されない?
日本は魚食文化であり、魚であれば生で食べていいかどうかは判断しやすいとの指摘もあるだろう。
鶏肉の話になるが、九州のある居酒屋チェーンでは現在鶏の刺身を提供していないらしい。安全ですから購入再開をとお願いしている業者に対して、オーナーは黴菌は目に見えないのでできないと突っぱねていた(前掲番組より)。おいおい。だったら、魚の刺身も絶対に出すなよ。
魚についているバクテリアも目に見えないということでは同じですぜ。
まあ、でも、100歩下がって、日本人は魚なら心眼で判断できるとしよう。
だったら、肉については肉食文化の海外に学べ、である。
なのに、海外の肉食文化についてはあまり報道されていないようである。
タルタルステーキも多分日本では食べられなくなっているのだろうけど、イタリアとかではどういう基準になっているのだろうか?
こういうことをもっと報道してほしい。
まあ、生肉ぎらいにはどうでもいい話なんだろうが、少なくともあまり理のある禁止令とは感じないのが残念だ(深く知れば感じるのかもしれない)。
さて、先日食べた馬刺し(写真。赤坂の九州料理「なん」にて)は大変美味かったのだけど、いつまで食べられるのか。
また、馬刺しの安全基準があれば教えていただきたい(注1)。
さて、魚の刺身も今のうちに食べておかないと、いつアホな業者のおかげで全面禁止になるか。
ああ。でも、釣ってきた魚を家でさばくのは禁止できないか。
※注はつけた順
(注1)本件、実は食肉全体で基準があったことを教えていただいた。
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1009/h0911-1.html
その後もっと新しいものがないかを調べたところ、このようなものがあった(ただし、基準案)。
食品衛生分科会食中毒・乳肉水産食品合同部会(2011年7月6日)
確かにこの頃より店頭で牛レバ刺しが見られなくなったので、(リンク先の)議事録にあるように周知徹底が図られるようになったようだ。
(注2)最初に書いた後、食品衛生法とJAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)を見た。また、JAS法に基づく生鮮食品品質表示基準も見た。よけいに分からなくなったというのが正直なところだ。食品衛生法が厚労省、JAS法が農水省の管轄ということもあって錯綜しており、現場でよく運用できているなあというのが率直な感想である(だから、事故や事件も起こるのだろう)。全貌が分かったわけではないので、今後も勉強しようと思う。ただ、消費者庁に関しては、なんだか規制ばかり作るうるさいところという印象しかなかったのだが、こういう縦割りを調整すると言う意味での存在意義があることが実感として分かったのは収穫だった。
(注3)根拠資料は、おそらく次の2つ(薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会資料(平成24年2月24日開催))
自社の考えをインタビューして文書化してほしい方は↓
--
あなたの組織でもできる実践的な、営業戦略の立て方と燃えるチームの作り方を知りたい方は、こちらへ
▼無料連続メール講座 「奇跡の営業所」は誰にでも創れる
http://www.itbt.biz/333eigyo/333BFW_MS.html