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どん底のとき人はどうやって自尊心を取り戻すのか?~号泣ライターに教わったこと(一日一言 #68)
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どん底に落ちたときに、まずやるべきことは自分を認めること。
●解説
人間どん底に落ちると、自分は何をやってもダメという気持ちになります。
私も、もう何度もそういうことがありました。
そのときに、まずやるべきことは自分を認めることだと、号泣ライターこと秋田俊弥さんに教わりました。
号泣ライターと言うのは、私がつけたニックネームです。秋田さんは、43歳以上の社長の使命を取材するという仕事をしています。
取材中に感極まって泣くことが多いんだそうです。そして、そのような取材で書いた文章に今度は取材された社長が泣くんだそうです。なので、号泣ライター。インパクトあると思います。
その秋田さんが、昨日6月28日にセミナーをされたので、応援に駆けつけました。
秋田さんは、私より二つほど年上ですが、ちょっと大学に長くいた関係もあって、社会人としては、同じような環境の中、ずっと生きてきました。
我々の世代は、ある意味傷つきやすい世代です。
入社当時は、ちょっとした不況でしたが、すぐにバブル景気がきました。
入社数年目の一番給料が少ない時期にバブルがきたわけなので、サイフはいつもピーピーしていました。それでも、デートではフランス料理店とか行くんです。車も乗り回してました。それなりに服装にも気を遣っていました。
あまりの土地の高騰に一生家は買えないと思いましたが、その反面、この贅沢も一生続くと思っていました。
ところが突然のバブル崩壊。価値観も一緒に崩壊しました。
バブル未体験世代では、バブルを羨ましがる人もいるようですが、正直すぐにはじけるものなら最初から経験しない方がマシだと思います(そのくせ懐かしく語ったりもするのですが)。
バブル崩壊よりも、価値観の崩壊のほうが辛かった。これに関してはバブル入社組のほうがもっと辛いでしょう。ちやほやされていたのが、一転して数ばっかり多くて使えないだのなんだの言われた挙句、リストラされた人も多かった。
しかし、そのちょっと上の我々の辛さも、ある意味格別でした。
自分の直下にはバブル組ばかり。その後は、ぐっと人数が減った不況採用組。人口ピラミッドがめちゃくちゃ。どうせいちゅうんや、という感じでした。
信じられるのは自分だけ――我々の同世代にはそういうふうに一時期思い込んでいた人が多いように思います。
少なくとも、秋田さんも私もずっとそんな感じで45歳ぐらいまできてしまいました。
秋田さんの、「人生曲線」(写真のホワイトボード上)を見ながらの講義だったのですが、これが、もう私とそっくり。
何かを達成しては、うまくいかなくなり、逃げるように次のところへ行く。そこでも一生懸命やって達成があるのだが、また落ち込んで逃げるように次へ行く。だいたいそんな人生を二人とも45歳まで送ってきたという感じです。
秋田さんの最後の勤め仕事は、生命保険のフルコミッション営業でした。
1年目に、新人賞、社長賞、海外旅行キャンペーンを獲得等、絶頂を迎えます。ところがなぜか翌年からさっぱり売れなくなってしまう。
秋田さんと知り合ったのは、ちょうど彼がどん底のころでした。
ある日、営業コンサルタントの木戸一敏さんに、自分のダメなところを人前で告白したらと勧められました。
勇気をふりしぼってやってみました。
それが転機になり、数ヵ月後には長い間険悪な中だったお父さんと和解。そのときにようやく自分が好きになれたのだそうです。
それから、今の仕事の前身となる社長インタビューを始めました。4ヶ月で90人もの社長の話を聞いて回りました。
当初は、仕事の行き詰まりを打破したいからでした。インタビューした社長を見込み客にしたいという気持ちが正直ありました。
ところが、それをある方に見透かされて、純粋に社長の役に立てるインタビューにしようと思い直しました。
そう思い直してから、インタビューをして記事に起すこと自体が楽しくてしかたなくなりました。
奥さんに、ライターとして独立していいかとお伺いを立てました。
「あなた、社長インタビューをやっているときが一番うれしそうだからいいよ」と言ってくれました。
秋田さんは、今年の5月に独立を果たしました。
昨年の4月ごろどん底で失ってしまっていた自尊心を1年かけて取り戻したのでした。
●裏解説
秋田さんも、私とは違ったアプローチですが、社長が失いかけている自分の軸を取り戻すことができればという想いで仕事をしています。
彼の言葉でいうと、「「なんで?」が分かると「誰に」が見える!」ということだそうです。
私のいう自分軸(「誰に」「何を」「なぜ」提供するか)と似ていますが、より人間と人間の関係を重視した考え方となっています。
私自身は、何度もいろんなところで書いていますが、自分軸を発見してから、精神的に安定するようになりました。
結局、自分を認めるためには、自分を見つめなおす必要があり、これに関しては、自分軸が最強のツールだと今のところは思っています。
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人がどうやって自尊心を取り戻すのかというのは、上原隆さんがノンフィクションを書かれるときのモチーフなんだそうです。
上原さんのノンフィクションの前では、成功するとかうまくいくとかということがつまらないことだと思えてきます。
うまくいってなくても、人はただ生きているというだけで人に勇気を与えることができます。
私が目指す境地も、そういう方向に変わりつつあります。