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「人真似はいけない」と「愚直に真似しろ」とどっちが正しい?
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たまたま寄った駅前の本屋で『世界の経営学者はいま何を考えているのか』という本が平積みになっていた(リンク先はアマゾンアソシエイトです)。
まえがきの部分を読んでいたら、とても面白そうなので買った。
どうも日本では、古びた経営理論を信奉している人が多いようだ。具体的に書くと、多くの人への批判になりかねないのでやめておく。興味がある人は同書を読んでほしい(ちなみに筆者はそれがいけないとは言っていない。ただ、あまりに最新の理論について知られていないので、違和感を抱いた。それが執筆の動機だという)。
経営学は昔からあるが、科学的なアプローチを始めたという意味では1985年にマイケル・ポーターが『競争の戦略』という本を書いて以来のようだ。なので、まだまだ社会科学としては未成熟だと筆者は言う。この本に書かれていることも定説になっていないものが多いのだが、1970年代に出た本を経営学のバイブルのように信奉するよりは、役に立つと僕は思う。
■ 人真似はダメ? |
同書から、ひとつだけ事例を紹介したい。
アメリカでKマートが、ウォルマートの真似を一生懸命しようとしたことがあった。難しい言葉でいえば「ベンチマーク」を実施したわけだ。
ウォルマートの成功の理由は、いろいろな本に書かれているので有名である。徹底した低価格化のために、莫大なIT投資をしたということである(これは、ユニクロなども一緒である)。
そこで、Kマートも思い切った低価格戦略をとり、IT投資も充実させた。
そして、2002年。Kマートは破綻した。
なお、売れ筋拡大/死に筋排除という戦略はKマートが編み出したものであり、ダイエーは徹底的にKマートをまねたらしい。ダイエーも同じく破綻した。いまどきのコンビニは、こんな単純な分析をしていなことは「誠」の記事に詳しい(たとえばこの記事)。
■ 成功するには愚直に真似しろ? |
こちらは、僕の知り合い、40代主婦Aさんの事例だ。
Aさんは、あるきっかけで本格的にアフィリエイトに取り組むことにした。数十万円を払って一種の通信講座を受けることにした。アフィリの神様的な人が書いたテキストが教材なのだが、ウリはその"神様"がメールで相談に乗ってくれるというものだ。
Aさんは神様の言うことを愚直に実行した。100個のアイデアを出せと言われたらその通りにやった。Yahoo!ディレクトリの15個ジャンルに登録しろと言われたらその通りにやった。
そして、半年ぐらいでアフィリで月100万円稼げるようになった。
いまは、住居を中心としたエリアで主婦にアフィリを教えるコミュニティビジネスで稼いでいる。月100万円ともなると、相当頑張る必要はあるし、それにアフィリは安定しない。だが、月数万円から10万円稼げれば十分という主婦が多く(それを超えると扶養家族控除が受けられなくなりかえって損)、それであれば空き時間のある主婦なら比較的簡単だ。実績が出ているので、彼女のビジネスは盛況だ。
その彼女が言う。「やっぱり愚直にやらない人はうまくいかない」と。
■ 真似するところを間違えないことが重要 |
実は、この二つの話は矛盾しているわけではない。
前掲書にも書いてあるが、Kマートは真似するところを間違えたのである。
ウォルマートの成功の本質は、郊外を中心に店舗展開したところにある。そのためにはロジスティック網のオペレーションを最大効率化しなければならない。そこに莫大なIT投資をした。
また、郊外にあることで、顧客は常に安いという印象を抱く。比べるものがないからだ。そのおかげで広告宣伝費を抑制できた。
都市部を中心に店舗展開しているKマートがそもそも真似する相手ではなかったし、もし真似をするとしても違う真似の仕方をしなければならなかったということだ。
表面を真似してはいけない。
Aさんが成功したのは、本質的なところを愚直に真似したからだ。
アフィリで成功する秘訣は、旗艦サイトというベースとなるサイトを充実させることである。旗艦サイトでは広告コピー的な記事を大量にアップすることになる。コピーライティングの基礎的なスキルが必要になるということだ。
著名なコピーライターが口をそろえて言うことは、とにかく数を出せということだ。当たるコピーの法則はあるが、実際に何が当たるかは分からない。しかし、数を出して、小さなテストを繰り返せば、そのうち当たる。
つまり、旗艦サイトが成功するには、アイデアを数多く出すことが必須ということだ。しかし、それだけではダメ。人が見てくれないと意味がない。Yahoo!ディレクトリへの登録などの対策が必要となってくる。
言われてみれば当たり前のことだが、本質的な部分である。ここをAさんは愚直にやった。理由をしつこくは聞かず(たぶんテキストには書かれていたはずだ)、メンターである"神様"の言うことを素直に聞いた。
■ 「本質」を自分なりにやらない |
要するに、本質的なところに関しては徹底的に真似をするのがいいということだ。そこを自分なりにやってはいけない。
逆に本質的でない部分は、好きにやればいいということだ。
とはいえ、本質的かどうかを見分けることが、実は一番難しい。
Aさんのように、とにかく徹底的に耳を傾けてみようと思えるメンターを見つけることが一番早道なのではないだろうか。