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焼酎はからだにええんや伝説~人生でもっとも大切なこと?(一日一言 #78)

焼酎はからだにええんや伝説~人生でもっとも大切なこと?(一日一言 #78)

森川 滋之

ITブレークスルー代表、ビジネスライター

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我事において後悔せず。(宮本武蔵)

●解説

宮本武蔵の名言中の名言です。

小林秀雄は、このように語っています。

昨日の事を後悔したければ後悔するがよい、いずれ今日の事を後悔しなければならぬ明日がやって来るだろう。その日その日が自己批判に暮れる様な道を何処まで歩いても批判する主体の姿に出会う事はない。別な道が屹度(きっと)あるのだ、自分という本体に出会う道があるのだ、後悔などというお目出度い手段で、自分をごまかさぬと決心してみろ、そういう確信を武蔵は語っているのである。

もうまったくこの通り。小林秀雄に付け加えるほど、私は自惚れてはいません。 

●裏解説

論を付け加えるかわりに、もっと卑近で笑えるが、ちょっと哀しみも感じるエピソードを私はお伝えしたい。

私の親戚に、糖尿病と痛風の両方で薬を飲んでいる人がいます(私も一歩手前。そうならないよう気をつけねば・・・)。

この人は、たいへんな大酒飲みで、若い頃は一升ならぬ二升酒だったのだそうです。

日本酒の糖分が悪いほうに作用したと考えて間違いありません。

さすがに今は控えていますが、それでも私などが訪問すると歓迎のしるしなのでしょう、ここぞとばかりに飲み始めます。

日本酒はちょっとで、焼酎をたくさん飲みます。奥さんがたしなめても「焼酎は体にええんや」と言って聞きません。

確かに糖分もプリン体も少ないでしょうが、大量のアルコールが体にいいという説は聞きません。

しかし、彼にとっては、焼酎は体にいいんです。

さすがに酒飲みの理論は違うと笑い話にしていたら、今度は親戚同然の付き合いのある人が、腎臓病で透析を受けるようになりました。

この人は長年、ビールと酒を食事代わりにしてきました。私のお祖母さんなどが、それでは健康に悪いよとたしなめて、ご飯などを食べさそうとするのですが、ほとんど聞く耳を持たないという感じでした。

長年の不摂生な食生活が、腎臓透析という不幸な結果になったと考えて差し支えありません。

さて透析をしている身です。さすがに酒はやめただろうと思ったら、さにあらず。焼酎だけはやめないのです。

もちろんセリフは決まっています。「焼酎はからだにええんや」

ううむ。上には上(「上」でいいのか?)がいると、半ばあきれていましたが、しかし、まだ上がいるのです。

場所は四谷三丁目。今はマスターが亡くなって潰れてしまいましたが、一時期よく通っていたバーがありました。

カウンターで飲んでいたら、隣の席に新しいお客さんがきました。

マスターが「××ちゃん。ウィスキーの水割りでいいの?」と聞いたら、「いや、焼酎の水割りにしとく」とのこと。

引き続き話を聞いていると、この人はなんと肝臓がんで入院していて、病院を抜け出してきたとのこと!

例のセリフが出るかと思って待ち構えていたら、案の定出ました!「焼酎は体にいいんんだよ」

 

さすがに、こんなになるまで酒を飲めと勧めているわけではありません。

ただ、素晴らしいなあと思ったのは、3人ともぜんぜん後悔していないということです。

酒が原因で病気になり、もう二度と治らない。それでも、酒を愛している。それはそれで幸せなことだと思うのです。実際みんな明るいですし。

これが逆に、後悔しまくっていたら、余生も苦しいだけ。後悔とは昔の自分を責めるということですから、最悪ウツになってしまうかもしれません。

後悔するぐらいなら、何もしないほうがマシです。

あるいは、後悔することを恐れているから、何もできない人が多いのかもしれません。

人生において一番大切なことは、後悔しないと決めるということのようです。 

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追記

ときどきユーモアを解さぬ人もいるようなので、あわてて付け加えておきますが、「焼酎が体にいい」などという医学的根拠はありませんので、お間違えなきよう。

プリン体は確かにビールに比べたらゼロに近いですが、痛風にも焼酎がいいということはありません。