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踊る大捜査線はなぜ成功したのか?(#105)
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制約条件が多ければ多いほど、すばらしい成果が出る。
●解説
昨日、「室井慎次はなぜ出世できるのか?」という記事を書いたところ、同記事の関連リンクのコーナーに「「踊る大捜査線」の作り方」という記事へのリンクができていました。
この記事が実に面白い。是非お読みいただきたいが、今日取り上げたいところは、下記になります(孫引きお許しを)。
「なら、それ全部、禁じ手にしちゃいましょう!」
プロデューサーから脚本家に対する挑発である。刑事にニックネームは付けない。音楽に乗せての聞き込みシーンを作らない。刑事と犯人の心情をリンクさせない。禁じ手を作って、そこに逃げ込まずに新しい事を考えましょうと言うのである。
余計なことを分析して、余計なことを言ってしまった。わたしは、自分の首を絞めてしまった。
「なら、リアルな刑事ものにするしかないですね」(君塚良一著「テレビ大捜査線」講談社)
※前掲記事より引用
これは、当時の「刑事モノ」が、みな「太陽にほえろ」の影響を受けていた――つまり、事件に対する刑事の心の葛藤がメインのテーマになっていた――ことへのアンチテーゼとして、「踊る大捜査線」の制作が始まったということです。
もう何もかも禁じ手。制約条件がありすぎの中で考えに考えたからこそ、「踊る大捜査線」は、これだけのヒット作になったということなのでしょう。
●裏解説
福島正伸先生は、「制約条件は成功条件」と言います。
人もモノも金も情報も環境も何もかもそろっていて大企業になった企業は一つもないと、彼は言います。
日本を代表する企業であるトヨタも自動車産業に乗り出すときには大変な苦難がありました。パナソニックも何度か潰れかけています。旧財閥系の企業も、財閥解体のときにはたいへんな困難を経験しています。
日本の製造業全体がそうです。
オイルショック、円高などが来るたびに、日本はもうダメだという悲観論が出ますが、その都度さらに強くなっています。
逆に、規制や既得権益で守られている業界には、弱い企業が多いように思えます。
大企業が中小企業の犠牲の上で生き残っているだけだという方もいるかもしれません。そのような面がないとは言いません。
しかし、不況の中生き残っているのは大企業だけではなく、バブルがはじけて以降に大企業になっている会社がたくさんあることも忘れてはいけません。
何度もご紹介していますが、我が333営業塾の吉見範一塾長も、制約条件を成功条件に変えた一人でした。
彼がある営業所の雇われ所長を引き受けたときには、普通のマネージャなら尻込みするであろう5つの制約条件がありました。
1.営業マンのほとんどが営業の素人だった
2.シェアの奪還営業というベテランでも難しいテーマだった
3.キャンペーンのための期間限定の営業所であり、教育する時間も教育できる人もいなかった
4.吉見自身にマネージャ経験がなく、マネージャ教育も受けていなかった
5.雇われ所長のため権限が著しく制限された
しかし、結果は驚くべきものでした。
半年後、吉見の営業所は、全国100ヵ所の営業所の中で2位にダントツの差をつけるトップ営業所になったのです。
これも以上の制約条件があったからこそではないかと思います。
詳しくは、拙著『奇跡の営業所』をご参照ください。
なお、青島警部補はなぜ出世しないのかとも書きましたが、今後警視総監に上り詰めるかは別として、リアルっぽい出世をさせる予定はあるようですね。
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